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ふたりな  作者: TKN
3/8

第二話 暴君と女帝と侍 後編

どうも高野です。 

まだまだ開始直後でキャラクターも余り固まっていない印象が節々にあると思います。

 もっとキャラの個性を大事にした文章を創る。今回はそれを念頭において書いてみました。

まだ冬の名残の残る寒空の…っておい!この文前回もあったよな!

 少し、前回の終わりより時間が遡っちゃったりしているそんな朝。(どんなだよ!)


雀ちゃんが、毎度の如く新聞配達を終え、自宅へ帰る途中。

 突如、後ろから黒塗りのバンの窓が開き、数人の手が伸びて、自転車に乗る彼女を引き擦り込んだ。


っておい!俺まだ触ってないのにヘンなとこ触ったらアトで必ずブチ殺すからな!

 展開にもツッコミを入れられる俺はある意味神だろうと思ったりしなかったり。

いや、そんな事はどうでも良い。



心配なのは引き擦り込んだ奴等だ!あんな悪鬼羅刹を・・・。

 と心配する俺とは逆に、どこで手に入れたか、クロロホルムをあろう事か雀ちゃんに嗅がせやがった!

くそ!その手があったか。 


よし俺もこんど・・・って犯罪だろうが!



そんな雀ちゃんを乗せた、黒塗りのバンは、近所の余り人のこない小麦粉の倉庫へと入り、

 雀ちゃんを簀巻きにして、地面に置いた。 まぁ、服脱がされてアレにな展開になるよりマシだが!許さん!



とばかりに、多少の時差はあれど、勢い良く倉庫へと駆け込んできた俺!

 目にしたのは、相当恐れられてるのか、念入りに、いや。



蓑虫のように簀巻きにされた雀ちゃんだった。これはこれで可愛いぞ雀ちゃん!

 なんて馬鹿な事を思っている俺に、見た事のある野郎が声をかけてくる。



この町一帯で幅きかせてるチーマーな連中。その頭。

 何故しってるか、答えは至極簡単である。




こいつを以前に完膚なきまでにブチのめしたからだ。

 成る程、雀ちゃんへの仕返しではなく、俺の急所と見て雀ちゃんを拉致ったワケか。汚ねぇ奴め。


そんな俺に、そいつ、名前は・・・忘れた。

 まぁ、どうでもいいザコその1。とでも仮名を与えておこう奴が喋る。


「よう、清水。どうやってココが判ったか知らへんが、丁度いいわ。」


典型的ヤラレキャラ口調で喋る、どうでもいいザコその1。

 そんな奴に対し、どうでもいいから雀ちゃんを離せと言う俺。


「離すわけあらへんがなボケ」


ご尤も。


「さて。取りあえず抵抗すんなよ?」


ほんっとーに!テンプレな奴だな。いいさ殴ると良い、蹴るといい!

 


       日頃から雀ちゃんに、ボッコされてるこの俺様のタフネスを見せる時が来た!


殴りかかってくる、どうでもいいザコその2 その3 その4 その他諸々!

 しかしこんなもんじゃ倒れはしません勝つまでは! 

  曲がりなりにもこの町で、鬼と呼ばれたこの俺が、こんな奴等の攻撃の10ダースや20ダース・・・



                 痛っ!!!!


余裕をカマす俺が、漫画の様に目玉が前に飛び出す衝撃と痛みを後頭部に感じた。

 

 おい!道具は無いだろう!金属バットなんて危なすぎるだろ!ちょ!チェーンまできたよ!

 全く最近の若者は喧嘩の妙味って奴をしりやがらねぇ。


なとど誰かの物真似を脳内で展開させつつ、耐え難きに耐える俺。

 いまだ涎を垂らして、安眠している雀ちゃんは余裕だな!



そんなボコられ耐えてる時間軸から、またしても少し遡る。俺が飛び出した校門。


「ちょっと。あ~あ、行っちゃった。ホント、彼女がからむと人のそれを軽く超えていくわね。清水一多。」


オリンピックの金メダリストすらごぼう抜き(俺様比)にするような速度で駆けていった俺。

 そんな俺にまだ何か言う事があったらしい。

多分これだろう。この凶器と人質ハメコンボのことだろう。

 急かされたとはいえ、我ながら先走り過ぎたと後悔する。


「杉宮和田。いって助けてあげてくれないかしら。多分、一人じゃどうしようもないと思うわ。」

そう天野は、取り残されていたカズタにお願いした。


 そして、近場で見ていた留学生。そうあの兄貴(仮)のボブである。


「oh! 何かデンジャー事デスカ? ワタシもスケダチ?するネー。」

面白半分なのか、単に人が良いのか知らんが、カズタと天野にそういって歩み寄る。

 そんなボブを見て、天野がこういった。


「あら、留学生の。」

「ボブ=グラスン デス。ワタシのパワー役に立ちますカ?」


天野はその問いに、大きく頷き、カズタと一緒に行動して貰う様に、お願いし、ボブはこう答えた。


「ノープロブレム! もーまんたいネ!ワタシがいれば ひゃくにんちからネ!」

 百人力だ!ちからじゃないリキだ!


て おま何してる! 突如上着を脱ぎ、

 ポージングして、黒光りするモカブラックの肌を露にし、見たくも無い爽やかスマイルで歯を光らせた。


それを見たカズタは、かなりゲンナリしている様だ。天野はというと、携帯で何か連絡をとっている様だ。

 こいつだけは判らん。天野財閥という相当な権力者のご令嬢だと言う事ぐらいしか。

そんな彼女を後にしたカズタとボブは、教えてもらった場所へと走った。



時間軸は戻り、いや若干進んでいるだろう。顔がちょっと鏡で見たくないぐらいボコになった俺がいる。

 それでも意地がある。こんなどうでもいいザコに膝をつくなど、プライドが許さんワケだ。


「ち、どんだけ頑丈やねんお前。」


物凄い不愉快な表情で喋るザコその1。


「へ。こんなもんか?」

と、実はキツかったりするのだが、やせ我慢をする。


「女の前やからって、格好つけんな・・よ!」

と、言うや否や、あろうことか雀ちゃんを蹴り飛ばしやがった!!

 俺は怒りを露にし、つい一番近くにいた奴を、殴り飛ばした。


「おいおい。手を出すとこの可愛いお嬢ちゃん。怪我じゃすまへんで?」


こ・・のテンプレキャラ。あくまでヤラレキャラを字で行く気か。


そんな言い得ぬ激しい怒りに身を振るわせる俺。それを見て笑うザコその1。


その笑い声か?薬が切れたのか、雀ちゃんが目を覚ました。


「・・ふぇ? …ん?」

どうやら、現状把握中らしく、暫し場を沈黙が支配する。


「なによ、これ。なんで縛られてるのよアタシ。」

そんな混乱気味の雀ちゃんに、ザコその1がわかり易く説明しやがった。


「お目覚めかいね。何、お嬢ちゃん餌にして、ちっと清水の奴を叩き潰すだけや。

  用事が終わったら離してやるさかいに。」


いや、用事が終わって離す。それはやめておけ。お前は獰猛な猛獣をわざわざ檻から放つのか?

 流石にその後を心配してしまう俺って優しいよね!ね!


「は?ってちょっとイッタ!?」




何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?

この時痛みよりも激しい衝撃が俺の体を貫いた。


俺のあだ名呼んでくれただと!?ということは、心の中では清水君。じゃなくてイッタだったのか!?

 痛みじゃない。断じて痛みからじゃない感動から、涙が出そうになった。


「何してんのよ!さっさとこいつら倒したらいいじゃない!」


無茶言うな、お前自分の立場判って無いだろう。


「あはは!そいつは無理やでお嬢ちゃん。」

笑いながら丁寧に説明するザコその1。


そして、ボコになった俺の顔を見てようやく気付く雀ちゃん鈍すぎないか!


「じゃ、じゃあ。」


「そやね。まぁ暫く愛しの清水君が血だるまになるん大人しく見といてな。」


確認しようとする雀ちゃんに、ザコその1が笑いながら答えやがった。


しかし!愛しのなどとつけてくれた所に俺は内心狂喜乱舞した!。


「は?」

呆気にとられた様に、ザコ1に答える雀ちゃん。


「物凄い勘違いしてません?そこのブサイクと何の関係もないよアタシ。」


ひど!  言うにことかいてブサイク!?

 いや確かにボコられて顔腫れて凄い事になってるけど、ブサイクはないだろう!


「健気やなぁ。いや感動するわ。じゃ大人しくボコられるとこみといてな。」


そして再びボコられる俺。


「ちょっ。やめなよ!死んじゃうよそれ以上やったら!」


確かに、洒落にならんダメージが蓄積してきている。

 ほら、ココ見て!名前と名前の枠が赤色になってるよ!瀕死だよ!?



そんなやり取りを、倉庫の二階から隠れてみている二人の影。

 そう、カズタとボブである。

どうやら助ける算段を取っているようだ。頼んだぞ!どうにもならんからこっち!




「良し、こうしようボブ君。ここにあるコレを。こう・・・」

「oh…、任せるネ。」


どうやら算段は済んだ様だが、そんな事は露知らず、

 ボコられ耐える俺に耐えかねたザコその1が提案してきた。


「本当に頑丈やな。しゃあないな。んじゃ、跪け、そして俺の靴でも舐めたら許してやるよ。」


は?やれと?そんな事をするとでも?


「まぁ、しなかったらお嬢ちゃんどうなってもしらんがな!」


と、これが文章なら芝生が大量発生しているだろう笑い方をしやがった!

 つかどうする?こんな奴に跪いて靴なめるだと!?

 然し、雀ちゃんの事もある。・・・・。



意を決したかのように、ザコ1の前に歩みより、膝をつこうとする俺を見た雀ちゃん。


「ちょ!やめなさいよイッタ!そんな事する必要ないよ!」


大有りだ。仕方ない。これで終わるのならあえて苦渋を舐めよう。

 そして雀ちゃんを無事救出した後・・・脳内ではとても筆写出来ない様なドス黒いものが渦巻いていた。


「やめて!やめろってのこのブサイク!バカ!跪く前に死ね!」


・・・・ソコまで言うか、一瞬跪くのやめようかと思ったりもしたが、観念したその時。


二回から大量の小麦粉の粉が降ってきた。


 成る程!そういう事かぁぁぁぁっ!!!!!!!


小麦粉の不意打ちで、目くらましを食らったザコ達は目を押さえ、さながらム○カである。


俺ははというと、跪こうとしたのが幸いか、まともに顔にかかる事もなく、その一瞬を逃がさず。

 ザコその1の横をかけぬけ雀ちゃんを助け出した。 ナイスアシストだカズタ!


そして、小麦粉が舞い散る倉庫の中。

ようやくその粉が収まりかけ、腰を落として、目を擦るザコ1の視界に入ったのは。


挿絵(By みてみん)



「・・・地獄行き決定だ固羅・・・」


悪鬼羅刹の様な形相をする雀ちゃんと。

顔が腫れあがりデッサン崩壊しつつも怒り狂う俺。


またしてもヒロインにあるまじき形相で、腰をおとしているザコその1を睨み見下す。

 俺も然り。



その瞬間、半径数百メートルは届こうかという絶叫が木霊した。

 あえなく轟沈するザコその1。そして、群れて襲ってくるその他大勢。


流石に多勢に無勢で押され気味の俺が目にしたモノ。

 長い事喧嘩はやってるが、あそこまで巧い反撃を繋げる奴は初めて見た。

  俺はその他大勢を殴りながらも、雀ちゃんと一度ガチでやってみたいと思ったりもした。


殴りかかる奴には、その勢いを利用した、肘のカウンター。

 蹴りかかる奴には、相手の蹴り足を肘で迎え撃つカウンター。


全てが防御という構成でありながらも、確実に相手の攻撃力を奪う。

  破壊防御とでも言えばいいんだろうか。

   もって生まれた動体視力に、長い事新聞配達をしたからであろう、足腰の強さも相まって物凄い強さである。


然し、それでも人数が人数。やはり押され気味になってきたその時。


「oh!ケンカパレード!ワタシも参加するネ!」

と、恐ろしい事に、人間一人を片手でリフトアップして、俺の方にぶん投げてきた! 

 あたったらどうすんの!?と思わずザコその1の口調で突っ込んでしまう俺。


「hahaha!もーまんたーい!」

お前がよくても俺はよろしくねぇ! そんな重戦車みたいな奴を加えて数分。


ついに、ザコ大勢を一掃するに至る。


俺はいてもたってもいられず。雀ちゃんの下にかけより、心配を口にしたその瞬間。

 

      くの字に曲がっていた。


やばいよ息子。大丈夫か息子ってか超!いてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!

 悶える俺を見下して言う雀ちゃん。


「バカ。ブサイク。」

やはりツンだ。この程度の展開では、彼女の絶対零度のツンは溶けないらしい!悔しい!!!!



「hahaha、素晴らしいデスネ。ワタシ見てわかりました。」


と、両手を挙げて、凄まじく気持ち悪い笑顔で、俺をハグしやがった! 

  やめて!キモいから!!  やめて!痛いから!!!!


余りの超絶パワーにキシみ悲鳴をあげる俺の体。

 それを見て、笑いながらこっちにくるカズタ。

「ぷっ。お似合いだよ。イッタ。ぶ・・・くく。」

抑えきれない衝動。まさにそれである。

 必死で笑いを抑えようと我慢しているカズタがきた。


「あんた達もいたの?」


呆ける様に聞く、雀ちゃん。


「当然ですよ。大事なクラスメートが危ないのですから。

「そうネ!クラスメート大事ネ!ニッポンダンジだったらもっと大事ネ!」


おい。そこのボブ!観点ズレてるぞ!!!


「ど・どうもありがとう。」

照れた仕草で、凄い可愛い笑顔を二人に向ける雀ちゃん。


つて俺は!?俺は!???と、おねだりする俺。それを見た雀ちゃん。


「見たくないわそんな顔」


酷いわ!貴方の為に私はここまで尽くしたのよ!?

 そんな利用するだけして捨てる様な男見たいな事いわないで!

というか何故俺だけこんな仕打ち!ねぇ教えて神様!!!



「hahaha、ノープロブレム。しかーし。凄いネ。ワタシわかりました。」

そういえば、判ったといってたな、なんだ。判ったって。


「ヤマトスピリッツ理解しました!ありがとうございま・・す?」

なんで疑問系になる。どうやら、部分的に理解してない部分があるみたいだが、それは置いといて。

 ヤマトスピリッツ、大和魂か。しかしそんなもの、どこをどう理解したんだ?

と、そんな疑問をボブにぶつけた俺。


「oh!ユーね。ユーの中にワタシ、サムライを見たね!

  キングのタメに、自分をキルできる素晴らしいマインドね!」


キング。ああ、忠義心か。確かにさっきのはそれに通じる所もあるが、ちょっと違うくね?まぁいいか。


「イッタ!ワタシはユーをこれからサムライと呼びマス。」

やめてくれ! 恥ずかしいからやめてくれ!侍なんて呼ばれたくないいや素で遠慮とかそういうのじゃなく!


「そして。」


何だ、まだなんあるのかボブは雀ちゃんの方を向く。


「スズメサン。ユーはまさしく・・・」


何だ、家臣を思う名君とでも言うのか?とんだツンだけしかない名君だな。









「タイラントね!」


「暴君かよ!!!!!!!!!!!!!」

思わず声を出してツッコミを入れてしまった!いや、入れざるを得ない!

 しかし何で暴君なんだ?それっぽい所あったか?

そんな疑問を俺じゃなく、雀ちゃんがぶつけていた。


「ちょ。なんでそうなるの。アタシがなんでそうなるの。」

 その通り!なんでどうして暴君なんだ!?


「hahaha、バイ○ハザー○知らないですか?あのタイラントの右腕ネ!ユーの腕は。」


成る程納得。凄まじい破壊力を持つ某ゲームのアレか。つかどんな脈絡だよ!


やった事がないのか、可愛らしく首を傾げる雀ちゃん。腹を抱えて笑うカズタ。呆れる俺。


そんなやり取りをしつつ、俺達は、倉庫を後にした。





「ちくしょう。これで勝ったと思うんやないで。次はもっと人数ふやして・・・。」


しつけぇな。いい加減死なすぞ固羅。

 と、そんないない俺の怒りの声に成り代わり、制裁を下す声が聞こえる。


「次は…、ないわね。」


倉庫の隅、暗がりの中でうっすらと光る見事な長い金髪。どう見ても天野だ、今までなにしてたお前。



「誰やお前。」


ザコその1がそう言ういな、天野がゆっくりと歩み寄る。


「貴方みたいな下劣な輩に、名乗る名前なんて、持ち合わせてないわ。」

物凄く冷めた目で、見下す天野。そして、細く綺麗な右腕を挙げた瞬間。



「な・・・。」

目を丸くして疑うザコその1.


それは仕方ない。その腕が上がった瞬間。その倉庫は日本にあるはずのない。いやあったらだめだろ!?

 的な、戦場へと変貌していた。


何故なら、どこに隠れていたのか、腕を挙げた瞬間、

 ゴム弾なんだろうが、武装した傭兵らしき者達が、辺りを囲っていた。

 

そりゃビビル!俺ならチビッてるかも知れないいやまじで!


「お嬢様。この者如何致しましょう。お嬢様のご学友にあのような仕打ち。断じて許されるべきでは御座いませんが。」


と、武装した傭兵の中で、一人、タキシードを着た白髪の老人が、天野に問いかけた。


「任せるわ。死なない程度に。」


「畏まりました。お嬢様。」


と、深くお辞儀をすると、取り囲んでいる傭兵達に、手で合図をする。


「でも、二度と彼らと関わりを持つ事を避ける様に。




            絶対的な恐怖をしっかりと教えてあげてね。」



こわ! 素でこわ!権力という名の超絶的暴力!!この時、こんな奴だったとは、

 俺も含め、クラスの連中誰一人として知る良しもなかった。


何故なら、天野はクラスでは、人柄も良く、面倒見の良い才色兼備を兼ね備えた才女であったからだ。

 本来なら、あんな学校にいる筈も無い様な存在。

 それがこんなダークな一面を持っているなんて誰が思うものか!いや、ただ一人いた。


やる事は違えど、後の事を危惧したのか、ボブだけが俺達と途中で別れて戻っていたのだ。

 そんな彼女を見てしまったボブが声をあげる。


「ジーザス・・・。」


それは驚く、世界でも有数の治安の良い国家に、一個小隊がいるんだ。普通驚く。

それに気付いた天野が、ボブに歩み寄り、彼の耳元で彼の国の言葉で、何か囁いた。

 その瞬間彼は凍りつき、背筋を伸ばしこう大声で答えた。


「イエス!エンプレス!」

エンプレス・・・。女帝か。余りに似合いすぎるあだ名をつけられた天野。


「エンプレス。」


おい。何満足気な顔して納得してるんだ! 否定しろよ!おい!!



直後、凄まじい断末魔にも似た声ならぬ声が倉庫に響き渡った。






そんな満足気な天野に、執事のエドワード爺さんが話しかける。

「お嬢様、これぐらいで如何でしょう。」


おもむろに、ザコその1を見ると、


うわ!ひでぇ!筆舌に尽くし難い責め苦を味合わされた後とだけいっておこう。


「ええ、それぐらいでいいわ。じゃ…撤収。」


「は。」


天野の言葉に、証拠を残さず手際よく片付け撤収する傭兵達と、天野。そしてボブ。







そこから場所は移り、カズタと別れた俺と雀ちゃんは、まだ家の方向が同じ所為か、まだ一緒に歩いていた。

 流石に遅刻過ぎて学校に行く気にはならなかったらしい。カズタは行ったみたいだが。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。







耐えがたき沈黙!そして抱きしめたいこのシチュエーションと衝動に耐える俺。

 そんな沈黙を破る様に雀ちゃんが俺に話しかけてきた。

「ねぇ。どうしてあそこまでして助けてくれたの?」


愚問!愚問だよ!そりゃ大好きな雀ちゃんの為ならたとえ火の中水の中こえだめ・・・はちょっと嫌だな。

 そんな言葉に雀ちゃんはこう答えた。

「じゃあ、付き合ってみる?」





え? いやまって!そんな早期完結しそうな展開というか、何の感動もないまま恋愛成就しちゃダメだろう!?

 と、ツッコミつつも、激しく喜びに打ち震える俺。


「そんなに、嬉しいの?」


それは当然とばかりに言葉とジェスチャーを同時に駆使する俺。


「ふ~ん。」


待って!その反応もしかして、好きとか嫌いとか!

 それ以前にそういう感情持ち合わせてませんってパターンですか!雀ちゃん!!!!!!


「とりあえずよろしくね。」


何か、友達未満から、友達に昇格!といった感じにしか思えません!でも付き合うといってくれてるから、

 友達以上だよね!?だよね!!!?


そんな脳内で激しく葛藤しつつ、家路の途中、電柱の木陰にみかん箱。

 まさか。・・・覗き込むと子犬がいた。


「あ。」

雀ちゃんが予想通り座り込み、俺の方を責める様に見る。


 見ないでっ!そんな目で俺を見ないで!!!俺はっ俺はぁぁぁっ!!


「今度は、ちゃんと飼ってくれる?」


チャンス到来!ここぞとばかりに、俺は激しく頷いた。


「じゃ、はい。」


手渡された一匹の子犬。 奇しくも、今の俺のボコられて晴れ上がった顔と酷似しているパグであった。


「まるで親子みたいだね!」

初めて!初めて極上の笑顔が俺の方に向いた! 頑張った甲斐があったというものだが然し!


 それ、つまり俺の顔がパグ。ブサイクって事じゃないのか雀ちゃん。

 そう聞くと。

「うん!」


と、これまた凄まじい破壊力の笑顔が俺を吹き飛ばしてくれた。



そして、あの時と同じように、一人家に帰る雀ちゃん。

              一人、子犬を抱える俺。

ただ違うのは、くの字がいなかった事だ。


今度こそはと、逃がさない様、しっかりと抱きしめて帰るのであった。まる。





第二話。暴君と女帝と侍 後編  終わり!



やったよ!凄まじい手間かかったけど、振り出しにもどれたよ!

 いや前進したね! 付き合うといってくれたんだ!本人意味判ってないのが非常に残念だが!


さぁここから俺と雀ちゃんのめくるめく純愛ラブストーリーが始まる事を切望してさらば!


 

さぁ?<めくるめく


と、第二話最後まで読んで戴いて有難う御座います。


まだまだ、ぶっ飛んだのぶの字もでていませんが、段々とアレな展開になっていきます。


では、どうも有難う御座いました。

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