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第125話 ニョロの皮
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
およ? 『もなか』が前から歩いてくる。
『もなか』は茶色い豆柴で、散歩中に道に落ちている空のペットボトルを見つけると、咥えて持って帰るという、お掃除屋さんの習性を持っている。
常に町の清掃を意識して行動する。
実に素晴らしい。
でも今日は、ご機嫌で、いつもと違うモノを咥えていた。
透明なビニールヒモのような何か。
あぁ……、これ、アレだ。
ニョロの皮だ。
幸いなことに、『もなか』の両親もソレに気付いていないようだ。
『もなか』のご両親と、パパさんが立ち話を始めた。
今日もペットボトル拾いですか、いつも感心ですねぇ、だって。
あーあ、気付かないといいけど。
でも、パパさんは鈍感に見えて、意外と勘がいい。
……ときもある。
そして、よりにもよって、今日は勘がいい日だった。
パパさん、うひゃあ! って叫んで、その場で飛び跳ねてたよ。
そんなリアクション、久々に見た。
まるでマンガだ。
どんまい、パパさん。
そして今日も、『もなか』は何かを拾う。