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これまでのあらすじ!!!

 異世界転生ってのには少なからず憧れがあった。

 記憶を保持したまま違う世界で色々なものを作ったり、転生ボーナスなどで世界に1つだけの伝説のスキルで無双したり、それらの功績でモテモテになりハーレム作ったり、とにかくまあそういったものに憧れを抱いていた。


 いた。


 過去形だ。


 いざ転生してみたら最悪だった。


 そもそも記憶を全て保持していなかった。

 転生前、つまり前世の記憶は一部抜け落ちていて、例えば名前なんかは覚えてないが、成人していたことは覚えいる、といった具合だ。人間関係は綺麗さっぱり抜け落ちているし、生産チートが行えるほど記憶はもちろん無い。まあ、記憶があったとしても、使える記憶があったかはわからないが。


 次に精神的なことだ。

 普通の成人男性が知らない奴らに朝から晩まで世話をされる。

 この気持ちがわかりますか? 

 例えば、普通の成人男性がおっさんにおむつを替えられたらトラウマになると思いませんか?

 ちなみにおっさんとは今世のお父様です。

 例えば、普通の成人男性がおっさんに身体を隅々まで洗われたらトラウマになると思いませんか?

 ちなみにおっさんとは今世のお父様です。

 例えば、普通の成人男性が精神的にはたいして年齢差を感じることができない女性から母乳を飲む気分は微妙だと思いませんか?

 身体のせいで性欲なんて感じないんですよ?

 ちなみにその女性とは今世のお母様です。


 じゃあ周りの同年代の子との関係はどうか。

 可愛い幼馴染だとかに囲まれ、それに嫉妬する同い年の男の子にライバル視され、やれやれと大人な俺が適当にあしらいながらスローライフ。


 はっきり言おう。

 そんなのものは物語の中だけだ。


 周りの子供よりはるかに精神年齢が高いためどうしてもうまく合わせられない。

 それに、普通なら子供ができるとは思えないことを大体余裕でやれてしまったことも不気味な子供扱いに拍車をかけていた。もちろん周りの大人たちは俺と関わってはいけないと子供たちに言い聞かせていたため、わりと速攻でボッチになった。


 それはうちの親にも当てはまる。

 最初は可愛がってくれていた。もちろん俺は母さん父さんと思ってたし、俺は本気で家族になろうと頑張った。

 だが、その頑張りさがやはり不気味に思われたようで。


 さらに俺が4歳の時に妹が出来てからは、そっちにかかりっきりになり俺のことはほぼ放置ときたもんだ。

 親としての最低限のことはしている。だから関わるな。そう言外に言われていることが分かったから俺も好き勝手にすごしていた。

 ちなみに妹には近づくなと言われたので、本気で近づかないようにした。結果、妹は兄がいることは知っているし、誰が兄かは知っているが、大好きな両親に迷惑をかけている穀潰し扱いのようである。別にいいけどね。


 俺と今世の家族との関係が決定的に壊れたのは俺が5歳の時だ。


 この世界の生物は、誰でも魔力というものを持って産まれてくるらしい。

 ただその量はあまりにも微量で、どのくらいあるのかだとかはすぐに調べることができないらしい。

 その後、個人差はあるものの、成長と共に増えていき、五歳までには調べることができる量になるそうだ。

 だから俺も五歳になった時、親に頼んで教会に連れていってもらった。

 その時点で魔力が多ければ、専門の学校に入ることもできるし、もし少なくても何かしらの幸福が待っているかもと考えたからだ。

 俺は意気揚々と鑑定用の水晶に手を置いた。

 全く光ることがなかった。

 俺には魔力が全くないのではないかという話になった。


 ついには飯も出なくなり、家はただの寝床になった。


 まあ、飯は狩人のおっちゃんを尾行して拝み倒した甲斐あって、なんとかなった。

 最初はおっちゃんに指導料とかで色々持ってかれもしたが、二年も経てばとりあえず独り立ち完了。

 俺は晴れて立派な野生児になった。


 あ、そうそう。

 丁度独り立ちできるようになった頃の話だ。

 俺には魔力はなかったが、どうも自身の魔力がないというだけの話で、周りから取り込むことはできるみたいだ。

 半分ふざけて瞑想とかしてたらなんかできた。

 呼吸とは似て非なる感じだったが、案外簡単に習得できたため、魔法もバンバン使ったるぜ!

 ……そう思ったのだが、使えたのは水蒸気を集めて水を作る、魔力を使った身体機能強化くらいだった。


 まあ身体機能強化に関しちゃそれのおかげで魔物と戦えるのでそれに関しちゃラッキーと言えるだろう。

 今では取り込む魔力を体の中である程度自由に移動させて強化場所を変えたりすることもできるまでになった。たまにあえて攻撃をもらいながら捕まえる時に最適である。

 ついでに身体機能強化の派生なのか、傷の治りを早くする魔法も覚えた。

 俺は回復速度上昇と呼んでいる。



 そんな魔法を修行しながらさらに三年の月日が経ち、俺は八歳になった。その頃から身長が伸びにくくなった。周りはみんなでかい。妹の方がでかい。


 その頃俺はとある目標を立てた。

 十歳になると、この国では義務教育として王都の中等学園に五年間通わなくてはならない。その間は寮生活でもいいし、王都に家があればそこから通うことも許されている。

 そして、五年間通った後、希望者は更に上の高等学園に三年間通うことができる。ただし、高等学園は厳しい受験に通らなくてはならずなかなかに狭き門のため、大体は五年間の義務教育の後はそれぞれの家を継いだり、独り立ちしたりする。

 が、高等学園を卒業することができると、王家直属の騎士団に無条件で入れるなど色々と就職に対して高待遇なのだ。



 そのことを知った俺は先ずは高等学園に入ることを目標に定めた。



 俺は高等学園に入るために必死に頑張った。

 高等学園に入るためには勉強もだが学費も稼がなくてはならない。

 もちろんうちの親が出すわけがない。

 幸い魔物狩りにも慣れていたし、前世のショボい知識のおかげか雑用もソコソコできた俺は、ギルドに登録して何でも屋のように働きまくって学費をためた。

 中等学園ではひたすら勉強、終わればギルドで夜まで仕事、寮では飯を食べるのと寝るだけ。

 休日は朝からギルドで仕事。


 それが中等学園に入ってからの俺の生活サイクルだ。

 そんな感じで忙しかったのと、元々そういうのが面倒だったので、髪の毛は伸ばしっぱにしていた。うっとうしくなったら前髪だけ切って、気が向いたら後ろも適当に切る。

 そういうのもあって友人も知人もできなかった。

 この世界では、男は刈り上げが普通で、少なくともここまで無造作にしている奴はいないからだ。

 別に気にしないけどね。

 ちなみに俺の髪の毛の色は金色です。



 俺の妹も学園に来たが、相当ワガママし放題のようだ。友人と言う名の取り巻きと共に学園のイケメンで金持ちの男共に取り入ろうと必死らしい。

 ちなみに妹の魔力はSランクだ。羨ましい限りである。あと、俺のことはガン無視だ。

 1度だけ、たまたま目が合ったのでおふざけ半分で手を振ろうとしたら、人がしてはならないような顔で睨まれたの、それ以降は改めて関わるのをやめた。



 そんなこんなな五年間。

 頑張った甲斐あって俺は高等学園に入ることができた。

 なんと学費も半分免除である。

 半分な理由はまた後日話そう。



 ここまでほんと長かった。

 八歳の時に決めて、必死にやった七年間。

 後は、高等学園を卒業して、どこかの給料が良さそうなとこに就職してしまえばいい。


 でも、さすがに少し疲れた

 学費免除のおかげで貯金もだいぶ余った。

 少しぐらい休憩してもいいよな。

 一年くらい遊んだっていいよな。



 明日は入学式。

 先ずは必死に頑張った自分へのご褒美として、学園ライフを満喫しよう!!


 あと、結局身長は一六〇センチを少し超えたくらいでまた止まった。ちくせう。


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