第五話 ご主人様は威勢がいいのぅ~…
あっ!という間に、町はずれの屋敷についた一行。
足腰を鍛えている爺さんと、人造人間の体力にかかれば、ある程度の距離は
すぐに歩けてしまうのだ。(足早い系パーティ)
ガー爺「いきなり玄関からお邪魔して大丈夫じゃろうか?」
ヴァンシー「むしろ何処からでも迎えてはくれないから何処でも大丈夫!」
フェルト(それは大丈夫なのかな・・・!?)
ガー爺「おーい!ワシらはお主のヴァンシーの友じゃ!
今から突撃するぞ~!攻撃はしないでくれよ!」
ガー爺はドデカイ屋敷の門を押し開け、玄関ホールまで歩いて入った。
続けてフェルト、ヴァンシーも屋敷内部へ…。
フェルト「すごい…豪華なお屋敷ですね」
ガー爺「ワシも老後はこんな家に住みたいものじゃ」
一行があたりをキョロキョロと無遠慮に見回していると
階段の踊り場からひとりの女性が降りてきた。
リィゼル「ヴァンシー、人を入れないでってあれほど言ったでしょう」
キっと射るような目。美しい顔立ちの女性は間違いない、この屋敷の主…吸血鬼のリィゼルであろう。
ヴァンシー「ご…ごめんなさ…」
ガー爺「ちょっと待つんじゃ、この娘を責めないでやってほしい。この娘はお前さんのことを心配してワシらに協力してほしいと頼んできたんじゃ」
リィゼル「部外者の方はおかえりください。ここは、私とヴァンシーの館です。」
聞く耳は持たない、といった態度で、リィゼルはその場から一歩も動かずにガー爺たちに向けて帰るようにと促す。
だが、ガー爺もだてに長く生きてはいない。
こういう時に適度に空気を読まない「KYスキル」がすでにMAXまで育ってカンスト状態だった。
ガー爺「帰ってほしいと言うのであれば、ワシと勝負する一択じゃ」
フェルト(え!?何故っ!?)
フェルトがドン引きした表情でおどろき、ガー爺を見る。
リィゼル「私を吸血鬼と知っての挑戦ですか?それともただの命知らずの老人なのでしょうか?」
ガー爺「当然、このヴァンシーからお前さんのことは聞いとる。ワシはドラゴンスレイヤーじゃ、そのへんの爺さんと一緒にしてもらっては困る」
リィゼル「…そうですか」
ふう…と溜息をついたリィゼルは、人間の身体能力では再現不可能な跳躍をして踊り場から
ガー爺たちの眼前まで飛び出してくる。
ーーーダンッ!
美しい着地。
十メートル近くあった距離を一気に縮めて、吸血鬼リィゼルはガー爺の目を見つめて
リィゼル「狂え――!!」
一言放った。
ヴァンシー「あっ…!おじいさん目を見ちゃダメ!!」
ヴァンシーの静止は遅かった。
ガー爺は、リィゼルの瞳に眠る狂気を、自分の瞳に映してしまった…!!