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パウエル将軍は一応ジョージの祖父

 練兵場にいたパウエル・サライドール将軍を王城の会議室に呼び出した。

 パウエル将軍はとても不服そうな顔を隠そうとしない。

 俺達はナルド国王の横に控えている。この位置がダンに指示された位置だ。俺達がいるだけでパウエル将軍に圧力をかけられるからだそうだ。


 ナルド国王はベルク宰相からの信書をパウエル将軍に差し出した。

 不思議な顔をして信書を読み始めるパウエル将軍。読んでいくにつれ、顔からは大量の汗が流れていく。


 あ、こりゃ当たりだ。動揺し過ぎじゃん。


 ナルド国王がパウエル将軍に問いかける。


「この信書の内容が本当かどうか確認したい。王家打倒の話をサライドール家で話していたという事だが、何か申し開きはあるか?」


「こ、これは不平、不満、言ってみれば愚痴みたいなものではないですか。確かに王家にとって不敬な内容を話し合っていたと思いますが、本当に王家打倒をするなどとは微塵も考えた事はございません」


「現在、ロード王国は国難に襲われている。一致団結して、この国難を越えていかなければいけない時に、愚痴とはいえ冗談では済まされないぞ」


「しかし、エクス帝国と戦わずして貢ぎ物を献上するなんて腰抜けではないですか。そんな事では国体は守れません。なんのための軍隊なんですか!」


「ならばお主はエクス帝国が攻めてきても跳ね返せるって事か? ここにいるジョージ・グラコート伯爵に勝てると言っておるのか?」


 俺を見て無言になるパウエル将軍。

 ナルド国王が鼻を鳴らす。


「それ見たことか。誰もドラゴン討伐者(スレイヤー)には敵わないと理解しておるはず。未だに謁見の間は修繕工事中だ。エクス帝国の外交団の通り道でどれだけの貴族の屋敷が壊されたと思っている。城門を壊された街もあるぞ。また数百人を軽く戦闘不能にしてしまう。天地がひっくり返っても無理なんだ。それにお主はジョージ・グラコート伯爵の取り込みに失敗しておるじゃないか。今のロード王国は我慢の時なんだ」


 項垂れるパウエル将軍。

 パウエル将軍は武人なのに、俺と戦えば負けるとナルド国王に言われて、またパウエル将軍が自分でもそう思っているに違いない。

 心中慮る。

 俺が原因だけどね。

 しばしの無言の後にパウエル将軍が口を開いた。


「それで私の処罰はどうなるのでしょうか? 今更、弁解は致すまい。確かに愚痴とはいえ止めるべきであったと思う。どんな罰でも受け入れさせていただきます」


「悪いがパウエル将軍の罪は問わない。今はロード王国が一致団結する時だ。それにお主はまだロード王国王家に反逆しておらんではないか。王家討伐という言葉は愚痴ということで、ギリギリ納得しよう。その会合に出ていた連中にも良く言い聞かせておく様に。特にエクス帝国のドラゴン討伐者(スレイヤー)に歯向かう事は馬鹿な事だとな」


「寛大な御心、感謝いたします。私のほうからしっかりと言って聞かせておきます」


 あら? 簡単に仲直りしたな。案外、ナルド国王は懐が深い? 王家への反発が無くなったわけではないと思うんだけど、大丈夫かな? まぁ俺が考えることではないか。


 ダンが肘で横から俺をつつく。

 うん? 何かあるのか?

 良く分からんからダンに任せちゃえ。


「誠に申し訳ございませんが、ウチのダンより話があります。お時間を取らせてもらってよろしいですか?」


 俺の発言にビクッとするナルド国王とパウエル将軍。

 そんなに怖がらんでもねぇ。まぁそれだけの事を前回はやってしまったのか。平和主義の俺なのに……。ベルク宰相のせいだな。


 ダンはナルド国王とパウエル将軍の返事を聞かずに、話し始める。


「まずはロード王国が内戦に進まないようで何よりです。エクス帝国としましても喜ばしい限りであります。しかしながらエクス帝国には問題が残っております。とても重要な問題です。ナルド国王もパウエル将軍も分かっておられますよね」


 ナルド国王はダンの言葉に頷いた。そのままパウエル将軍に話を聞く。


「サライドール家での集まりで、エクス帝国の皇帝陛下であるザラス陛下を暗殺できるように工作が進んでいると一人の男性が発言したとの情報がある。これは本当か?」


「確かにそのような発言があったような気がしますが、誰も本気にはしなかったですな。確か、発言したのはバルバン伯爵だったような……」


「それでは早速バルバン伯爵を呼ぶとするか」


 そのナルド国王の言葉にダンが口を挟む。


「バルバン伯爵を呼ぶのは良いのですが、もし暗殺に関わっているようなら褒めてあげてください。どうしてそのような事を考えたのか知りたいですので。できればナルド国王とパウエル将軍とだけ面会していただくと良いかと。どこか私達が盗み聞きができる面会場所があれば結構なのですが」


 ナルド国王は深く頷いた。


「それなら私の私室が良いな。寝室への扉を軽く開けておけばバルバン伯爵の話も聞こえるだろう」

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