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第124話 おそろい
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
ブゥゥゥゥン。
お? うちの車が帰ってきたぞ。
今日はオレはお留守番だ。
別に珍しいことじゃない。
遠くへのお出かけだと、だいたい連れて行ってくれるが、すぐそこのスーパーに行くだけのようなときに、わざわざオレを連れて行ったりはしない。
さぁて、何を買ってきたかな?
オレのオヤツは入ってるかな?
ところがだ。
車は、お向かいの家に停まった。
出てきたのはお向かいさんだ。
あれあれ? なんで?
玄関先で立ち尽くすオレの前に、うちの車が入ってきた。
おーーっとっと?
うちのガレージと、お向かいのガレージと、道を挟んで、同じクルマが二台になったぞ。
どうなってんだ、これ。
パパさんとママさんが、お向かいさんと会話をしている。
――新しいクルマ、買ったんですか。
――そうなのよ。つい昨日、届いたばかりなの。
――おそろいですね。
――あら、そう言えばそうね。こんな偶然あるのねぇ。
偶然?
型から色から、全部同じ?
それ、本当に偶然か?
絶対、真似したろ、お向かいさん。
そして今日から、同じ車が向かい合う。