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第102話 不審者
オレの名前は『みたらし』。
二歳の柴犬だ。
ピンポーーン!
ん? 誰か来たぞ?
パパさんが玄関ドアを開けると、そこにチャラそうなお兄ちゃんがいた。
開口一番、トイレ貸してくれませんか? だって。
ウゥゥゥゥゥゥゥ。
オレは低く唸った。
今、ドアを開けた途端に、チっ、犬がいるのかよって言ったろ。
オレには聞こえてたぞ。
ワンワンワンワン!!
臨戦態勢を取って激しく吠えるオレを見て、パパさんも何か感じ取ったらしい。
犬も吠えるし、近くにコンビニあるんで、そちらに行ってもらえますか? だって。
おぉ、普段頼りがいの無いパパさんがハッキリ断ったぞ。
そうだ。
近所にコンビニでも何でもあるのに、なんで民家にいきなり来る?
おかしいだろ。
こんな怪しいの、家に入れちゃダメだ。
ウゥゥゥゥゥゥゥ。
オレも歯、剥き出し、敵意、剥き出しで、睨んでやった。
お兄ちゃんは、そうしますって言って、すごすご去って行った。
お兄ちゃんが去ってしばらくして、パパさんがヘナヘナとオレに抱きついてきた。
助かったよ、みたらし、だって。
よくやったぞ、パパさん。
そして任せろ! オレがこの家を守る。




