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第112話 大きくなっても……
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
パパさんが秘密の小部屋で動画を編集している。
引き戸を開けたまま作業をしていたので、オレは近くまで行って寝そべった。
パパさんがそんなオレを見て、手を止めた。
おいで、と、オレを手招きする。
オレは、ヒョイっとパパさんの膝の上に乗った。
パパさんが何やらPCを操作すると、モニターにオレの姿が映った。
芝生の上で、小さなオレがころころ転がっている。
でもこれ、ずいぶん若くない？
映ってるオレ、かなりちっちゃいよ？
多分、ここに来てあんまり経ってない頃だ。
大きくなっても可愛いよ。
パパさんがオレを撫でながら言う。
そのとき、ママさんがオレたちを呼ぶ声が聞こえた。
ご飯だって。
オレはパパさんと目を合わせ、一緒に階段を降りる。
オレはオレだよ。
小さかろうが大きかろうが、オレはオレさ。
ずっとここにいるよ。
ありがと、パパさん。
そして今日も家族の団らんは暖かい。
