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005

本を開くと文字が動き出た。

 驚くのもつかの間。

 文字が宙を舞い俺の頭に吸い込まれ始めた。

 それで理解した。

 流れ込んというべきか、その内容はいわば説明書だ。

 大雑把にいうと陰陽極運剣とは運気を限界まで高め結晶化した刀剣。

 陽の運気幸運の結晶体が陰陽極運剣の刀身。

 陰の運気不運の結晶体が陰陽極運剣の鞘。

 どちらかを持っていれば漏れ出す運気だけでも大きく影響を受ける。

 それ以外には俺の認識できない領域もあるが、段階をへて情報が開示されると何故かわかった。

 それよりこんな物をくれたあの和服の青年は一体……。

 絶対に何か知ってるなどうにかしてもう一度会わないと。

 本を見てみると全てのページは白紙全て頭の中に入ったって事かな。

 パタンと本を閉じると。

 バッチン! という音とともに電気が消えた。


 「まぁいつもの事だな」


 どうやらこの部屋だけ照明が壊れたらしい。

 風呂場の明かりがその証拠だ。

 工具もあるし後で直そう。

 流石に慣れてるだけあったこの程度のトラブルは自分で解決できる。


 「ふう良かったです! 電気つけないんですか?」


 とピンクの羊のパジャマ姿の杏。

 そういや着替えを渡してなかったこと忘れていたが。

 自前のを持っていたらしい。


 「今さっき壊れた。あの本よんだけど。どうやらお前の求める陰陽極運剣生きている奴しか使えないそうだぞ」


 「そうなんですか? でも雲気さんが使えば解決です!」


 「そういうことだな。それより杏、普通ならいけない場所に行ける方法や魔法とか知らないか?」


 「ありますけど何です?」


 「この本をくれた店に行くためだよ。絶対何か知ってる」


 「わかりましたです! 準備しておきますです! 私はどこで寝ればいいんですか?」


 「どこでもいいよ」


 「じゃあここで寝るです!」


 と杏はリビングを希望した。

 それを承諾し俺は風呂に入って着替えて少し早いが寝る事にした。

 そういや明日は学校か。

 杏は明日学校についてくるとか言い出さなけりゃいいが。

 はぁ憂鬱だ。

 学校での俺の立場的に……いじめられてるとか友達がいないボッチだとかではないが。

 そんなことを考えていて気づけば寝ていた。


 そして次の日。

 早く寝たせいで早く起きた俺は朝食の準備を済ませ。

 エプロンのままちゃちゃっと食べ。

 生卵のかかったエプロンを洗濯機へ。

 いつもの光景だ。 

 俺の不運は30~40分に数度訪れる。

 一回の事もあるがその線引きは分からない。

 今回は卵の件と油が跳ねて手を軽く火傷した事だ。


 「おはようございますです! 今日の朝食はなんですか?」


 「冷蔵庫にこの前作ったサンドイッチがあるから勝手の食べてくれ。俺が触ると台無しにしかねないからな」


 「了解です! で今日はどこを探します?」


 「今日は無理、学校があるから放課後な」


 「分かったです! お昼はどうしたらいいですか?」


 「昨日のナポリタンが残ってるからそれ食ってくれ」


 そういって杏は、冷蔵庫へ向かう。

 そろそろ着替えないとな。

 制服の袖に腕を通しつつあたりを警戒。

 大丈夫か。

 そのまま制服に着替え買い置きの菓子パン三つを鞄に放り込み。

 

 「いってきます」


 すると早速不運の予感。

 家の敷地を出た直後か。

 体を弛緩させ急の事態に備える。

 さて今回はなんだ。

 とりあえず襲い来る不運を確認し避けるべきか受け入れるべきか判断しようとするが。

 

 「あっやべこれあんま時間な――」


 次の瞬間俺の体は宙に浮いた。

 車に跳ねられたのだ。

 宙に舞った数秒程度の時間で俺は状況を確認。

 衝突の痛みはあるが骨は折れていない。

 体を弛緩させたおかげで体が衝撃を吸収したのだ。

 回転する体を空中で立て直し回転方向を右向きに修正。

 そのまま右に回転を強め衝突の衝撃を散らす。

 次に体を反転衝撃に備える。

 そして最高のタイミングで着地。

 ズザザザザーと靴底でブレーキ。

 手を添えたいところだが手をすりおろすわけにはいけないからな。


 「大丈夫? 君」


 俺をはねた白塗りの車から20代前半に見える女の人が出てくる。

 髪の毛が腰まで伸びた綺麗な顔立ちの人だ。


 「大丈夫です。慣れてますので学校に遅れてしまうので」


 「貴方その制服北川高校のよね? お詫びに送ってってあげるわよ。私は楓風花(かえでふうか)今日から北川高校で先生デビューなの」


 「車は大丈夫なんですか?」


 衝撃で大きくへこんだボンネットに視線を飛ばす。


 「大丈夫私運がいいから! 昨日宝くじが当たってこの車買い替えるつもりだったし!」


 羨ましい。

 宝くじを買うだけでそこから不幸が訪れる俺には縁遠い世界だ。

 金運は普通だからな当たるわけがない。

 むしろ当たったら何かりそうだ絶対。


 「じゃお願いします楓先生」


 「うむよろしい! さあレッツゴーよ!」


 俺が後部座席に乗り込んだところを確認し楓先生は車を発しんさせた。

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