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第一話 はじけるジジイ。街を断つ。

 剣と魔法の異世界<ヴェネディクト>


 広い海にかこまれた豊かな大地には、マナと呼ばれる魔法素が満ち溢れ、人と精霊と動物たちとが共存・繁栄していた。


 ここに、ひとりのお爺さんが居た。

 彼の名はガーディアン爺さん(通称ガー爺)



 若くして武芸の道に導かれ(みちみち)

 モルゲンステルン、ハルバード、大剣などあらゆる武器に精通した一流の戦士だ。



 御年XX歳にもなるシニアだが、重量感のあるフルプレートアーマーを易々と着こなしている姿はさながら鬼人。



 彼が歩けば、騎士も傭兵もみな頭を垂れる。


 ちょっとした有名人である。



 ガー爺「ふう…この街の守護を依頼されて三日か…魔物は大方とっちめてやったが、まだまだ油断は出来ぬのぅ…」



 酒場でガー爺がウォッカを飲みながら、ふーっと長い息を吐いた。



 酒場マスター「HEY、爺?アンタひょっとして巷でウワサの<ストロングガーディアン爺さん>かい?」



 ガー爺「そうじゃけど?」



 ガー爺は普通に答える。とくに隠している訳ではないのだ。



 酒場マスター「OH!そいつはクレイジー、運命の出会いにセンキュー。俺はアンタのファンなんだテンキュー」



 ガー爺「そうかい、若いもんに好かれるのは悪い気はしないよ。サインでも書こうかい?」



 酒場マスター「いや…それよりあんたのウンコをくれないか?」



 ガー爺「なんじゃて?」



 酒場マスター「ウンコだよ…ウンコ。聞こえなかったかい?俺は、強い強い男戦士のウンコに興味があるんだよ…いったい何を食って、どんな消化酵素で消化してウンコにすればそんなに強く在れるのか…ってね★」




 ガー爺(こやつ…酔っとるのか!?酒場マスターの立場でありながら泥酔…!?)



 酒場マスター「なあどうだい?考えてくれないか?」



 ガー爺「お断りじゃよ、酔っ払いには付き合っとれんわい!」




 しっかりと拒絶の意志を示すガー爺。


 通常の者であれば、ここで引き下がるはずだった。



 しかし、酒場マスターは通常の者では無かった。



 酒場マスターは………もはや通常の者では無かった為、しつこく食い下がった。



 酒場マスター「なぁなぁHEYHEY!♪ウンコをくれよ~~♪老人レジェンドガーディアン~♪OH!yeah」



 ガー爺「静かにしてくれんか、ワシは静かに酒を飲みたいんじゃ…」



 酒場マスター「水臭いぜ~~?ミスターレジェンド?伝説のガーディアンは防御力だけではく…身持ちとウンコもやや固い…のかな?///」



 その時…

 ガーディアン爺さんの怒りが


 沸点(1000000度)に達した。



 ガー爺「さいきんの…若いもんは…」(プルプル…)



 酒場マスター「OH?」



 ガー爺「礼儀が…」



 酒場マスター「HOU?」



 ガー爺「礼儀がなっとらぁあぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




<ファイヤー・ボルケニック・シュート>






 火炎球をエンチャントさせたモルゲンステルンを、光速で叩きつける大技を放った。



 ドッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!





 客たち「「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?」」





 酒瓶が飴細工のように一瞬で弾け、店のテーブル・机・床・すべてが反り立って焦げたエビフライのように…。



 その衝撃波は店を突き抜け、街も広場も破壊した。




 ガー爺「しまった!また護るべき街を壊してしまったわい!!?ワシ、年のせいかカっとなると見境が無くなってしまうんじゃ~~~~!オヨヨヨヨヨ~~~!」



 ガー爺は己の至らなさを嘆いた。



 すでに酒場は粉々だ。


 運よく負傷者は出ていないが、街の守護を依頼した市長がこの惨状を目の当りにしたら、ただでは済まないだろう。



 ガー爺「ううむ…仕方ない…三日分のモンスター討伐の報奨金をまだ受け取ってはおらぬが、ここまでやってしまったら修繕費やら何やら請求されて赤字になりかねん!!


 ここは適当な理由をつけて退散するぞい!!」



 ガー爺は荷物をサっと2秒でまとめて、酒場だったものを後にした。


 軽快な足取りでランニングしながら、遠く遠くへと走り去っていった。


 街のことは、二度と、振り返らなかった。





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