“てめーの義妹”が現れたとき、てめーはその子とこれからのことを真剣に向き合わなきゃいけねえんだよ。
義妹。
それを聞いて、やれ恋愛対象だの結婚できるだのとほざく無知蒙昧な輩ども。全然わかってないね。義妹って言うのを全然わかってない。
義妹って言うのはな、単なるヒロインじゃねえんだよ。
義妹って言うのは肩書に過ぎないんだ。その肩書を取っ払ってみろ。その子には無限の可能性が秘めてるって分からねえか?
分かんないって? そりゃあ当然だ。これまであんたらは、“義妹”ってキャラ属性にばかり振り回されてきたんだからな。“義妹”を外したその子のことを見てやってねえんだ。
その子は女の子だ。
その子には本当の親がいる。
その子にはその子がこれまで生きてきた人生がある。
そして、その子にはその子にとってのこれからの人生がある。
それをだね、“義妹属性”ってワードだけに縛られて、その子を見ている連中が、しっかりと向き合ってその子を見ているかって言ったら、んなわけねーだろ? そいつらは“義妹属性”が外れた瞬間にその子のことはポイーなんだよ。
忘れんじゃねえ。
“てめーの義妹”が現れたとき、てめーはその子とこれからのことを真剣に向き合わなきゃいけねえんだよ。
さて、今年で大学に入学する俺の目の前にはこれから親父が再婚するという若い女の人が居るんだ。ああ、美人だぜ。親父にはもったいないくらいだ。
だがそんなのはどうでもいい。問題は連れ子の方だ。
その子はとても可愛らしく、目を合わせた途端にすぐに母親の背中に隠れてこっちを窺うんだ。人見知りなんだなぁって言うのが分かるだろ?
そしてな、その子は俺に向かってこう言うんだぜ?
「……パパ?」
「はーい! パパでちゅよー!」
「待てバカ息子。その子のパパは俺だ」
「うるせえ、マイファーター。てめーはグランパでいいだろ」
糞おやじで激しく言い争っていると、その子は顔をひょっこり出しながらこういうんだ。
「パパが二人?」
「「はーい! パパでちゅよー!」」
おまえら、五歳の義妹ができてみろよ。パパになりたいだろ?
そう思うだろ? な? そーだろ? 義妹を娘扱いできるって最高だと思わねえか? 義妹のパパって最高のポジションだと思わねえか? なぁ、義妹よ! パパと呼んでくれ! 俺をパパと呼んでくれえええええ!!!!!!!!!!