シェリー
今年の初めに購入したばかりの本物の毛皮のコートに袖を通しながら、シェリーは思った。
たぶん翌年には、着なくなっているだろうな、と思いながら。
さらに一緒に購入したエナメルの靴、光沢のあるデザイナーズバッグ・・・・。
おそらく半年後には、履かなくなっている、持たなくなっているだろうな、と思いながら。
そして先月に購入したこのハイブランドのジュエリーも。
きっと二か月後には身に着けなくなっている。
「さて。」
鏡の前で彼女はくるりとひとまわり。
準備が整ったので、さっそく出かけるとしよう。
街に出ると天気が良く、冬なのになんだか暖かかった。
・・今日はデート。
待ち合わせ場所のカフェに向かいながら、シェリーは腕時計をチラリと見る。
すでに20分くらい遅刻しているもよう。
ま、いいか。
今日で間違いなく、捨てるのだから。
「?」
急に立ち止まったシェリーは、何かに気が付いたようにショーウインドーを見る。
「・・・・・・・・・・・。」
とても素敵な女性がいるな、と思ったらガラス張りのウインドーに映った自分だった。
思わず、ニコリとする。
何にでもすぐに飽きてしまうシェリーだったが、自身に飽きる事はないのであった。
完




