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死神使役《ネクロマンサー》、現世《うつしよ》に惑う  作者: マツヤマユタカ@ワンバイエイト第四巻発売中!漫画も第二巻発売中!


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第三十二話 本職

 すかさず他のヤクザたちが呼応する。


「おうっ!」


 と同時に全員が全速力で距離を縮めて、俺に殺到した。


「いいねえ。嫌いじゃないぜ!」


 俺はそう言うなり、低い体勢で迫り来るヤクザたちよりもさらに腰を落とし、すかさず前方に突進した。


 あっという間に彼我の距離が零となり、俺の額が正面のヤクザの鼻っ面にめり込んだ。


 同時に左右の拳で両隣のヤクザをぶん殴って吹き飛ばす。


 一気に三人を片付けた俺は、すぐさま右に旋回。


 次から次へと拳を繰り出し、片っ端から殴り倒していく。


 その間、わずか五秒。


 もはや立っている者はなく、全員が地面に倒れ伏していた。


「ま、こんなもんか」


 結局はチンピラたちと、そう大して変わらなかったな。少し拍子抜けだ。


 いや、仕方がないか。所詮はこいつらも人間だからな。素手で俺と勝負になるはずがない。


 と、少し離れたところから戦況を見守っていた柴崎が、鬼の形相で俺を睨みつけていた。


「くっ!こんの野郎……」


 柴崎は相当腹を立てているようで、歯をむき出しにしている。


「若頭、殺さなけりゃいいんですよね?」


 柴崎は、横の千弦にそう問いかけた。


 千弦は目をスーッと細めたかと思うと、深い溜息を吐いた。


「仕方ねえな」


 千弦の答えを聞いた柴崎は、倒れ伏すヤクザたちに向かいさらなる怒声で命じた。


「おいっ!てめえら!いつまで寝てんだあっ!とっとと起きろっ!」


 柴崎の怒号に、地面に倒れ伏すヤクザたちが反応した。彼らは苦しそうな表情ではあるものの、徐々に身体を起こし始めた。


 ほう、やるじゃん。意識が飛んでいないだけ、チンピラたちよりはだいぶマシだな。伊達に本職じゃないか。


 俺がちょっと感心していると、ヤクザたちはふらふらと身体を揺らしながらも、少しずつ立ち上がりだした。


「えらいえらい。よく立ったな」


 俺は本心からそう思い、ヤクザたちを褒めてやった。


 だがそれが(かん)に障ったらしい。ヤクザたちの顔つきが変わった。


 苦しそうではあるものの、それぞれ怒りの形相でしっかりと立ち上がった。


 それを見た柴崎が、さらなる怒号を張り上げる。


「お前ら、構わねえから拳銃(チャカ)を使え!殺さねえ程度に大人しくさせるんだ!わかったな!」


 ヤクザたちは一斉に待ってましたとばかりに呼応した。


「おうっ!」

 

 と同時に皆が皆、懐に手を入れた。


 そして脇にぶら下げたホルスターから拳銃を抜き取り、俺に向かって一斉に構えた。

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