ララと母狐のお泊り会 その3
評価やブクマありがとうございます。
書き忘れてたよぉぉぉお。間に合ったかな……?
「このまま寝てしまいたいです」
「本当に寝ないで頂戴ね。虫に刺されても風邪引いても知らないわよ」
私は限界まで詰め込んだお腹を撫でながら、縁側で夜風に当たる。後ろでは畳の部屋でルシアとレンが寝転がり、リューナは私と同じように縁側に腰を降ろして微睡みに浸っていた。
「ララ、これなに?」
「これは畳と言って、一部の獣人が好む様式ですね」
レンは初めて見る和室に興味津々で、忙しなく鼻を動かし匂いを嗅いでいる。
「変なにおい」
「イ草という素材の匂いですが、嫌いな匂いですか?」
私がそう聞くと、レンは畳から顔を離してこちらにやってくる。
「嫌いじゃない、好き」
「そうですか、うちも敷いてみてもいいかもですね」
森と太陽の香りが気に入ったレンはニコニコと私の隣に座った。
「私達の部屋も夏の間だけ畳シート敷かない?」
私以上に食べていたルシアも、ぽっこり出たお腹を押さえて提案する。隣を見ると、リューナも同意して頷く。
そういえばエルフには畳派閥とフローリング派閥がありましたね、リューナはどっちも派ですが。
「あら、明日にでも皆でお買い物に行きましょうか?」
キッチンで何か準備していた母がお盆と水を持ってやってきた。そのお盆の上には赤と黒の三日月が載ってる。
「おー、スイカだ。それもお土産?」
「そうよ、リューナのご実家から頂いたのよ」
母から受け取ったスイカを並んで座る二人にも渡して、私も自分の分を確保する。
今考えると一人暮らしを始めてから、小分けされたスイカすら買った記憶がありませんね。スイカといえば、まん丸しててみんなで食べるイメージがあったからでしょうか。
「サラさん、それを早くいってよ。軽く運動したら入るかな?」
満腹まで食べたルシアがスイカのため胃に空きを作ろうと、畳の上で腕立て伏せと腹筋を始めるけれどすぐに蹲ったまま動かなくなった。食後にそれは無理じゃないかな?
「危ないからやめてください。私とはんぶんこなら食べれますか?」
「らら、ありがと」
元々私とルシアの分は小さくカットされてましたからね。そのまま出されても絶対食べられないのは母も分かってます。
「どういたしまして、私も一人分はきついですよ」
「ブルーの中に閉まってたのを食後に気付いたのよね。だから無理して食べなくてもいいのよ?」
無理して食べようとする私とルシアに、母も苦笑いです。ブルーもロニと同じく時間停止のアイテムボックスですから、このまま残しても明日食べられるのはわかってます。けどそれは違うのです。
「大丈夫、一口だけでも食べる」
「意地っ張りね」
「だってー」
夏の夜にみんなでスイカを食べるなんて、最高のシチュエーションじゃないですか。ルシアの仲間外れが嫌と思うのもわかります。
「それで明日出掛けるの?」
「ええ、長い間留守にしてたから、色々と補充しておかないといけないでしょ?」
そう言って母は私にウィンクする。ふむ、これは何か企んでいますね。
「色々って?」
「女の子だけでいく夏の買い物と言えば決まってるでしょ?」
母はチラッてレンを見る。そのレンはスイカの種と戦って視線には気づいていない。
「そういうことですか。別に私はいいけど、限度は考えてよ?」
「アルじゃないんだから、大丈夫よ」
これは着せ替え人形にされるでしょうね、――レンが。どうならルシアとリューナも巻き込んでしまいましょう。
「二人も行きますよね?」
「余達もか」
「そうね、私とアルがいつもお世話になってる冒険者向けの魔導具店も紹介してあげる」
母の紹介と聞いてリューナの耳がピクリと動く。私にも信用ができる冒険者向けの魔導具店がないか聞いてましたからね。現役Sランクの冒険者が紹介するお店に興味があるでしょう。
「それは助かります、ありがとうございます」
「アル兄とサラさんの使う道具には興味があるな」
「ブルーのメンテナスついでに、魔導技師も紹介してあげる。ロニとブルーも設計した、昔からの知り合いなのよ」
あの技師さんですか。うちのロニとお店の魔導具のメンテナンスも、お世話になってますよ。ルシア達は今まで実家の技師さんに装備のメンテナンスを依頼していたみたいなので、こちらでも探す必要があるんですよね。
「それじゃあ、明日。ララのお仕事が終わり次第商業区と職人通りにいきましょう!」
明日の話は終わりと、母は手を打ち合わせる。そして、まったりしてる私達にお風呂へ入るように急かすのであった。
お風呂に入ってさっぱりしました。――いえ、したはずでした。
「……ルシアのそれはなに?」
真っ白なパジャマにフードから自前の角が外に飛び出している。
「余は羊だな。ララは?」
「れっさーぱんだ」
お腹側が真っ黒で、それ以外が茶色い可愛らしい動物を私は着せられていた。
お風呂から上がって、着替えようと持ってきた着替えを探したけど見つからなかった。代わりにあったのがこの着ぐるみパジャマ。ご丁寧に尻尾の部分は取り除いてあり、自前の尻尾が嵌るようになっていた。
「リューナは何を着せられたのですか?」
「わんこ」
部屋の隅でリューナが三角座りで空気になっている。私もルシアも、まあ受け入れちゃいますけど。あんまり吹っ切れた事をしないリューナは羞恥心で隠したくなりますよね。
「着ぐるみパジャマを着せられたのは余達三人だけか?」
「レンも着せられてますよ、パンダを。今はお母さんに捕まってます」
「――ララ!」
私の名前を呼びながら、レンが尻尾に抱き着いてきた。
はいはい、レンのお狐さん尻尾ですよっと。そこの入り口から覗いてる狐や、何してるの?
「いやー、うちの子達みんな可愛すぎるわね。写真撮っていい?」
「自分は買ってないんですか」
「百超えてるお姉さんにはキツイわよ?」
「どっちなのよ」
若いのかそうじゃないのか、便利な立ち位置ですね。
「私達も着てるから恥ずかしくないですよ」
「そうだぞー、レンも似合っててかわいいぞ」
私とルシアで恥ずかしがってるレンを囲んで褒めちぎる。視界の端にいるドヤ顔の母が憎らしいですが、たしかに愛くるしいですね。
「リューナちゃんも、ちゃんと見せて欲しいな」
「あ、えっと――、わ、わかりました!」
リューナが小声で「仕事の為だから、仕事の為だから」と呟いてるけど、これは例のお店の紹介とは関係ないですから。羞恥で思考がおかしくなってるリューナが珍しいので言いませんが。
「写真撮るから四人とも集まってね」
携帯端末のカメラを向ける母に、私達は仕方なくレンを囲んで並んだ。
「それで、結局のところなんだったの?」
何枚も写真を取って満足した母に私は尋ねる。
「あなた達が学生時代にやったでしょ?」
「あー、ルシアが悪ふざけで買ってきた奴ね」
「余以外もなんだかんだ楽しんでたじゃない」
「ワタシは最後まで恥ずかしかっただけですが? なんです、あの悪趣味な服」
そんな事もありました、ただパジャマパーティするだけじゃつまんないって。ルシアが悪ふざけ全開で買ってきた悪趣味な――当時流行ってたアニメだったり、ぱちもん臭いキャラのパジャマを着てやりました。
そうですね、あの時もドタバタずっと遊んでいましたね。
「ララ! あの時やったゲーム残ってる?」
「どうでしたっけ?」
昔の思い出を思い返して、当時やったゲームがやりたいと言い出した。十何年も前のゲームの場所を私が知ってるわけないじゃないですか。
私達に混ざって遊んでた母に目を向けると、記憶の奥底から引き出そうとしていた。
「――たしか、あっちの押し入れだったかしら。持ってきてあげるから、布団敷いてて頂戴」
無事に動いた年季の入ったゲーム機に、私達は遅くまで熱中するのでした。
「レン、余のコインを取るな! 目の前にゴールがあるんだけど!? ――あっあっああっ!」
「遠慮はしなくていいんです。ささ、残り少ないルシアのコインを奪っちゃうのです。ってお母さん、それ私の! 取らないで――」
「勝負だからね、しょうがないのよ」
――勝敗は狐と猫の笑い声で察してください。
魔女の旅々というアニメが面白そうだけど鬱要素があるそうで、少し不安。
キノ的な話も書きたいな……。
今はなろうっぽいハイファンタジーと現代異能バトルモノ――ペルソナ2にインスパイアされたモノを考えてたり。そこにキノ的な短編集も書きたくなるカオス。ネタは思いついても形にできないと意味はないんだよねー……。




