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021

「やった! これで世界のすべての運は僕の意のままだ!」


 「ありがとう杏、鮎川、音意先輩皆が手を貸してくれたおかげだ」


 「何を言っているんだいこれで君は死ぬ――!?」


 「気づいたようだな。俺の勝ちだ!」


 「なんで陰陽極運剣が体を突き抜けない!?」


 美神はそう驚きの声を上げる。

 剣は俺の胸に突き刺さっているが、痛みはない。

 そして体を突き抜けた気配はない。

 それもそのはずだ陰陽極運剣は収まるべき所に収まったのだから。


 「剣が抜けないなんで!? なんで!?」


 「無駄だ。お前の持つ陰陽極運剣の刀身は収まるべき所へ収まった」


 「まさか!? 鞘に――」


 「そういう事だ。皆とお前の兄の協力がなかったら俺は確実に負けていた」


 「まさか僕の幸運を上回って剣をピンポイトで鞘に納めたのか? お兄様どこまで僕の邪魔を返せ! 陰陽極運剣は僕のモノだ!」


 美神はものすごい力で陰陽極運剣を引き抜こうとするが。


 「往生際が悪いです!」


 「ぐふ!?」


 いつの間にか復活した杏が蹴りで美神を跳ね飛ばす。

 ビジュアル的にはアウトだが、実年齢的に美神は相当な年を取っているはずだ。

 よってセーフだろうこいつの犯した罪も含めば。


 「そんな僕の……陰陽極運剣が……陽気が……幸運が……命が……抜けていく……誰か助けて……」



 美神の体から光が抜けていく。

 美神が今まで集めた全ての幸運が陰陽極運剣に満ちるのを感じた。


 「楓もうやめよう」


 「お……兄様……なんで!? 僕がこのてで……」


 気づくと美神の傍らに和服の青年がいた。


 「全ての始まりは私のせいだ。君が陰陽極運剣で変わってしまったのも」


 「お兄様……助けて……」


 「残念だけどもう手遅れだ。君の体はずっと前に限界が来ていた。だから陽気を集めて朽ちていく体の欠損を集めた雲気で補てんしながら、陰陽極運剣をそろえようとしたんだろ? それはもう叶う事はない」


 「そ……んな……」


 「ありがとう雲気霞君。これで陰陽極運剣は君のモノだ自由に使うといい。僕は楓を連れていくこの日のために私はこの世にとどまり続けたんだから」


 「お兄様私……死にたくない……地獄になんていきたくない……」


 「それは駄目だ。君は罪を犯し過ぎた」


 「お兄様……」


 「だから私も君と一緒に地の底へ行く。例え殺されても楓お前は私の最愛の妹、その罪だって一緒に被って償て行くのが、お兄ちゃんの役目だ。お前を一人にはしない。ずっと一緒だ楓」


 成年は俺に頭を下げ、消えかかった美神を抱え歩き出す。

 次に白い光景は段々と薄まり朧げになる二人の顔が満面の笑みに見えた。

 

 「終わったか」


 「雲気っちところでその手品はどうするの?」


 「そういや忘れてた。よっと」


 俺が陰陽極運剣の柄を気切り引っ張るとするんと抵抗なく抜けた。

 

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