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第109話 桃売り
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
よし、今日の気分は、駅の方だな。
そう思ったオレは、パパさんを駅の方まで散歩に連れてった。
パパさんとしては、会社を辞めた身で平日の夕方、駅の方に行くことに抵抗を感じていたようだが、そんな事情、オレには関係無い。
そんな折、オレたちは、駅前で白の軽トラックが停まって、何かの呼び込みをしているのを見つけた。
近くに寄ると、オジサンが桃を売っているようだった。
パパさんは、三個千円で傷んだ桃を勧められてたが、さすがに断った。
だって、なんか怪しいもん。
その夜、ママさんが五個千円で、桃を買ってきた。
駅前に停まってた白の軽トラックから買ったんだって。
桃は、見た目もキレイで、中身はとってもジューシーだった。
ママさんに剥いてもらったけど、メチャメチャ美味しかった。
思わず、パパさんと顔を見合わせちゃったよ。
あのとき、買わなくって良かったねって。
助かったね、パパさん。
そして今日も夜が更ける。