013
【やあ、音意君君から僕に連絡とは珍しい】
暗がりの部屋の中琴音は鏡に向かって話しかける。
すると鏡に琴音ではない人影が写った。
「美神さん計画を中止にできませんか?」
【それは無理な事だよ。鞘の場所は分かった以上僕は止まれない。明日決行だ】
「見つかったんですか? 陰陽極運剣の鞘が」
【ああ、これで僕の長年の悲願が叶う! お兄様によって未来にとんだ陰陽極運剣の鞘がついに僕の手に!】
「約束は守ってもらえるんですよね?」
【もちろんさ。君の思い人を不運から完全に解放してあげよう】
「お願いしますそのために今まで協力してきたのですから」
【君の一族と僕の関係を知ったら君の想い人はどう思うかね】
「それでも私は雲気君のために……」
【まぁいいさ、僕は陰陽極運剣をそろえて不老不死になって自由に全ての運気が操れるようになれればね】
「雲気君待っててもうすぐ君を不運から」
【ふふふ、陰陽極運剣の鞘と杏とかいう仙人の差し金で来た子と直接会うのが楽しみだな。まっててね鞘ちゃん杏ちゃん】
琴音は胸に痛む罪悪感を雲気への想いで塗りつぶす。
琴音が提供した情報で運気を分け与えれた破滅した人間はもう両手の指の数をとうに超えた。
もうすでに種はまかれ幸運は幾人にも美神によって分け与えられているその全ては美神の言いなりだ。
陰陽極運剣が揃う日はもうすぐである。