余命宣告
「貴方は…あと3年しか生きられません」
もうすぐ卒業式をむかえる。中学生3年生の私に医者はそう言った
病気名は聞かせてもらえなかった
ただ隣にいた母は泣いていた
多分、癌だと思うんだ。何となくそんな気がする。
頭に異物があるんだと思う。まぁ余命宣告されたって私はどうも思わない
「母さん、私は大丈夫だよ?」
そう言うと母は私を力いっぱい抱き締めた
あと3年
高校は卒業できそうかな
その時の私はやけに落ち着いていた。恐らく実感がないんだと思う
医者は言った
「3年と言いましたが…あくまでも3年なんです。これからの生活を改めて薬を飲んでいけば余命は伸ばせます」
そんなこと言われても…
「それでも私は10年は生きられないんでしょう?」
私がそう言うと医者は黙った。
だと思った。あぁそっか10年も生きられないんだな
正直にいって私の人生。ダメダメだったと思う
運動もできない
頭も良くない
女らしくない
まぁいじめの対象だった。
毎日のように言われる悪口
ハブられるグループ
冷たい視線
暴力は決してなかった。そこまで手が出せるような奴らじゃなかったんだ
だけど…いつも辛かった
だから不登校になったんだ。
テストだけは受けた。点数良くなかったけど…
あぁこの余命宣告。咲に話さないといけないのか…
絶対泣いて私に優しくなるだろうな。それは嫌だな
咲は私の双子の姉だ。
頼りにはならないが、友達は多いコミュ力の高く思いやりのある人だ。
と言っても喧嘩ばかりだけどね
明後日の卒業式にみんなに話そうか
咲と共通の友達に。よく遊んだ友達に
みんな驚くだろうなぁ
そんな事を考えながら病院を出て車に乗って家に帰る。
母は言う
「ねぇ…秋?何かやりたい事とか行きたい所ない?」
そう、私は秋。咲みたいな自然の名前をつけたくって、私が生まれたのは秋だから秋。春に満開に咲く桜で咲。
双子だが、約4ヶ月もの間がある。
咲が私の栄養を取ったから先に生まれた。
栄養を蓄えて私は遅れて生まれた。
ただそれだけの事…
「家、お金ないでしょ?そんな事に使いたくない」
「だけど…私は貴方に好きな事させてあげたいの」
「いいの、今まで通りに過ごせたらいいの」
「そう?…ならいいのだけれど」
帰ったら蛇に餌やらなきゃ
そう言えば、うちにいる蛇の黒。今12歳だっけな
ボールパイソンの黒。寿命は約15年
私が3歳の時に飼い始めた蛇。
わぁお。私と同じだ。
凄いロマンチックだなぁ
死ぬのに
主人公
秋
余命宣告を受けた女の子
特に生きる意味を見せない
咲
秋の双子の姉
秋同様運動も頭も良くないが、コミュ力は高い
黒
秋のペット
秋の余命宣告とおなじ寿命