新婚の甘い生活?【スミレの視点】
スミレ・グラコートの視点です。
結婚式から現在までになります。
【スミレ・グラコートの視点】
私は7月30日【無の日】に大勢の人に祝福されてスミレ・ノースコートからスミレ・グラコートに名前が変わった。
神殿でのジョージの誓いの言葉には嬉しくて涙が溢れそうになった。
その後の慈愛の口づけでは幸せのあまり身震いしたのを覚えている。
その後の盛大な拍手はシャワーのように私達に降り注いだ。
本当に素晴らしい思い出だ。
しかし結婚式が終わると段々と緊張してくる。新婚初夜が身近に感じてくるから……。
夕方、グラコート伯爵家の屋敷に入った。
使用人達総出で出迎えてくれ、「おかえりなさいませ! 旦那様! ようこそ! 奥様のスミレ様!」と言われる。
奥様って……。
恥ずかしい。
でも結婚したんだなぁってぼんやり思った。
湯浴みの用意が済んでいると聞いて、否応無く意識してしまう。
ドキドキしながら寝室への扉を開く瞬間。
緊張しているジョージの姿。
不器用ながらも一緒になれた感動。
ジョージの荒々しさの中にある優しさ。
未明の朝に大切に抱いてくれた幸せ。
私の中でどれも一生忘れられない大切な記憶だ。
ジョージに抱かれていると、ジョージの魔力を色濃く感じる事ができる。
普段は飄々(ひょうひょう)としているけれど、芯には力強いものがある。
その根源にあるのは全てを浄化する炎。
敵は全て焼き尽くす、味方は優しく暖めてくれる。
この人は一人にしてはいけない。
いつまでも優しいジョージでいて欲しい。
ジョージがこの世を恨んだら、世界は破滅する可能性がある。
自惚れかもしれないがそれを止めるのは私しかいないと思う。
それを思った時、私の一生の目標が明確になった。
民を守りたい。
皆んなに幸せになって欲しい。
民を守る力が欲しい。
そう思って努力してきた。
しかし今は少し形が変わった。
ジョージと共に生きる。
それが私の願いでもある。
またその事が民のためにもなる。
ジョージには笑顔が良く似合う。
そんなジョージが世界を滅ぼすのはダメだ。
出来るだけジョージと笑い合っていたい。
そのために魔力制御の上達を目指して私は努力する。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ロード王国外交団の任務中には一度だけ身体を許した。
ベルク宰相から殺人を初めて経験した人は人肌で慰めるのが一番と言われたからだ。
任務中だったがジョージの魔力と交り合うのは最高だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ノースコート侯爵家が治めるハイドンでジョージは夜の街にライバーとカタスと消えて行った。
理解はしているが感情は抑えられない。
心が重くなる。
それでも顔には不満を出さないようにした。
予定とは違い、ジョージは早い時間に帰ってきた。
あんなに楽しみにしていたのにどうして?
次の日の馬車の中でジョージは昨晩の話を全て話してくれた。
ジョージは私以外に魅力を感じなくなったって熱弁している。
私の心はとても軽くなった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
外交団から帰ってきたジョージは凄かった。
今までの鬱憤を全て吐き出すような行為。
時に激しく、時に優しく、執拗に私を求める。
段々と私の心も身体もジョージを求めるようになっていった。
朝方に何度目かの絶頂を迎えた。
ジョージは裸の上にガウンを着て、部屋を出て行く。
ようやく終わりかと思ったのが間違いだった。
「俺はまだまだスミレを堪能したいんだ。今日は休みだから付き合ってもらうよ」
私は耳を疑った。
昨晩からの行為は半日に及んでいる。
それをまだまだ私を堪能するってジョージは言っている。
私は少し呆れながらもジョージを受け入れた。
その後も軽食を食べていると襲われる。
恥ずかしかったが一緒にお風呂に入ると背後から襲われる。
これにはさすがにジョージに注意したが、反省の色が見えなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ジョージが裏でこそこそとノースコート侯爵家の御用達商会のカスタール商会に会っていたのは分かっていた。
私は何か欲しいものでもあるのだろうと軽く考えていた。
長期休暇明けの修練のダンジョンに入った時にジョージが一生のお願いと言い出す。
ジョージが取り出した物を見て驚愕した。
カスタール商会から購入した物はこれだったのか。
それは赤のビキニアーマーである。
それもなかなか際どいタイプだ。
正に防御力ゼロの防具がビキニアーマーである(そんなの防具と呼べるのか疑問だが)。
私は何度も着るのを拒否したが、結局ジョージの熱意に負けてしまった。
殺し文句は「俺はスミレ以外で欲情できないんだ!」だった。
恥ずかしい言葉だが、とても嬉しく、ジョージをいじらしく感じてしまう。
渋々ビキニアーマーに着替える。
サイズはピッタリだ。
さすがカスタール商会から購入しただけある。
こ、これは裸より恥ずかしいかも……。
ジョージの眼がランランとしている。
それが恥ずかしさを倍増する。
こんな姿、ジョージ以外に見せられないわ。
ここが二人しか入れない修練のダンジョンだからできることだ。
それでも魔物を倒していると、戦いに集中してくる。
恥ずかしさも薄れてくる。
ジョージはいつもよりも楽しそうだ。
恥ずかしかったけどジョージが喜んでくれて良かった。
そう思ったが間違いだったかもしれない。
暴走気味のジョージがドラゴンに突撃して瞬殺する。
そして今度は私に突撃してきた。
さすがに任務中であり、ドラゴンが出るこんな草原で押し倒されるとは思わなかった。
何度も任務中だからダメと言うが、それがとんでもないことにジョージの興奮材料になっているようだ。
ドラゴンが来たらどうするのと言ったら、ジョージは魔力ソナーで確認しているから大丈夫と言う。
私は諦めて身体を委ねた。
行為の後にはさすがに怒った。
何故かジョージは誇らしげに「スミレは最高だ!!」って叫んでいたけど……。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
それから毎日、ドラゴン討伐にはビキニアーマーを着ている。
次の日は黒のビキニアーマー、その次の日は青だった。
いったい何着作ったのだろう?
そんな私に一つ問題ができた。
認めたくないのだが、それは修練のダンジョンの4階で、またジョージが襲ってくるのを心待ちにしている自分が存在している事だ。
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