2話〜親父☆登・場★
「それでは、信秀様の嫡男、前・吉法師様の元服を祝し、乾杯」
「「乾杯」」
古渡城にて元服の儀が滞りなく終わり、主役そっちのけので飲み会が始まった。
「まったく…元服したにもかかわらず変わり映えしないのぅ」
男は40半ばだろうか、刀を携え、着物を着ている所を見ると武士なんだろうが、顎髭が濃くもみあげと合流し、またその髭の長さも尋常ではなく鎖骨にまでとどこうかといった長さであり、髪は前髪こそあげてはいるが、剃り上げたりせず、いわゆる[ちょんまげ]にはしておらず敢えて言うならばオールバックに近い。その姿は武士とは程遠いものであった。
「虫じゃねぇんだ。そんな急に変わるワケねぇだろ」
「ガッハッハ!!確かにおぬしは虫ではないのぅ。間違いなくワシの子じゃ」
このチョイワル髭面のおやじは吉法師の父親、織田信秀であった。彼は尾張でも名のある将で織田家の勢力を尾張半国こ尾張大半まで広げ、他国へも勢力を伸ばしている。おそらく尾張国内で一番勢いがある人物である
「ケッ!!」
「二人してなにやってんですか…」
吉法師の実弟、勘十郎である。我の強い吉法師と違って教養があり家中のものから期待されている。
「兄上がぱっぱらぱーだから家臣が不安になり、信頼が得られぬのではないですか」
「おい勘十郎!!今のは聞き捨てならねーな」
弟にナメられっぱなしでは兄としてのプライドが傷ついたのであろう
「まるで俺がぱっぱらぱーみたいじゃねぇか!!」
「えぇ、今そう言ったのです」
やはり彼はぱっぱらぱーであった。
「ガッハッハ!!吉法師よ、なにはともあれ今日から一人前じゃ、自分の後始末ぐらいは出来るようにならんと」
まるで以前はそうではないような言い方である。
「おう!!それより俺の名前はどんなのだ?」
一般的に元服すると名を改めるのだ。ちなみに幼少時の名前を幼名という
「んぉ?あぁ、織田三郎信長…じゃ」
「よし、今日から俺は信長だ!!」
信長は言い放つと古渡城を飛び出していった。
「若ぁ!!まだ城外へ出てはなりませぬぞ!!」
「まったく…兄上は…」
「ガッハッハ!!やはりまぎれもなくワシの子・吉法師…いや、信長、じゃな!!」
まだ話が出来上がってないのでスローペースですが気長にお待ちください