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創作詩7:のばら

作者: 香月融

本投稿では、ショートショート 第13作 「創作詩 ”のばら” 」を発表します。


私は我が子の発達障害への対応を通じて、家族・学校・病院・役所・職場・ご近所・友人知人関係において数々の不条理(差別・偏見・いじめ・暴力・モラハラ・セクハラ・パワハラ・虐待・ネグレクト・他害・自傷・機能不全家族)を当事者として目撃してきました。

 ゲーテの詩「のばら」はこれら不条理(弱者の生きづらさの原因)のメタファーとして描れています。それゆえ、彼の詩は私たちのような発達障害者家族の共感を誘います。


しかしながら、私達は果たしてそれだけで満足でしょうか? 私にできることはないのでしょうか? それは、私の体験を告発することではないかと感じるようになりました。


 「見て見ぬふりをしない行動力」は、これまでの私の人生に欠落していた資質の一つです。実際、これまで目の当たりにしてきた差別や偏見に対しても「私はいつも傍観者だった・・・」「いつもただ我慢するだけだった・・・」という罪悪感に苦しんできましたが、「今こそ!」という気持ちで詩を書き始めました。


私は、詩とは「言ってはいけない真実」を公にする手段の一つだと信じています。ただし、私の気持ちとしては、伝えたい真実を単なる情報として読者の理性に届けるのではなく、「読者に感じてほしい、情に訴えたい、自分事として考えてほしい」ということです。だから、文筆スタイルとして、散文記事ではなく「詩」を選びました。

ゲーテの詩「のばら」は聞き捨てならない!


突然、

通り魔が、

有無を言わさず、

無垢な娘「のばら」の首を折る。


無慈悲なる権力、

理不尽極まりない、

無念なんてもんじゃない、

助け他人*などいようはずもない。


このまま、

見逃してなるものかと、

目撃の反骨が黙ってはいない、

「世に知らせよ、未来へ伝えよ」と。


詩を書くとは、そういうことだ!


終わり


*脚注:「助け他人」は ”たすけびと” と読む。 


【編集後記】

編集後記

 ゲーテの詩「野ばら」の全文(ドイツ語)の全訳を紹介します。ちなみに、この詩に曲を付けた歌が、かの有名な作曲家シューベルトの代表作「野ばら」です。


 楽器や声楽をされる方は下記の楽譜「シューベルト歌曲集1」をご参照のうえ、よろしければ演奏してみてください。

 なお、楽譜「野ばら」に記載の日本語歌詞は曲の主旋律に合わせて意訳した日本語訳を当て込んだものですので、詩のドイツ語原文の全訳とは文字表現が異なります。


      野バラ


わらべは見つけた、小バラの咲くを、

荒野の子バラ。

咲いたばかりの、目覚めるような美しさ、

近くに見ようと、走り寄り、

喜びに溢れて眺めた。

荒野の子バラ。


わらべは云った「お前を折るよ、

荒野の子バラよ。」

子バラは云った、「あなたを刺します、

いつまでも私を忘れぬように、

わたしはまだ折られたくありません。」

子バラ、子バラ、赤いバラ、

荒野の子バラ。


けれども乱暴なそのわらべは

荒野の子バラを折りとった。

子バラはさからい、とげで刺した、

けれど泣き声も叫び声も何のかいもなく、

是非もなく折り取られてしまった。

子バラ、子バラ、赤いバラ、

荒野の子バラ。


作詩:ゲーテ

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