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ダンスレッスンと妹との思い出

9月6日【無の日】

 残念な事に昨日、スミレの女の子の日がやってきた。さすがに俺も自重はする。


 今日の午前中はルードさんのマナー講座だ。

 朝食を食べ終わるとルードさんが1人の年配の女性を連れて屋敷にやってきた。年配の女性はとても穏やかな雰囲気をしている。


「今日は妻のリースを連れてきました。ジョージさんに貴族らしくダンスを習得して欲しいと思いましてな。リースはダンスが得意ですから」


 だ、ダンスだと!?

 あの女性と2人でステップを踏む上流階級の申し子のダンスとな!

 は、ハードルが高過ぎるような……。


 俺の動揺に気づいたルードさんがフォローを入れる。


「別にダンスの達人になる必要はありません。ただダンスをやると姿勢が良くなるんですよ。日常動作の優雅な動きにも繋がりますから。この屋敷にはダンスの練習ができる部屋があるじゃないですか。使わないのは勿体無いです」


 そうなのだ。

 このグラコート伯爵邸にはダンスが練習できる片側の壁が鏡張りの部屋があるのだ。

 本当はスミレと違う事に使う予定だったのになぁ……。


「初めまして。ルード・サラバンの妻のリース・サラバンと申します。ジョージさん、スミレさん、よろしくね」


 リースさんの挨拶は背筋がピンと伸びてとても綺麗だ。

 ダンスを習うとこうなるのかな? そういえばスミレの背筋もいつも綺麗に伸びてるな。


「それでは早速始めましょう。スミレさんは侯爵家の娘さんだから、一通りはダンスができるでしょう。ジョージさんをリードしてあげてね」


 そこからみっちり3時間ほどリースさんのダンス指導を受けた。パートナーはスミレが引き受けてくれた。

 普段使わない筋肉を使うようで、レベル200を超えた身体でも疲れが出た。

 恐るべしダンス。


「なかなかジョージさんは筋が良いわ。これなら社交界の人気者になれるかもね。スミレさんはダンスの基本は問題ないわ。ただしもう少し優雅さが欲しいわね。魅せる事を覚えたらダンスのレベルが一段階上がるわよ」


 こうして俺とスミレのダンスレッスンが毎週行われる事になった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 夜の寝室でスミレに腕枕をしながら横になっていた。

 スミレがポツリと話し出す。


「ねぇ、ジョージ。妹さんのエルさんはどうするつもり?」


 あ、やっぱり気にしていたか。


「どうするも何も、俺にできる事はないよ。ベルク宰相に全て任せているから」


「ジョージはそれで良いの?」


 う〜む。そう言われると考えてしまうな。ロード王国に行って、俺の中で祖父と母親とは決別できた。


 妹のエルについてはどうなんだろう。もともと一緒に住んでいる時から母親の影響からか、エルは俺を避けていた。

 家族だけど無関係。本当にそんな感じだった。

 サライドール家で初めてエルの激情を受ける事になったけど。俺の心情はエルとは無関係って感じかな。

 結局、一緒に住んでいる時から無関心だったんだろうな。


「俺はエクス帝国の軍人だ。妹のエルはロード王国の軍人。その基本は忘れないつもりだよ。ただ一応、血は繋がっているから、エルから俺に何か頼むのなら考えても良いかな。俺から動く気は今のところないかな。そもそもアイツはサライドール家で俺にファイアアローを撃ち込もうとしたからね」


 俺もスミレも妹には恵まれていないな。

 何か急に悲しくなる。

 俺はスミレを強く抱きしめながら夢の世界に入っていった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「結局、一緒に住んでいる時から無関心だったんだろうな」 母親が妹だけ連れて行ったのを恨んでるんだろうな。もっと、普通に妹思いになって欲しい。
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