001
商店街を歩いていてどんな危険があるだろうか?
不良にからまれる?
肉屋で買ったコロッケに異物?
本屋でエロ本を立ち読みして知人に見られる?
八百屋で買った野菜に油虫?
アイス屋で買ったアイスを服にぶちまける?
すっころんで財布の中身を道にぶちまける?
肉まんをかったら肉がほとんどは入ってなかった?
どれも俺の答えと違う。
かすってさえいない。
俺のアンサーは――A看板が俺めがけて落下。
バコン!
そう音が響いた。
脳天にかかる衝撃で頭が痛みという痺れが走り。
この綺麗な音は金属の部分か。
「痛ててて流血はなしか」
少し痛む頭をさすり傷がないか確かめ俺は看板を一瞥する。
木枠に金属の板をはっている看板で重さ的に5、6キロという所か。
普通ならただでは済まないが、この程度で怪我をする俺ではない。
「あんちゃん大丈夫か? またアンタか」
慌てて出てきたのは看板の持ち主八百屋のおっちゃんだ。
俺の体質の事はこの商店街の人間なら誰でも知っている。
「なんとかなれるんで」
先ほどは体を脱力し足を曲げる事で全身で衝撃を吸収したのだ。
体に力が入っていたら今頃大惨事だ。
「悪かったあんちゃん! これ持ってきな」
と言われて袋に入ったトマトをくれた。
これまた嫌な予感しかしない。
もう数えきれないほど理由も分からず不運な目に会ってきた、連日無慈悲に襲い掛かる不運達。
そんな日常が長く続いたせいで俺はこれから起きるだいたいの不運が予測できる。
だが回避は不可能。
どうあっても何かが起こるし不運を避けると次の不運は大きくなる。
だから甘んじて受けるのだ。
マジで……。
もちろん思う所ありありだ。
だがこれ以外に道はない。
暫く歩くとおっと早くも……。
体を脱力し足を曲げる事で体にクッションのように衝撃を吸収する。
バコン!
また看板が落ちた。
当然俺の上だ。
これまた当然のごとく軽症。
幸いな事にトマトは一個しか潰れなかった。
服に汁がべったりついているけど。
またもや看板を一瞥する。
「なんだこれ古神屋?」
「悪いね君。うちの看板が」
と和服姿の若い男の人が出てきた。
こんな店この商店街にあったけ?
「ここは何のお店なんですか?」
「ここは縁を結ぶ店さ。君は不思議な相があるね。お詫びにこれを上げよう」
そう言われ一冊の本を差し出した。
それを手に取って眺めた。
白いハードカバー。
達筆な題名の字。
気のせいか僅かに発光している気がする。
「陰陽極運伝? スイマセンこれって……あれいない? あれ店は?」
視線を元に戻すと件の和服姿の若い男と店の姿がない。
狐につままれた気分で自宅へ急ぐ。
すでに買い物は終わっている半分はつぶれたり破れてるけど……。
いつもの事さ。
そうなることを想定しての物しか買っていない。
主にパスタ麺などの乾燥系缶詰。
粉物は破れてもいいように3重の袋に入れてある。
本をバックに入れてビニールを巻く理由は言わずもがな。
いつなんどき不運が襲うかは分からない。
そして家に着いたわけだが……。
「なんで家の前に棺桶が……」
俺の家の前に棺桶らしきものが置かれていた。
「とりあえず開けてみるよなこれ」
ここまであからさまに誘っているのだ誰だって中身を確認したくなる。
開けてみると『行き倒れました誰か拾ってください』と書かれ紙をもった額にお札が張られている女性が寝ていた。
服装はチャイナドレスか。
やけに顔色が悪い気がする。
…………俺は見なかったことにすることにした。
ついでにしめた棺桶の蓋をふたをガムテープで念入りに念入りに塞いだ。
大事な事なので二回。
新手の変質者か何かだきっとうん。
それ以外ならどうよう状況だ。
棺桶持ち歩く行き倒れがいるかつーの!
なにやら棺桶ががたがた言っているが無視を決め込む。
さて、家に入るか。
次は警察呼んでと。
「待ってくださいっ~~~~~~~~~!」
ベキ! と棺桶を拳を突き破った。
新たな災難が向うからやってきたようだ。
とりあえず勉強で書いているので最後まで書く予定です。