表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある世界の日本  作者: 高鉢 健太 
鋼鉄の守護神
76/133

鋼鉄の守護神6

これにて完結

 T65は樺太事件で撃破した車両を日本側が調査している。


 多くの情報が公開されており、他では知り得なかったことも多いのだが、その多くは70年代の技術情報であって今更それを知り得たところでなにか利益があるというほどのモノでは無かった。


 その主砲はT62と同様に115ミリ滑腔砲であり、手動装填だった。


 エンジンがソ連戦車の如何なる系譜とも合致しない2サイクルV型10気筒であった。


 ソ連戦車としては異色のバスル弾庫を採用していた。


 T64同様に複合装甲が内装されていた。


 第二世代戦車としては異色であるが、第三世代戦車ほどの事はない内容であり、多くが公開されているのも頷ける内容である。


 T64と同時期の開発なのだから、中空装甲や複合装甲の採用には驚く事では無いのだが、車両を調査して分かったことは、T65は何ら時代を超えたモノが無いという面白みのない話であった。


 ただ、公開された写真から様々な推測がなされ、陰謀論めいた話が作られていったのは事実である。


 T65はソ連戦車には全く似ても似つかない。車体は英国のチャレンジャー同様に車体前面を立て、そこに複合装甲を収納する空間を設けている。


 砲塔はレオパルト2や86式のように砲塔前面に複合装甲を収納する空間を設けている。が、これは形状こそ違えどソ連戦車でも同じではあるが。


 そして、西側第三世代戦車で標準的な砲塔後部にあるバスルを弾庫としている。


 構造が西側戦車だと主張する声が後を絶たず、西側出身の転生者が設計したのではないかという主張もあるが、設計したのは第9火砲工場設計局であり、出自も異色であったことは確かだ。


 先進試作車として開発が行われ、設計思想は西側のモノに近かったことが伺われる。それがこの戦車を少量生産に留めたと見られている。


 1993年時点で樺太に存在していたのは、T65の多くが辺境部隊送りになっていたからだと言われる。

 この頃稼動していた車両がどれほどあったのかよく分かっていないが、互換性の少ない車両だけに、そう多くはなかっただろうと見られている。


 出自の異色さ、運用思想の違いなどから欧州方面への配備も無く、輸出も行われていない。


 当然のように近代化改修など手が付けられているはずもない。それが61式改にとっては幸運を呼び込み、暗視装置と射撃管制装置の優劣が勝敗を決したと言える。


 もし、61式が最新の暗視装置や射撃管制装置を備えていなければ、結果はどうなっていたか分からない。


 そんなT65が唯一活躍しているのはゲーム世界であろう。


 戦車による対戦ゲームにおけるT65には近代化改修タイプが存在しており、砲塔容積がある事から西側製のシステムを導入して61式改やレオパルト1A5と同等の性能を手に入れている。もし、輸出が行われていればその様な改修を行う国が出たかもしれないが、輸出されていないので「もしも」でしかない。


 ロシアおよび日本が公開しているT65のデータから開発されたゲームだけに信憑性はあるとされ、ゲームではコストパフォーマンスの良い戦車として人気が出ているという。


 そして、そのゲームにはKV1と共に試作重戦車としてIS3の様な低姿勢なシルエットを纏った車両が登場するが、それが「ノモンハンのバケモノ」そっくりなのである。


 ロシア側には明確な資料が無いとされる車両で、日本側資料を基に登場しているとされるが、主砲が85ミリ、重量は38トンと重戦車としては軽く、機動力もある。


 さらに驚くことに、この車両の開発元は第9ウラル重機械工具工場となっている。もし本当に「ノモンハンのバケモノ」がその工場で開発されていたとすれば、なるほど、異色のT65にも納得が行く。と、多くの陰謀論者が口をそろえて言っているという。


 T65は「ノモンハンのバケモノ」の系譜であり、そこからインスパイアされた四式中戦車や五式重戦車がその姿を追い求めたのも納得という結論に至っているらしい。


 ただ、日本ではその系譜は86式戦車で途絶えてしまった。


 戦後における四式中戦車と五式重戦車の採用論争は戦車無用論に由来する部分と日本のインフラ事情に由来するものがあった。


 五式重戦車を選んだ日本は主要道路の耐荷重規格が61式戦車を基準に50トンと規定され、多くの公共事業費が投入されている。


 その結果、山間部や地方道にも堅牢な橋が架けられているのは周知の事だが、それでも55トンに達する86式戦車では無理があった。


 レオパルト2やM1と言った諸外国の戦車が後の改修で軒並み60トンに達する中で、日本はその選択が出来なかった。


 その代わりとして重量50トンに抑え、諸外国並みの防御力を持たせた新型戦車開発が行われ、世界的にも数少ないフロントエンジンとなる16式戦車を制式化している。


 車体後部に弾庫を備え、それまでの日本戦車らしさが消えてしまったという声は大きいが、小さな砲塔から長い砲身が伸びるそのシルエットは新世代戦車を象徴しているのかもしれない。

今回は日本に転生者が居ないから転生者の可能性には詳しく触れない書き方をしなきゃいけなかった。


それでも転生者の存在を仄めかすのって難しいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 最終的にミニメルカバっぽい戦車になったのかな? この話の場合、転生者は日本ではなくソ連に居たと。 コーシキンとは別にKV1の設計者であるコーチン或いはデュホフあたりが前世の記憶を思い出…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ