9話~側近ぞろぞろ~
「太刀だ!!」
「いーや、槍だ!!」
のっけからガン飛ばしあってるチンピ…もとい若武者二人。ちなみに槍派の彼は前話に引きつづき犬千代。友達が少ない訳ではないのだがいっぱい登場させてもキャラがたたないので・・・。
「まったく…チンピラ二人がガン飛ばしあってー…ケンカなら――」
「うつけに言われたくありません!!」
ピキッ――
前話に引き続き失礼な犬千代と前話はナメられっぱなしだったので上下関係をハッキリさせたい信長。
「じゃかぁしぃわ!!おぉこらおみぁーらいい身分じゃのぉ!!誰のおかげでおみぁーらみたいなあふれもんに仕事があると思とるんじゃ!!」
果たしてどちらがチンピラかわからない。こんなのが武士なのだから世も末である。
「信長様、落ち着いてください。まずは言い分を聞いてはいかがですか?」
ここでもう一人登場。信長の近習・川尻秀隆。信長の取り巻きでいわゆる初期メンバー。従ってえらい。
「それもそうだな。お前ら何があった?」
うん。信長も素直でよろしい。
「しからばそれがしが―――」
犬千代の喧嘩相手・佐々成政。犬千代こと前田利家と同年代で同等の実力、身分だがイマイチ地味なので今回しか登場しない。(たぶん)
彼の話によると、槍と刀どちらが強いかという至極どうでもいい話であった。
「ばかだなーお前ら。そんなもん―――どっちだ?」
頼りないぞ信長…
「犬千代殿!構えよ」
言うが早いか犬千代に切り込む川尻。
ドンッ――
「ンがッ!!――」
急な敵の出現に槍を構えるが、いかんせん槍が長く、構えるころには懐に入られ、なすすべもなく倒された。
「槍は振り回した遠心力で攻撃するので、相手との間合いが命です。反対に刀は小回りが利き、動きも滑らかで万能な武器といえるでしょう。」
「・・・刀だよ刀。ちょっと考えればわかるだろう」
「しかし――」
再び犬千代に切り込む。
「ンなろ!!」
ギンッ――
降り下ろされる槍に阻まれ、守勢に入らざるを得ないといった感じか、しばらくして距離を置き、また喋り出す。
「刀のリーチに入るには槍のリーチを踏み越えなくてはいけません。また、団体戦となるとこれが如実に出るでしょう。」
確かに一斉に槍を振り下ろしては避ける隙間がない。
「槍だよ、や・り。これからの時代は数が物を言う時代だからな。」
「「…。」」
…。
「…まぁ得手不得手あるので一概には言えませぬゆえ自分が一番得意な物を使うのが良いでしょう。」
「要するに俺の槍は最強でリーチを伸ばしていけば向かう所敵なしって事だな」
そんな事は一言も言っていない。
「一軍の将が戦わねばならいのは敵味方の区別もつかない混戦…身軽に立ち回れる刀の腕を磨くべきか…」
使い捨てキャラには勿体ない賢さだな。いっそ犬千代と交換したらどうだ?
「俺の鉄砲かっこいくね?」
ふと思ったんだが、主役ってこんなアホでいいのか…しかもあの信長が…
川尻秀隆は準レギュラー候補です。