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第九話 ストロングなポーション

リィゼル「出来ました」




ガー爺「ぬお!!早いのぅ…どれどれ見せてくれんか…」



透明感のある瓶に入ったトロリとした液体。リィゼルの手からソレを受け取るとガー爺は一気に飲み干した。



ガー爺「ゴキュ…ゴキュゴキュ!!ぬ!!!!これは!!!!!!!!」




フェルト「どうしました!?ご老体、夜中にそんな大声を出したら血圧があがります!」




ガー爺「年寄り扱いするでないわっ!!!フェルト、お前もコレ、飲んでみぃ!!」



フェルト「え………お爺さんのあとに飲むのはちょっと」



ガー爺「ワシは虫歯一本ない歯周病対策バッチリのジジイじゃぞ!?!?傷ついたんじゃが…!まぁ、でもそんなに嫌ならリィゼルからもう一本もらって飲んでみぃ」



フェルト「いただけますか?」



フェルトは何食わぬ顔でリィゼルのほうへ手を差し出す。


もう一本、透明の瓶に入ったポーションが手渡される。



フェルト「いただきます………ゴク」



リィゼル「どうでしょうか?」




フェルト「な!!!!これ…この感じ……生理用食塩水の500倍くらいパワーが漲ってくる感じがします!!」



リィゼル(え……生理用食塩水?)




ガー爺「ほっほっほ、フェルトらしい例えじゃな。じゃが、ワシも同感じゃ!こんなに血流とマナが循環する感覚は滅多にない感覚じゃよ。最高級ハイパーポーション並の品質じゃあないか?」




ヴァンシー「でしょ~~?♪ご主人様はすっごく腕がいいのっ♪」




リィゼル「時間だけは十分ありましたから、薬学も本を読むだけではなく遠方を旅しながら学びました。もっとも、吸血鬼化したあとは夜だけしか出歩けませんでしたので、できることならカレッジにも通ってみたかったですが……」




ガー爺「お前さんほど腕が良ければ研究職も悪くないかもしれんなぁ……む!!!そういえば!!」



フェルト「どうしたんですか?」



ガー爺「いや、ここから南へ行った先にエジュケープという町があるじゃろ?そこのカレッジにちょいと知り合いがおるんじゃが……そこは夜間のみ活動している研究棟があるんじゃよ」




フェルト「へぇ。夜だけですか…珍しいですね」




ガー爺「なんでもドクターが人狼(ワーウルフ)だとかで、夜のほうが鼻が効くもんで調合に良いらしい。そこの知り合いと話がつけられれば、リィゼルも研究員として迎えてもらえるかもしれん……と思ってな」




リィゼル「私を……ですか?」




ガー爺「あぁ!そうとも。なんといっても生体全般の研究をしている大きいカレッジじゃから、おまえさんの食料である血液も、もしかしたら融通してもらえるかもしれん!」




ガー爺はポンと手を打ち、自らの閃きに感服しているようだった。



ヴァンシー「え?なになに?ご主人様、学校へ行けるの!?」



ワクワクした声のトーンでヴァンシーが話に割って入る。

大好きな主人の願いが叶うかもしれないのだ。喜びが抑えきれなくても無理はない。




フェルト「でしたら次の目的地はそのお知り合いがいる研究棟にしますか?」




ガー爺「そうじゃな。それがいいじゃろう。フェルト、お前も来るか?」



フェルト「はい。私は今最優先のミッションが自らの生体の健康的な維持ですから。最も安全性が高いと思われる選択肢を取りたいと思います」




ガー爺「まぁ、ワシは強いからね。ワシと行動するのは悪くない選択じゃろうと思う」





リィゼル「あの…私はどうすれば?」




ガー爺「さすがに日中を避けて行動するのは難しい。ここで待っていてくれんか?きっといい知らせを持ち帰ってくる」




ガー爺はニッコリと良い笑顔をみせた。


それを見て、リィゼルは深々とお辞儀をした。



リィゼル「本当にありがとう……あなたと出会えて良かったです」



ガー爺「ワシもじゃ。さて、もう数刻すれば朝になる……ワシとフェルトはぼちぼちおいとまするよ」




フェルト「そうですね。空が明るくなれば森でも迷わないでしょうし」




ヴァンシー「行っちゃうの?二人とも…」



ヴァンシーがやや寂しそうに問いかける。



フェルト「またすぐに戻ってきますから」




ガー爺「元気で留守番しとるんじゃぞ、ヴァンシー」




ヴァンシー「うん!わかったぁ」





こうして、ガー爺とフェルトはたっぷりのポーションを受け取り、大きな洋館を後にした。



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