ぬいぐるみのきもち
~プロローグ~
僕はクマのぬいぐるみ
皆にはテディベアって呼ばれているよ
いつも皆を見守っている
君の秘密も勿論知っている
話は変わるけど僕の夢はご主人様と喋る事
でも、ぬいぐるみには人間と同じような声帯が無い
勿論、内臓だって無い
だけど、心はある
そんな僕の物語を皆に見てもらいたい
~1~
午後2時23分54秒
廊下がキシキシと音を立てる
と、目の前が明るくなった
ご主人様が来た
ご主人様~!って言いたいけど言えな無いんだった
「さっちゃん遊ぼ」
ご主人様は僕の事女って思われているみたい
「いつか、さっちゃんとお喋りしたいなぁ」
本当は僕だって喋りたいのに
ああ、神様、僕を喋れる様にして下さぃ
目の前が暗くなった
ご主人様のおやつの時間が来たみたい
また会うのは明日だろう
いつか会えなくなるということをまだ、この時は知る由も無い
~2~
午後2時23分57秒
昨日は、この時間に来た
午後2時57分32秒
まだ、ご主人様は来ていない
毎日来ているのにどうして来ないんだろう?
僕は思った
もう、ご主人様は僕に飽きてしまったのかな?って
来る日も、来る日も、ご主人様は来なかった
来なくなって一週間が経った
1つ疑問に思った事があった
ご主人様が一切この部屋に入って来ないからだ
その後も僕はご主人様を待った
~3~
なんだかんだでもう、2週間が経ったある日
目の前が明るくなり、ご主人様の声が聞こえた
「ただいま!」
この、懐かしい声と共に僕の目から流れない筈の大量の涙が零れた
やっと会えたご主人様と
どんなに待っていたか
が、次の瞬間ご主人様の口から信じられない言葉が聞こえた
「寂しいけど今日から、お別れだね~元気でね!」
僕の体が浮いた
そして、要らない物を入れる所
僕にとって一番行きたくない所
ゴミ箱に投げ入れられた
今までの僕の涙は?
ずっと思っていた気持ちは?
どうすればいいの?
このまま、黙って捨てられるままで良いの?
僕はこの時思った
いつか、復讐しよう、と