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第113話 置いてけぼり
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
ある日、家にママさんの弟がフラっと遊びにきた。
近くまで来たからついでに寄ってみた、だって。
暇だから『みたらし』を散歩に連れてってやるよ、だって。
そういえば、弟クンと一緒に散歩行くのは久しぶりだな。
よし、行こうぜ、行こうぜ。
弟クンは、結構長めにコースを取ってくれるから、好きなんだ。
途中、喉が乾いたという弟クンは、リードを自転車置き場のポールに結び、スーパーマーケットに入って行った。
ペットボトルを買ってくるんだって。
オレはその場に寝そべった。
あぁ、日陰だからか、タイルが冷えてて気持ちいい!
このまま寝ちゃいそうだ。
ふわぁ……。
一時間後、オレはパパさんママさんに起こされた。
あれ? オレ、寝ちゃってた?
二人共、結構取り乱している。
どうやら弟クンが、オレを忘れて家に帰っちゃったらしい。
それで慌てて迎えに来てくれたそうだが、オレは攫われたりしないよ。
大丈夫、大丈夫。
じゃ、帰ろっか。
どんまい、パパさんママさん。
そして今日も日が暮れる。