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前世の記憶を持って  作者: 真田
第一章 転生編
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第七話 『そりゃないよ……』

俺は待った。

四歳……日本で言うと、二歳を。

ってか、ややこしいな。

脳内では、年は日本の時間でいくか。

脳内なら良いだろう。


一八〇日で一年。

季節はというと、夏と冬がない感覚だ。

地球の劣化版かよ。


まあ、そんなことはどうでも良い。

魔法だ。魔法。

ついに今日から教えてもらえるようになった。

待ったぜ。俺は。


この年でもまだ早いとか言っていたが、俺はもうこれ以上待てないぜ。

もうしっかりと歩けるんだぜ。

……って当たり前か。

まあ、とにかくずっと前から待っていたんだ。

エリシアさんがあんなことを言ったのがいけないんだ。


それにしてもあの事件。

事情を聞いても、やはりエリシアさんがやりすぎたのがいけないと思う。

母さんは、父さんも言いすぎだ、とか言っていたが。


俺はどうやら、容姿がやばいらしい。

髪の色と目の色だ。


人族は、青っぽくあればあるほど魔力があるらしい。

それを思いっきり髪の毛に遺伝した。

偽人族は、赤っぽくあればあるほど身体能力が良いらしい。

それを思いっきり瞳に遺伝した。


これを聞くとチートじゃね?とも思える。

が、これは不味い。

敵対同士の偽人族と人族の子供。

世間からはどう思われているのだろうか。


どうやら大人は、俺がぼっちになるのを心配しているらしい。

そこでエリシアさんは協力すると頼んだ。

が、断られた。

そこでエリシアさんは諦めなかった。


召喚魔法で魔物を呼び出し、父さんと母さんを討伐に向わせる。

その間に、内緒で実行したらしい。

俺の友達を作っちまおうぜ。

それがミニアだ。


すると思った以上に早く討伐され、ばれた。

それでああなった。


……エリシアさん。

やっぱりやりすぎたんだな。

父さんが怒るのも納得だ。


「ゼオ?」


と、母さんに言われた。

考え事をしていたら思わずぼうっとしてしまった。

いかんいかん。

今は魔法の授業中だ。


まずは授業からだ。

魔法について知る。

自分で使うのはそれからだ。

何、知識として覚えるのは得意中の得意だ。

一日で理解してやる。


魔法は詠唱をしてこそ、だと思っていたが違うらしい。

最初は全て詠唱するらしいが、すぐに慣れを覚え、詠唱短縮になるらしい。

中には、無詠唱の者もいるらしい。

が、短縮までは楽だが、無詠唱はいきなりレベルが上がるらしい。


それにしても母さん。

俺、まだ赤ん坊ですよ。

前世の記憶がなかったらこの言葉こそ呪文ですよ。


「ゼオ、聞いてる?」

「う、うん。母さん」


種族によって、魔法の得意不得意があるらしい。

偽人族は使えない。

獣族は召喚魔法。

魔族は攻撃魔法。が、召喚魔法もそれなりに使いこなす。

人族は、というと万能型だ。


魔法の種類は四種類だ。

攻撃魔法。

召喚魔法。

補助魔法。

創造魔法。


創造魔法は、神と魔王しか使えないみたいだが。

名前だけでだいたい内容は分かるな。

でも母さんは丁寧に教えてくれた。


「攻撃魔法。相手を攻撃する魔法。そのまんまね。さらにこの中で分類されるの。魔法を使う全ての種族が使う主流の魔法だから。重要よ」


魔法を使う全ての種族。

獣族は苦手でも使うのか。

いや、同じ魔法なんだし、創造魔法以外は全種族使えるか。

その中で得意不得意があるだけだ。


「まず、五大攻撃魔法」


五大攻撃魔法。

火・雷・水・風・地。

これに氷と光がプラスされる。

氷は水が、光は雷が進化した魔法らしい。

今は別々の魔法とされているらしいが。


当然、攻撃魔法に関わらず、威力が大きいものほど魔力が減るらしい。

その魔力は、というと、未だ解明されていないらしい。

が、慣れた魔法は、消費魔力が減るとか。

よく分からんな。


「次に、召喚魔法。けどこれは、それほど覚えなくてもいいのよ」


召喚魔法。

その名の通り、召喚する魔法。

召喚と言っても、この世界にある物を近くに呼び出す、みたいなものだ。

予め、呼び出したいものに魔法をかけておき、いざとなった時に呼び出す。

これも、呼び出すものが大きければ大きいものほど消費魔力が大きいらしい。


「次は補助魔法。これは二つに分かれるわよ」


補助魔法。

その中でさらに分類すると、強化と治癒だ。

内容は名前の通りだ。


「……これで、今日教える予定だったことは全て言ったわ」

「……」


口には出さないが……疲れた。

母さんはやっぱり俺のことを子供だと思っている。

ま、実際子供だがな。

同じ事を何度も説明している。

それくらい一回で覚えれる。


さて、まだまだお昼だ。

充分魔法の、『実習』の授業をやる時間はあるだろう。

ははっ。

俺はこの時を待っていたんだ。


と、俺が立ち上がって母さんを見たら、困った顔をした。

む?今日はこれで終わりとか言うんじゃないだろうな。

俺はそんなことは許さんぞ。


「それがね……ゼオ」


母さんのその顔。

あれ?嫌な予感しかしないんだが。


「最初は詠唱からって言ったでしょ。でもね。それ、とても長いの」


ふむふむ。

それがどうしたと言うのだ。

俺はしっかりと覚えるぞ。


「それで母さん。内容、覚えてないんだ。普通は本を読むんだけど……ね」


え?

と、すると……無理?

本を買う金はない。

母さんも覚えてない。

つまり、詠唱することすら出来ないのか。


ははっ。

ははっ。


俺は。俺は。

この時を待っていたというのに……。


ははっ。

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