第1話 転生
『俺が産まれた家はお金に余裕が無かった。でも親はそんな中でも塾に通わせてくれ、俺もその想いに応えようと必死に勉強した。そのお陰で俺は地元でも屈指に頭が良い中学校に行き、その後も寝る間を惜しみ勉強し続けた。まぁでも友達とは遊んだ、友は一生の宝と言われてるからな。その結果、俺は偏差値87の超エリート高校に進学できた。そして俺は今、その高校の入学式に行くための通学真っ最中だ。自分でもなんで今こんな事を心の中で長々と話しているのか分からないが…』
と言いかけた時、ふと道路の方に目をやると、ボールが転がっていき、それを追いかける小さな子供が久遠の目に入った。
そして、その向こうの方からトラックが走って来るのが見える。
『ヤバいってこれ!助けなきゃ!!声をかけてもこの距離なら間に合わない。直接助けるしか……でも、もし死んだら?今までの努力は水の泡………?いや、それでも助けなかったら一生後悔する!』
次の瞬間、久遠は少年に向かって走り出し、トラックに背中を向け、庇った。
だが、トラックはもう目の前まで迫っていた。
『まずい、ダメだ。ぶつかる。』
そして、鈍く大きな衝突音と共にトラックが久遠を勢いよく吹き飛ばす。
「キャー!!」
「人が引かれたぞ!!」
「なんだなんだ?」
「誰か救急車!!」
久遠は遠のく意識の中で人の叫び声、野次馬が群がる音、少年の泣く声、様々な音だけが聞こえた。
『俺は、死ぬのか?』
視界が完全に闇に包まれ、思考だけが回る。
『まだ……死にたく…ない…なぁ。俺の………人生は……まだ…始まっても……ないのに…なぁ。』
だんだんと意識も消えていく。
『あぁ…父……さん、母さ…ん、ろくに………親孝…行できなく…て…ごめ……ん…………。』
久遠の意識は深い闇に呑まれた。
「早く起きてくださ〜い。」
突如、久遠の意識を覚ますような声が聞こえてきた。
『誰だ……?ていうか俺、生きてるのか?』
久遠がゆっくりと目を開ける。
「あ!起きました〜?」
すると、目の前にはかわいい少女が立っていた。
「え!?誰!?」
「フッフッフ、そんなに知りたいですか?なら教えてあげましょう!!聞いて驚け!!私こそが!!偉大なる四大女神の一人、真星のアルア様なのです!!」
と少女が自信満々に口を開く。
「君が?女神?ないないウソウソ、そんなわけないじゃん笑」
久遠が馬鹿にしたように笑う。
「見て笑わないでください!!」
「じゃあ魔法使ってみてよ、そしたら信じてあげる。」
「そんなの簡単ですよ。よく見ててくださいね?」
と、アルアが片手を掲げると、空から燃え盛る巨大な隕石が落ちてきた。
「いや!待って待って待って!!わかった!信じるから!!やりすぎだって!!」
久遠が慌てる。
「やっと信じてくれましたか。」
アルアがそう言いながら掌をギュッと握ると、隕石が大爆発を起こして、上空で粉々に砕けた。
「スゲー。」
久遠は見入っていた。
「それで本題ですが、貴方は今から異世界に転生します。」
「え!?転生!?」
「そう、そして貴方にも今みたいなスキルをあげますよ。転生特典見たいなものです。」
「今のを使えるようになるってこと!?最高じゃん!」
「ですよねですよね!じゃあ早速選ばせてあげます!何が欲しいですか?何個でも良いですよ。」
「じゃあまずは、傷を回復させるスキルとぉ、身体能力を圧倒的に上げるスキルとぉ。」
「ほうほう。」
「斬撃を飛ばせるスキルも欲しいなぁ。」
「いいですね。」
それから久遠は次々と欲しいスキルを言っていき、その数は数百にもなっていた。
「うーん、あと成長スピードを上げるスキルも欲しいな。まぁ、これぐらいかな〜。」
「これぐらいって…何個でもいいとは言いましたけど、こんなにたくさんのスキルは初めてですよ。あと流石にこの数は使いにくいと思うので特別にスキル同士を統合させて纏めておきます。」
「へ〜優しい、ありがとう。」
「当たり前です!女神ですから!」
アルアが誇らしげに言う。
「じゃあ転生先はこの世界で良いかなぁ。それでは、楽しい転生ライフをお過ごしください。」
と言うと、久遠の足下に魔法陣が現れた。
「え!?そんな突然飛ばされる感じ!?」
と言うと同時、魔法陣が巨大になり眩い光を放ちながら、久遠の体が光に呑み込まれ、その場から居なくなる。
遂に始まった異世界転生、久遠が飛ばされた世界とは!?
プロフィール
《御神 久遠》
髪色:白、水色メッシュ
目:金色
身長:178cm
年齢:15歳
誕生日:6月3日
好きな物:日本食
嫌いな物:怖い物
種族:人間
耐性:なし
《アルア》
髪色:金色
目:藤色
身長:154cm
年齢:3052万6529歳
誕生日:7月7日
好きな物:キラキラした物
嫌いな物:科学者
種族:女神
耐性:闇無効、毒無効