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第117話 バッタ
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
田んぼを横に見ながら散歩をしていたオレは、足を止めた。
ジっと草むらを見つめる。
うん、いるいる。
パパさんが怪訝そうな顔をしてオレを見た。
まぁ、待て待て。
そぉれ!
オレは草むらに飛び込んだ。
途端に何かが何匹も飛び出す。
バッタだ。
オレから逃げようと、ピョンピョン、ピョンピョン飛び跳ねている。
バッタに驚いたようで、パパさんが悲鳴を上げて跳ね回っている。
あはは、バッタみたいだよ、パパさん。
さ、お遊びは終わり。
散歩に戻ろっか。
……いつまで飛び跳ねてんのさ、行くよ?
どんまい、パパさん。
そして今日も日が暮れる。