6.仮面舞踏会のススメ?
ーーーー下降の一途をたどる気分に辟易しながら空になったティーカップや、ティーポットを下げてもらい、わたくしはテーブルに頬杖をついた。
なにかイイ案はないものかしらねぇ。
必死に悩んだけれど、よい案は浮かばない。
そんなこんなでうだうだしていると、ミラがすこし慌てた様子で帰ってきた。
「あら、ミラ? どうしたの?」
「大変申しあげにくいのですが、マダムリリーから、招待状が届いています。仮面舞踏会だそうです」
聞かなかったことにしたかった…………
ミラの話を聞き、がっくりと項垂れる。
マダムリリーはわたくしの実の叔母で、破天荒で派手好きな人。
定期的にパーティやら何やらを開いたり、お茶会などをしていたりするのよ。
けれどもわたくしはマダムリリーのお誘いは苦手ね。招待状が前日に届いたりするうえに、強制参加なのだもの。
「また面倒なときに…………」
「ちなみに衣装と仮面と小道具つきでした、お嬢様」
ーーーー最悪ね。
衣装まで贈られれば、参加するしかない。
「……開催日はいつ? それによって対応をかえるわ」
「明日の宵です」
「…………そう。あの方はわたくしの予定を把握している気がするわね……。参加するわ。返答はいらないでしょう。悪いけれど、ミラ、今から衣装合わせの仕度をして頂戴」
「わかりました」
面倒だけれど、しかたない。
それに、仮面舞踏会なのでわたくしだとわからない格好をして仮面で素顔を隠せば、いつものような面倒極まりないことは起こらないだろう。
まったく、これほどまでに自分自身の妙な噂を呪ったことはないわよ……被虐も嗜虐も拗らせると恐いわぁ。
「今度のエスコートはちゃんとアズーリに頼もうかしらね」
溜め息をつきながらわたくしは、準備をするために立ち上がったのだった。