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とある世界の日本  作者: 高鉢 健太 
チハたん
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チハたん物語(take2)5

 1945年にはほとんどすべての九七式は本土へと引き上げが行われている。


 これは本土決戦に備えたというより、部品不足が大きな原因だった。


 1944年には日本軍も一式戦車の57ミリ砲では如何ともしがたい事を理解しており、75ミリ野砲を搭載した戦車の開発を行っていた。

 一式中戦車は75ミリ砲を積むに十分な車格を有していたため労せず新戦車が完成し、その生産の主力をまずは満州で行う事となった。

 このため、当時満州に設けられていた九七式の部品を製造する設備は全て一式中戦車から転換した七五ミリ砲装備の三式中戦車のために転換され、九七式を満州で運用する事も難しくなったためだった。


 こうして本土に集められた九七式だったが、その運用すべき場所も少なく、結局は本土決戦の為として太平洋側の各地に配備された状態で終戦を迎えることとなった。


 さて、日本において開発された鉱石管。トランジスタのように広く使われていたかというと、生産能力の問題から初期には九七式にしか使われず、その有効性が認められたのちも生産の伸び悩みもあって1944年にようやく無線機に採用される程度であった。


 特筆する点があるとすればドイツの誘導爆弾と並んで日本が実用化した自己吸着弾ケ号だろう。


 ケ号爆弾の開発は赤外線センサーとそこから得た情報によって舵を制御する機構から成り立っていたが、この実用化に鉱石管が果たした役割は大きかった。


 当初は重量1tクラスの大型爆弾として計画されていたが、鉱石管の利用によって500kgへと小型化することに成功した。

 さらに、その赤外線センサーを特攻兵器である桜花と組み合わせることも行われ、一部が沖縄戦に投入されている。


 その効果のほどは米軍の迎撃が激しく、当時は評価可能な状態ではなかったが、特攻機に交じって投下されたケ号爆弾やケ号の誘導装置を備えた無人の桜花2型の一部は米軍によってその命中が確認されている。その最大の戦果が、特攻機によって燃え盛る空母バンカーヒルに命中した桜花2型1発だった。他にも吸い寄せられるようにケ号爆弾も1発が至近弾となっている。

 バンカーヒルは消火中に命中した桜花と至近弾となったケ号爆弾の影響で消火が遅れ、運の悪い事に消火のために撒かれていた海水と共に機関室に流れ込んだガソリンによって複数の缶に火の手が回り水蒸気爆発を起こして沈没こそ免れたものの修理不能の状態に追い込まれる事となっている。


 当時、米軍は着弾した桜花を特攻機と認識しており、戦後の調査でそれが実質赤外線誘導ミサイル化されていた事に驚いたほどだった。


 このことから鉱石管の調査が行われたが、当時陸軍はその製法を完全に秘匿し、米国が製法を知るのは特許を調査しての事となった。


 このため、敢えて日本の特許に触れない方法と仕組みをもって完成したのが米国におけるトランジスタ第一号だったことは有名な話だ。


 鉱石管は米国に大きな衝撃と影響を及ぼしたが、それが組み込まれた九七式にはあまり興味がわかなかったらしい。


 米国では多脚歩行機械は開発されておらず、英軍が運用するマチルダⅠやⅡへの評価も非常に低かった。

 そして、散々苦しめられたLzkシリーズへの評価も芳しくない。


 それは、その複雑な機構に対して性能が低すぎることが大きかったと言えるだろう。

 戦後、Lzkや九七式を持ち帰った米国は一度はそれらを模した試作機を造りはした。しかし、多脚の例にもれず、非常に低速で不整地性能以外に見るものが無かった。


 戦後、Lzkと九七式を得た英国がマチルダⅢの開発を一時期行っていたものの、根本的な性能の向上は見られず、結局1950年頃に開発は中止されてしまった。


 ドイツや日本においても戦後、新たな開発計画が立ち上がった。ドイツは90ミリ砲を備えた駆逐戦車を計画し、Lzk215の再来を夢見たポルシェが開発に名乗りを上げたものの、脚機構の制約による重量制限から履帯式に性能が及ばず試作途中で脱落してしまう。

 日本においても60式自走無反動砲の開発に際し、白石が名乗りを上げるものの、あまりの高コストから実機の完成を待たずに履帯式が選択されている。


 ソ連ではT34を祖とした戦後型戦車の開発が行われる傍ら、しばらく多脚戦車の開発計画も続いていたが、115ミリ滑腔砲の開発が始まる頃には能力不足が顕著となったことから開発は中止されたものと思われている。


 こうして現在までのところ、多脚が完全に廃れたかというと、白石やポルシェによる開発は続けられており、2020年現在、日本においては白石農機が農業用として市販し、東日本大震災の時には災害地移動用の運搬車としても各機関に提供している。

 海外においてもドイツや英国での民間利用が模索されて不整地用の運搬車や農業、林業用にいくつかの機種が販売、運用されている。


 昨今では多脚としてより、小型のロボットとしての開発が盛んで、その分野においては様々な国で多種多様な機種が存在するようになっている。


 ただ、現在のところ旧来の多脚戦車の様な戦闘車両の開発計画は存在しない模様である。昨今の防御力重視の風潮の中では、脚の負担を考慮すると要求性能を満たす機体を用意できない事が原因だとされ、素材や戦術に大きな進歩や変化が起きない限り、あの時代のように各国で競って多脚戦車が開発されるような時代は再来しないのではないかと思われる。


  

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 桜花のミサイル化に驚き鉱石管を調査、米国が製法を知るのは特許を超察しての事、とありますが、その超察とは何ですか? [一言] 少しでもタケミカヅチに近づかないかと、年甲斐もなくワクワクし…
[一言] アニメのダグラムに出て来たクラブガンナーやスターウォーズのAT-ATみたいなのが現実に役に立つかと言われると、微妙ですよね。 勿論、AT-ATみたいな強力なシールド機構でもあればまた別なんで…
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