7話~吉乃は俺のヨメ~
お久しぶりの更新です。
愛読者は皆無な気がするので相変わらず超不定期&超スローペースで行きます。
玄関へ回り客間へ通された2人。
『若っ!!帰らなくていいんですか!?』
※『』内は小声で話してます。
『バッカこんな可愛い娘いるのに帰るなんてもったいねぇだろ!!』
『…は?あの娘のどこが可愛いんですか』
「おまッ―かわいーだろーが!!」
※「」内は小声ではありません。
「どうしました?奥へどうぞー?」
廊下の曲がり角で振り返る吉乃。
「い、今行きまーす!!」
信長よ…声が裏返っちゃってるぞ。
『とにかく次会う約束こぎつけるまで帰らねぇからな!!』
『はぁ…わかりました。その辺うろついてますんで終わる頃に戻ってきます』 〔可愛い〕に引っかかったままの犬千代。まぁ好みなんて人それぞれ…気にする必要ないぞ、信長…。
「あまり広い部屋ではありませんがゆっくりしていって下さい」
客間に通された信長。ちょっと挙動不審気味である。
「あ、あの…ツレが出てしまってやることないんで…よ、よかったら話し相手になってもらえませんかッ」
元服したといってもやはり12歳の少年。信長もうぶな一面が残ってたりする。
「えぇ、私でよかったら――」
「あの広間に集まってたのはどんな人達なんですか?共通点が見当たらないのですが…」
「えぇ、あの方達は職業も出身もバラバラ…だからこそ集まるのです」
「だからこそ?」
「彼らは5日に1回は集まって情報を交換してるんです。そして次にどうするべきかを各々考える為に色々な種類の情報が必要なのです。」
つまり様々な場所で様々な業界の情報を把握するために様々な人々が集まっているらしい。
「いや、それはおかしくないですか?商人は商人同士で情報を共有出来ればそれで充分ではないですか」
「ふふっ…そう思いますか?」
静かに笑って吉乃はそっと戸を開けた。すると広間に集まった人々の会話が流れて来た。
「三河じゃ今米が足らんらしい。なんでも今川義元が戦の準備で増税だとか…」
「へぇ、じゃあ尾張の米が買い時じゃねぇか」
「へへ、戦か…鎧と槍を新調しなきゃな、矢弾や木材を手みやげにあいさつでも行こうか」
「東海道は危険かもしれんの…しばらくは美濃で説法でも吐いてるかの」 商人、牢人、僧侶など様々な職業の人々が一つの情報を自分からの目線でそれぞれの対応策を考えているようだ。
「なにも一つの情報にメリットが一つとは限りません。情報は使い方によってはどれだけの領地より力を発揮するものなのです」 信長は姫にするには勿体無い。純粋にそう思った。と同時に、側に置きたい、こんな人とひたすら語りあかしたい、そんなことが頭を駆け巡った。