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03 旅立ちの日

不定期更新です。


僕はついに、一人立ちし、冒険者になるべく近くの街、ホーンロッドに向かっている。



人ではなくなったあの日から実に10年がたった15歳。


強くなるためにひたすら、ただひたすらに血の滲むような鍛練を毎日重ね…た訳でもなく。

適度に筋肉をつけて、空いている時間に魔力を増やして、武に適した体に「適応」させていった結果。


普通に強くなった。元々種族適正からか、魔法と武の両方に才能があったらしい。

武は自称最強の父に習った。

自称最強なだけあって最初、めちゃんこにやられたが、今では五回やって五回勝てるまでになった。

もちろん、魔法はなしで。

かなりへこんでいた。腕に相当の自信があったのだろう。

が、魔王を倒せるほど(めんどくさいのでなんならワンパンで倒せるほど)強くならないといけない僕が負ける道理はない。



習った武術は自分の体に適した形に矯正していき、唯一無二の武術となった。



魔力は毎日の上げている。今も、おそらくこれからも、それだけは続けるだろう。



魔力は体中に細胞単位で満遍なく流し、体を三周したものから霧散させる。纏めて放出するとそれは無属性魔法になるので霧吹きのように、数時間かけて全て霧散させる。魔力回復力で自然と戻ると総量は増えているって寸法だ。



魔力増加量は身体の成長と比例した。体の成長が著しいと魔力の増加量も多かった。



そうこうしているうちにかなり進んでいたようだ。



「お、見えてきたな。あれか?」

『はい。間違いなく、あそこがホーンロッドです』



遠くの方に大きな塀と門が見えた。この辺の魔物ではびくともしないほど丈夫な作りのようだ。



初めて見る街にテンションが上がり、つい走ってしまった。

かなりのスピードで走ったのでまだ1キロほど先にあった塀はほんの十秒ほどで目の前まで来ていた。



特に人が多いわけでもなく、暇そうにしている門番に話かけた。



「身分を証明するものを持ち合わせていないのだが、入れるだろうか?」

「あー、じゃあこの魔道具に手をあてて、俺の質問に正直に答えてくれ」



おそらく虚偽を見抜ける類いの魔道具だろう。

言われた通りに魔道具に手を当てる。



「犯罪を犯したことはあるか?」

「ない」

「ホーンロッドにいる人間、及びホーンロッドに対して悪意はあるか?」

「ない」

「ホーンロッドに来た目的は?」

「冒険者になるためだ」

「…」

「…」


え、何…?



「…合格だ。ようこそホーンロッドへ。冒険者、頑張ってくれよ」


ホッ。


「ありがとう。そっちも仕事頑張ってくれ」

「ギルドなら真っ直ぐ行って突き当たり右だ。多分、行けばわかる」



〰️〰️〰️〰️〰️



あ、エルフだ。



亜人種と呼ばれる人族以外の人種は大昔に種族の生き残り戦争があり、そのしこりが未だ残っているためあまり共存する所は少ない。

ホーンロッドはその数少ない都市の一つだ。




「そういや、聖魔人って亜人種になるのか?」

『新種ですので断言しかねますが、人族と神族の良いとこ取りのような種族ですので神人種とかでよろしいのでは?』



かっけえ…



「神人種か…うん、それでいこう。とは言っても公言するつもりはないけどね。姿は変わらないわけだし、しばらくは人族で行くよ」



突き当たり右を見ると冒険者ギルドと書かれた看板が見える。

主張の激しい、個性的な看板だ。かなり目立っている。入るのに尻込みしそうなほどだ。

建物自体もかなりの大きさだ。



中は日の光で明るい。酒場があるようだが、さすがに昼前に飲んでるやつは居なさそうだ。

テンプレな展開があっても面白かったんだけどな。



お、丁度受付が空いたようだ。



「ちょっといいか?冒険者登録をしたいのだが…」

「はい。ではこの用紙に必要事項を記入してください。代筆いたしましょうか?」

「いや、大丈夫だ。…あ、忘れてた。何かギルドマスターにって父から手紙を預かってきたんだが…」

「拝見してもよろしいですか?」

「ああ」


そう言って手紙を手渡す。

おいそれと、どこの誰かもわからない奴に会わすわけにもいかないのだろう。


受付嬢は読んでいく内に目を見開いて、最後には手を震わせて驚いていた。



「か、確認してきます!」



読み終えるやいなや血相変えて走っていった。


僕は事情を知っているだけに少し苦笑いをこぼす。


今のうちに用紙に書き込んでおこう。


人族 リオテレス・()()()()()()


出身地 得意 スキル



空白部分はパーティを組む際の必要な情報になるので任意らしい。

事情が事情なだけにしばらくはソロ、もしくは臨時パーティたけでいくつもりなので空白でいいだろう。



端から見ればわからないが、マーサがいるので実質二人のようなものだ。



『嬉しいことを言ってくれますね』



後々、才能があって信用の出来る奴がいれば、パーティを組んでもいい。



「お、お待たせいたしました!ギルドマスターが是非お会いしたいと…」

「わかった」



受付嬢に案内されて二階の一番奥の部屋の前に来た。



「入ってくれ」



受付嬢がドアをノックすると厳格そうな渋い声が聞こえてきた。



「失礼します」



ドアを開けるとゴリゴリの熊のようなゴリラのような体格のおっさんがいきなり顔を覗き込んできた。


「おお、お前さんがジオとミリアの息子か!ミリアに似て、ずいぶん男前だな!ガハハ!」


笑いながら、僕の肩をバシバシと叩く。かなり力が強い。



「はじめまして、リオテレスです。良い筋肉ですね。カッコいい」



父さんが、筋肉を褒めると機嫌が良くなると言っていた。



「俺はドラルドだ!それにしても、分かるか!お前さんの筋肉もかなりのものだな!ここまでの質の筋肉は見たことがないぞ!」



全部の語尾に!が付くくらい元気なおっさんだな。いい人そうだが暑苦しい。



僕の周りを触りながら一周して見定めるようにして言った。



「あ、ありがとうございます。それで、僕と話がしたいと伺ったのですが」

「おお、そうだった!…お前さんの父が元Sランクパーティ《緋色》のリーダーということは聞いておるな?」

「はい、ドラルドさんの元パーティメンバーだとも」

「そうだ。俺たちパーティは二十年前に起こった大厄災で国を救ってから、この国では英雄扱いだ。もちろん、お前さんの両親もな」



この事を知ったのはほんの最近だ。

十五才の誕生日、もうすぐ僕が街に行くということで随分と酒のはいった父さんが自慢するように言ってきた。

酔っぱらいの妄想かと思ったが、母さんによるとガチらしいので信じざるを得ない。


幸い、リオテレスはアストロキアという姓に合うようにつけてくれたようなので全く合わない姓が誕生日につくということはないようなのでよかった。


英雄ということで一応、伯爵のようだが、いつでも返上は出来るらしい。なんでも義務は終えたとか言っていた。

爵位を継ぐ気はなかったが、アストロキアは割と気に入っているのでSランク冒険者になったら継ぐことにした。

まあ、一応親不孝にはしたくない。



「童話とかにもなってるんですよね…迂闊に名乗れないですね…親の権威で威張ってるみたいでダサいですし」

「実績を積んで黙らせればいい!冒険者での実績は世界共通だ!」



そう、そのためにもまずSランクを目指す。



「とりあえず、それは置いといてだ。ジオの手紙でお前さんのことが書いておった。既に負けまくって父の威厳が失くなりかけておるとな。だが、不思議なことにお前さんからは強者特有の覇気のようなものが一切感じられんのだ」


『漏れ出す魔力も覇気も神気で抑えているので常人程度ですしね』


「なのに重心の移動からこの部屋での体さばきに呼吸さえも神がかったようなものを感じる。何より、俺の勘がお前さんは強いと告げている」



狂喜に満ちた満面の笑みで言ってきた。


『常人なら失神、失禁ものですね』


辛辣だな…


こういった顔をするやつは大抵…



「どうだ?俺と手合わせをしてみないか?あ、これは登録試験としよう!」



バトルジャンキー、戦闘狂だったりする。





はぁ……





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