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高橋課長の憂鬱  作者: 月立淳水
はじまりからおわりまで
1/20

●はじまり

「何でもいいからとにかくたくさんだと」


「はあ? 僕らが?」


 佐藤主任はどうにも納得がいかなかった。

 地球に行って、海の生き物を採ってこい。

 それが社長命令だった、らしい。


「意味がわかんないすよ。水産事業ならもう順調で、オウミは宇宙一の養殖場ですよ」


 超光速大砲『カノン』ジャンプでわずか七回分しか地球と離れていないオウミは、海水面積八割を超え、沿岸水域面積も広く、地球への水産物供給の一大拠点となっている。地球以外への輸出額も常に上位常連組だ。


「宇宙一かは知らんが、ま、今さらではあるよなあ」


 高橋課長も、その勅令を直に受け取って来た身ではあるものの、理解できないといった顔だ。


 彼らの属する『オーツ商会』は、資源取引を中心に大きくなった商社で、資源開発事業に乗り出すとき、比較的地球に近い惑星オウミを独力で探査、開発。宇宙時代最初の奇跡とも言われるテラフォーミングの成功をここで達成し、本格的に惑星オウミを本拠地として資源、食料を手広く商う大商会となった。

 近年は輸送路を巡る他の商社との争いも増えているものの、それを除けば順風満帆で発展を続け、銀河中心に向けての深宇宙探査にも多くの資本を参加させ、売り上げは倍々ゲームで増えている。

 宇宙時代に入ってわずか三代でこれだけの成功を収めた会社の代表者、大津社長が、高橋課長を呼んで、妙なことを言いつけたのがことの発端だった。


「で、アジですかサバですかイワシですか」


「なんでもいい、らしい」


「なんでもって、はあ、社長の気まぐれにも困りますね」


「気まぐれでも社長は社長だから、なあ。佐藤、とりあえず、貨物船を何隻か押さえておいて」


「水産物輸出用で良いですかね」


 佐藤主任の問いに、高橋課長はちょっと首をかしげる。


「……冷凍、じゃ、だめだろうな、あの言いっぷりだと」


「……生きた魚を?」


「……と、言ったような言わないような」


「はっきりしてくださいよ」


「社長がはっきり言ってくれれば苦労は無いっての」


「……ですね」


 それから顎に手をやり、もう一度思案してから、


「でかい水槽。用意してくれ」


「聞きたくないんすけど……どのくらいでかい?」


「分からん、とりあえず、十メートルくらいのやつで」


「特注っすね、業者探しからですね……」


「生きた状態で運ぶのにいろんな仕掛けがいるだろうな……ともかく、船と水槽だけ、頼む」


「課長は?」


「とりあえず図鑑で勉強」



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