プロローグ
前に投稿していた作品の連載版です
気が付いたら{ホワイトアウト}になってた。
どうやら死んだと言う事が判った。
神様が居るらしい事、生まれ変わらせてくれると言う事がなんとなく判った。
そんなに大それた望みは無いけどいい暮らしはしたいし綺麗なお姉さんと仲良くできる人生にして欲しいよね。其の願いをかなえてくれる?歴史上の有名人?……徳川家康?マジですか?
徳川家康といえば誰でも知ってる歴史上の人物だよね、時代劇や小説で脇役で出てくる武将より別格の知名度の持ち主だ。後の織田信長、豊臣秀吉と合わせて三英傑と呼ばれておりそれ以外の武将の様に小説の主人公にしても知名度が無いから編集にタイトルに名前入れろよななんて哀しい事は絶対に言われない。
転生して暫くはそう思っていたんだ。
でもおかしな事だとはうすうす気が付いてた。なんで産まれた家の暮らしが貧しいのか、確かに衰えたりと言えど松平家は三河の領主の家なのだ、こんな狭いボロ家に暮らすのはおかしいだろう。父親は居らず母親のみで、後は近所の爺さん婆さんばかりである。まさかここは松平家ですよね、とは聞き難い状態だった。
ある日家にボロボロの衣を纏った坊主がやって来た。
坊主はじろじろと俺を見て親に言った。
「中々賢そうな面構えだ、いいだろう買った!」
そして俺は売られた。
■
それからは修行の日々だった。経を読むのは当たり前、商家や豊かそうな家の前に立って施しを受けて回り、日々の糧を稼ぐ、子供の方がそういうのには向いていると聞かされた。
坊主は諸国を巡り色んな所に顔を出した。ある時は大きな城下の寺に出向きそこに滞在して歩き回る。その間は俺は施しを受けて回り、その内施しを受けた家の情報を集めてくるように言われた。
家や店の者たちとの会話、その地の領主の話やうわさ話になっている事など、いろんな事を聞いては書き記し渡す。その為に文字の書き方は最初に教えられていたんだ。
おかしい、なんかおかしい、俺は本当に徳川家康なのか? 神様が間違えて転生させたのかと寝る前に自問自答する日々だった。それ以外の時には考えないのかって? そんな余裕は無いんだよ! 油断すればころりと死ぬ世界、正に修羅の国其のものだ。
「おい、お前の名前はこれから次郎三郎だ、世良田次郎三郎とこれからは名乗れ」
ある日坊主が俺にそう言って侍らしい格好をさせ連れていった。
場所は駿河の国と判った。これまで全国いろんな場所に行かされたからな。自然に判る様になった。
なおこの小説はフィクションであり登場する人物・団体・組織等は完全な架空の存在です。
御意見・感想ありがとうございます。
ブックマーク・評価の方もしていただき感謝です。
読んでいただくと励みになります。
感想等のご返事が出来ず申し訳ありません。