第十話 研究者の町 エジュケープ
勉学を極める者、エジュケープを目指せ。
サウスディア大陸では、知る人ぞ知る研究者の町であるエジュケープでは、
カレッジの一部施設が一般開放されており、町民や観光客までもが研究者たちの成果を垣間見ることができる。
ガー爺「ほぉ…久しぶりに来たが、やはりいい空気感じゃのぉ~。ワシも学生の頃を思い出すわい!」
フェルト「え!!!おじいさん…学生をやっていた事があるのですか?」
ガー爺「なんでそんなに驚くんじゃ!ワシだって生まれた瞬間からジジイな訳じゃないわい!ワシのことなんだと思っとるんじゃ!!」
フェルト「いや、だって…なんだか全然イメージができなくて……」
ガー爺「お前さん、出会った時からズバズバ物をいうタイプじゃった気がするが……ちょっと慣れてきたら更に容赦なくなってきてないかのぅ?」
フェルト「すみません。人造人間なので人間の感情がわからないのかもしれないです」
ガー爺「都合のいいときだけ人造人間アピールするんじゃなーーーい!!ワシそういう奴ごまんと見てきたんじゃが!?」
フェルトとガー爺が漫才のような掛け合いを続けていると
ふと一人の女の子が声をかけてきた。
女の子「ねぇねぇ、おじいちゃんたち…カレッジに来たあたらしいきょーじゅの先生なの??」
ガー爺「いや、ワシらはただの部外者じゃよ…というかカレッジにあたらしい教授が来るのかぇ??」
女の子「うん!ミドナスのカレッジに、おおかみせんせーのじょしゅのせんせーが来るんだよー!!」
ガー爺「ほぉ…それは初耳じゃのぅ…。どれ、挨拶がてらワシも詳しく話を聞きに行ってみるとしようかの」
フェルト「狼先生…というのはおじいさんのお知り合いのワーウルフのことでしょうか?」
ガー爺「じゃろうなぁ…」
女の子「おおかみせんせーによろしくねー!おじいちゃんたちー!ばいばーい!」
女の子はくるりと踵を返し、スキップするような足取りで二人から遠ざかっていった。
フェルト「人懐っこい子でしたね」
ガー爺「子供は無邪気なんじゃから、本来はあんなもんじゃろう。
真面目そうだったり、空気を読みすぎる子供のほうが心配じゃよ」
そんな会話をしながらも、二人はカレッジの前に到着した。
ガー爺「すまんが、ヴェルドット・アシウス教授と繋いでいただけませんかな?ワシは、ストロング・ガーディアン爺さんと言います」
フェルト(え…っ!?!?その名前で通じるはず無っ……)
受付嬢「ああ!ガーディアン爺さんですね!ちょっとお待ちください今、内線つなぎます」
フェルト(通じた!?!?!?!?)
ガー爺「どうしたんじゃフェルト、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして…」
フェルト「だって、そんなふざけた通り名でつないで貰えるなんて…っ!」
ガー爺「なぁに、ワシくらいになればもう顔パスじゃよ。何年ガーディアンをやってると思っておるんじゃ」
フェルト(そういう問題か!?)
受付嬢「お待たせしました。おつなぎ出来ました!そのまま正面玄関から入って頂いて三階に上がっていただき、右手の一番奥の研究室へお入りくださいとのことです。」
ガー爺「どうもありがとう。さ、フェルト行くぞい」
フェルト「は、はい!」
ビミョーに納得いっていない様子のフェルトに声をかけると、ガー爺はカレッジの中へと入っていった。