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湖畔で始まる恋

休暇の一週間を一日ごとに区切りたかったため短めです。

ご了承のほどよろしくお願いします

9月4日【黒の日】

 夫婦とは()くもまぐわうものなのか……。

 昨晩も変わらずスミレと肌を重ねている。

 こりゃ依存症になっちゃわないかな。ちょっとだけ心配だ。


 朝から天気が良かったため、馬車を借りて近くの湖にスミレと出かける事にする。メイド見習いのサラと雑用係から執事見習いに格上げになったマリウスとナタリーの息子のザインも連れていく。

 若い人だけで遊びに行く感じだね。

 昼食はバキがお弁当を作ってくれた。


 帝都の南には、そこそこ大きい湖がある。観光地にもなっているのだ。砂浜があり湖水浴ができる。

 今日は少し暑くなりそうだ。

 日陰に荷物を置き、砂浜を歩き出す。


 スミレは水着にならず、足を湖に入れて楽しんでいた。

 今日はスミレは白のワンピースを着ているが、腰には【雪花】を差している。スミレはこんな時にも警戒しているんだ。

 何となくエクス帝国には戦争の雰囲気が漂っているからかな。


 サラとザインは水着になって湖水浴を楽しんでいる。

 若いって素敵だね。

 俺は日陰で横になった。

 基本的には俺はインドア派なんだよね。遠くから見るスミレも綺麗だな。

 あぁ……。幸せってきっと、こういう事なんだろう。


 何か騒がしいぞ。

 あれ? サラが男性3人組に絡まれている。

 ザインがサラを守っているが、多勢に無勢だ。3人組の男性にサラを連れていかれそうになっている。

 あ、ザインが背の高い男性に蹴られた!


 その時、スミレが気が付いて腰の【雪花】を抜く。

 りんりんりんとここまで【雪花】が鳴く音が聞こえる。

 ちょ、ちょっとやり過ぎでしょ、スミレ!

 俺は慌てて騒ぎの中心に走り出した。


「こらこら馬鹿な真似はやめなさい」


 穏やかな俺の声に、動揺していた男性3人組が(いき)り立った。


「なんだ! お前は! 関係ないだろ! 黙ってろ!」


 あらら。舐められちゃったかな? せっかく助けに来たのに。


「あ、わかった。じゃ、勝手にやられてくれ。命まではスミレも取らないと思うから」


 俺は踵を返して日陰に歩き出した。


「ちょ、ちょっと!」


 焦る男性3人組。

 俺の制止が無くなったスミレは嬉々として男性3人を皮一枚の深さで切り刻んでいる。

 軽く血がででるなぁ。


「ギャー!!」


 悲鳴を上げて男性3人組は逃げていく。

 取り敢えずサラとザインに怪我は無くて良かった。

 あれ? サラとザインの距離感が近くなった感じがする。まぁ良いか。


 その後、俺は日陰でウトウトし始めた。

 うん?

 鼻を摘まれた。

 目を開けると俺の鼻を摘んだのはスミレだった。


「ジョージ、ボートに乗ろう!」


 眩しい笑顔で俺をスミレが誘う。

 なんて綺麗で可愛いんだ。


 俺は飛び起きてスミレの手を取り、ボート乗り場に歩き出した。

 2人乗りのボートを借りて湖に漕ぎ出す。

 ここで問題が生じた。そう、俺はボートを漕いだ事が無いのだ。そんなレジャーとは無縁の子供時代だったからな。


 しかし俺には魔力循環がある。

 身体能力向上だ!

 力任せにオールを漕ぎ出す。ボートは進むが無駄が多い。それに水飛沫がボートの中までかかってくる。


「きゃー!」


 悲鳴を上げながらも楽しそうなスミレ。

 冷たい水が暑い日差しにちょうど良い。

 あ、濡れた白のワンピースが透けている……。

 陽光に光り輝くスミレ。

 水飛沫がアクセントになっている。

 笑顔が素敵だ。

 身体も素敵だけど……。


 服が透けている事に気が付いたスミレの顔が赤くなった。


「今日の日差しならすぐに乾くよ。漕ぐのに慣れてきたから、少しゆっくり進もうか」


 こくりと赤い顔で頷くスミレ。

 やはり恥じらいは女性の魅力を数倍上げるなぁ。


 服も乾いたのでボートを返却した。

 そろそろお昼だ。

 荷物を置いた日陰にはサラとザインが楽しげに会話している。近づくとサラが俺に勢い良く話しかける。


「旦那様、私、ザインと付き合う事にしました!」


 あらら、男女の仲はそんなもんだな。

 スミレはサラとザインに気を遣って、俺をボートに誘ったのかも。


「了解だ。それなら魔導団の男性は紹介しなくて良いんだな」


「はい! もう必要ないです」


 見つめ合うサラとザイン。

 まさかこんな事になるとはね。グラコート伯爵家の屋敷は、職場恋愛を認めるから喜ばしい事だね。

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