011
「じゃあ俺銀行から金おろしてくるわ」
「やった雲気っちの手料理食べられる!」
「分かった無事に下ろせたらな先輩はどうします?」
「私もご馳走になろうかなでも、この前みたいに機械が故障するんじゃないかい?」
「そのために杏ついてこい。金をおろすときに不運を食ってくれ」
「それは興味深いね。私も行こう杏君の肉体変化興味があるんだ」
「ボンキュッボーンの杏ちゃん私も見たい!」
「了解です! 皆で銀行にいくです!」
「てか大丈夫か? そんな目立つ格好で」
「大丈夫です! この服を身に着けていれば見なれたくない人やカメラの目には映らないです!」
「ならいいが行くか。すぐ近くだし」
家から歩いて10分駅前の銀行についた。
特に問題はおこらなかったが銀行で何かトラブルでも起こるのか。
まぁ杏がいれば大丈夫か。
整理券をもらい待つこと数分俺の番が回ってきた。
随分すいてるな。
受付で手続きをする前に杏に。
「杏不運を食って――」
ダンダン! 何かの発砲音が聞こえ俺を含めたあたりの視線が銀行入り口に流れる。
「見てわかるだろ! さっさと金を出せ!」
目出し帽の銃――ハンドガンを持った銀行強盗の登場であった。
そう来るか不運仕事しすぎじゃないですかね。
「杏お前が運気を食った後の俺の幸運はどれぐらいなんだ?」
「超バカツキです! 誰も雲気さんに勝てませんです!」
「ほんとか信じるぜ! じゃあ食ってくれ俺が何とかしてみる」
「分かりましたです! 私は仙人様との約束で普通の人に危害は加えられないです!」
「大丈夫なの雲気っちあの銃あたったら痛そうだよ?」
「そうだよ! 危険だよ!」
「何ごちゃごりゃ言ってやがる! よく見たらいい女達じゃないいか。金が出るまで少しばかり楽しむのも悪くないか、こっち来て俺を楽しませろ!」
「杏やってくれ。時間がない」
「了解です! では頂きます」
杏は大きく口を開けた。
「そこの女通報しても無駄だ。防犯機器は全て故障しているはずだからな。今の俺はバカツキで敵はいねーんだよ! てめーら見たいなしょぼい運じゃないんでな!」
何故か銀行強盗は自信満々で、俺たちを一か所に集めたり店の中の誰かを人質に取る銀行強盗のセオリーをやる素振りもない。
次に銃口も見ずに四方に銃を発射。
「どうだ俺のバカツキは!」
「雲気君こいつはおかしい。こんなでたらめな射撃で、正確に店内の人間のスマホだけ撃ち落すなんて……」
「さあ来い二人ともしっぽり楽しもうぜ!」
勝ち誇る銀行強盗はニヤリといやらしく口もとをゆがめる。
「雲気っち」
「大丈夫だ俺が何とかする」
怯えて俺の後ろに隠れた鮎川にそう声をかけて。
銀行強盗をにらみつける。
すでに不運は杏に食べてもらった。
「何だお前、俺に文句があるのかバカツキで天に愛された俺に!」
「二人には手を出させない」
「そうかよじゃあ死ね! 地獄で後悔しろカスが!」
強盗は俺の頭に照準を定めた。
俺はゆっくり近づいていく。
「怖くねーのかよ! キチガイが!」
一瞬たじろいだ銀行強盗が引き金を引いた。
暫しの沈黙。
誰もが無言。
それは銀行強盗の持つハンドガンも同じだ。
「なんで! なんでだ! バカツキな俺が!」
カッチカッチとハンドガンの引き金を引く音が聞こえてくる。
「俺の方がついていたようだな!」
「そんなバカな!」
銀行強盗は懐に手を入れて何かを取り出そうとするが。
スっ転んでしまった。
そのまま俺は銀行強盗の背に乗りかかり両腕の関節を決め自由を奪う。
確かにバカツキだ。
こいつよりも遥かに。
弾丸の不発に丁度いいタイミングと位置での転倒。
懐から取り出した包丁は転倒した時に手から離れこの位置からでは手は届かない。
「そんなバカな! 俺は最高についているんだぞ!」
【君には失望したよ】
「待ってくれ!」
【いいや駄目だ。僕との約束を忘れたのかい?】
「頼む見逃してくれ! もうあんな生活には!」
【没収だ君の幸運全てね】
「や……めて…………神」
【ふふふふ見つけたよ! ついに君を!】
そう言って銀行強盗は苦しみだし、動かなくなった。
次に皮膚が老人のように皺だらけに変わっていく。
驚いて手を離し、目出し帽をはぎ取り皺くちゃな銀行強盗首の脈を確認するが、脈はある一応生きてはいるようだ。
まるで誰かと会話でもしているようだったが一体。
神とかいっていたが……。
すると次に頭に情報が走る。
陰陽極運剣の情報が開示されたようだ。
後でみんなに言っておこう。
「すいません。警察に誰か連絡してください」
取り合えずこれが先だな。
今日の晩飯はかつ丼かついてない。
いくらかつ丼が旨くても警察で食うのはちょっと。




