食事のマナー講座
休暇の一週間を一日ごとに区切りたかったため短めです。
ご了承のほどよろしくお願いします
9月3日【赤の日】
昨晩も当たり前のようにスミレとハッスルした。新婚なんてこんなもんだ。いや5年後も同じ事をしている自信が俺にはある!
スミレは朝から魔力ソナーの修練をしている。
スミレ曰く、魔力ソナーの有効距離が、そろそろ頭打ちのような感じらしい。
たぶん200m弱くらいかな。やはり小さい頃からやっておくと伸びが良いのかも。
その代わりスミレは体内魔力と体外魔力の切り替えを速くする修練をしている。
タイムラグが無くなってきているな。
これで魔力ソナーから瞬時に身体能力向上に切り替える事ができるようになる。
俺は気楽に魔力ソナーと魔力循環の併用の修練をする。
やはり毎日やる事が大切だよね。
朝食を食べながら、メイド見習いのサラに話しかける。
「サラ、魔導団の男性の紹介の事なんだけど、ちょっとだけ待ってくれるかな? 紹介する予定だった男性が駄目になっちゃってね」
「あら旦那様、しっかりと覚えていてくれたのですか。急ぎませんので良い男性を選んでくださいね」
やっぱりサラはちゃっかりしてるんだな。スミレとも相談して考えるか。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
夕方、俺のマナー講師のルード・サラバンさんが屋敷にやってきた。
今日から【赤の日】の夕食は、一緒に食べながらマナーを指摘してくれる。優雅な食事の仕方のルードさんを見ているだけでも勉強になるなぁ。
「ジョージさん、一口で食べる量をもう少し小さくした方が良いですね。たとえ美味しい料理でも、ゆっくり味わって食べましょう。その方が優雅に見えます」
なるほどなぁ、バキの料理は美味しいから、ついがっつきたくなるんだよね。小さく、ゆっくりか。
「そうですね。それくらいが宜しいかと思います。食事中も背筋を伸ばす意識は忘れないでください」
一つ一つ丁寧に指摘してくれるルードさん。
これを毎週やっていればマナーも良くなってくるな。
食事の後は紅茶を皆んなで飲んだ。
「紅茶の飲み方はジョージさんは問題ないですね。丁寧にカップを置いていますし、音を立てずに飲んでいます。特に直すところはないですよ」
おぉ! 褒められた! ルードさんは褒めて伸ばすタイプかな。俺も褒められたい人だから相性が良いかも。
紅茶を飲みながらルードさんが雑談を始めた。
「ロード王国とは今後どうなるでしょうか? 外交団に行ってらっしゃったジョージさんとスミレさんから見てどう思いますか?」
う〜ん。ロード王国内でも反発はありそうだよな。
「何とも言えないですけど、今回の決定に不満を持っているロード王国の貴族はそれなりにいると思いますよ」
「そうなんですか。サラバン伯爵領は帝都から北西方向なんです。ロード王国に侵略戦争するとなると領主の息子が喜んで領軍を出しそうでね」
「たとえロード王国が攻めて来てもサラバン伯爵領までは攻めてこないと思いますけど……」
「何もしないのが一番領民のためになると思うんですけどね。でも私は隠居の身ですから、当主の息子のやる事に口を出せません。息子はどうしても戦功を挙げて裕福な暮らしがしたいみたいです」
ここでも戦功か。安易な考えだよな。平和の世の中でもっと建設的な事でもやれば良いのに。
場の雰囲気を変えるためか、明るい表情でルードさんが口を開く。
「でも帝都はドラゴン討伐者のジョージさんがいるから安全ですね。帝都は私の余生に適していますよ」
そう言って笑うルードさんの表情には陰りがあった。
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