香りに包まれて
スミレは薄手のネグリジェに薄手のショールを肩からかけている。淡い光を出す魔道具の間接照明がスミレの魅力を増す効果があるようだ。
俺は感動で動けなくなってしまった。
ゆっくり近づいてくるスミレ。スミレはベッドの俺の横に腰掛ける。
そして俺の手を握ってくれた。
「ジョージ、緊張しているみたいだね。私も緊張しているんだ。ドラゴンを前にするより緊張しているよ」
スミレが俺の緊張をほぐすために話してくれている事が分かった。
「確かにドラゴンなんかじゃ比べものにならないくらいだね。緊張はしているけれど、それ以上に幸せ過ぎて怖いんだ」
「怖い?」
「俺の人生はスミレとダンジョン調査をする前は、そんなに良いものじゃなかった。スミレと一緒に活動するようになってから一気に人生が変わってしまってね。その変化に戸惑っているのかな。また元の駄目な生活に戻りそうな気がしてね」
「私もジョージと変わらないわよ。ノースコート侯爵家の政略結婚に使われたくなかったから騎士団に入ったんだもの。結婚したら、その相手はノースコート侯爵家に取り込まれてしまうと思っていた。だから幸せな結婚は諦めていたわ。ジョージは違っていた。夢である温かい家庭を作る為には、誰であれ戦うわ。そんなジョージに惹かれてしまったの。ジョージがいなくなれば、また私も灰色の人生を送る事になるわね」
スミレは幸せそうに見えていたのに、内心はわからないんもんだな。
過去は過去、未来は未来。そして大切なのは現在。
今、この時を大切に生きよう。
「お互い緊張しているみたいだから、俺たちのペースでゆっくりやろうか。俺たちはドラゴンをも倒す最高のパートナーだろ?」
「そうね。それならキスから始めましょう」
そう言ってスミレは瞳を閉じた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
肌を合わせていくうちに緊張がほぐれてきた。それに伴い、魔力ソナーの制御が通常に戻ってくる。
何度も見てきた揺れる胸を直接触り、凝視続けていたお尻を撫で回す。それだけで感動してしまう。
そしてぎこちないながらも本能のままに身体を合わせる事ができた。
俺はスミレの香りが好きだ。嗅いでいると何とも言えない気持ちになる。その香りに包まれながら、静謐で清らかな魔力と混ざり合う。
生まれてから感じた事の無い最高の快感だ。
背中に電流が走る。
その夜、俺は何度もスミレを求めてしまった。そんな俺をスミレは受け止めてくれた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
夏の朝は日が出るのが早い。
外は少しだけ明るくなってきていた。
横ではスミレが寝ている。
掛け布団がズレて綺麗な胸が露わになった。
その白さに眼を奪われる。
昨晩、あんなに消費したはずなのに、俺の下半身は起き出した。
優しくスミレの髪を撫でる。
軽く目を開けるスミレ。
俺は優しく唇を合わせた。
「ジョージ、もう起きてたの?」
「昨日はごめんね。スミレの魅力に我を忘れてしまったよ」
「ううん。大丈夫よ。ジョージと一つになれて嬉しかったわ」
「それでお願いがあるんだ。悪いけどリターンマッチをしたくなってね。今度は優しくするよ。ゆっくりスミレを感じたいんだ」
俺は壊れ物を扱うようにスミレを抱きしめた。
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