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逆らっちゃいけない人

7月29日【白の日】

 今日は白の日。明日は休みだ!

 ……ではない。

 明日はスミレとの結婚式だ!

 遂にあの憧れのスミレが俺の嫁(確定)に……。

 エウルの神様ありがとう!

 これからは真面目に礼拝に行きます!


 それでも今日は普通に働く軍人の鑑である俺である。

 テンションが高いため、いつもよりアイシクルアローの威力が強い。

 魔法を使う時は冷静にならないとな。でも今日はしょうがないね。


 スミレの【雪花】の魔力で伸びる刃もいつもより長くなっている。冷静に見えるスミレもそうではないみたいだ。

 午前中のドラゴン討伐は、ドラゴンが可哀想になるほどだった。

 いつも通り4体倒したがスミレが刃が伸びた【雪花】で3体倒してしまった。

 でもいつもより疲れたな。こんなテンションで戦闘はしちゃいけないんだろうな。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 午後からは恒例のサイファ団長への報告会。

 団長室にスミレと行くとサイファ団長とベルク宰相がいた。


 おぉ! ビックリするな。

 ベルク宰相は俺の顔を見てニヤリとする。


「今日は同席させていただくよ。昨日の経緯と来週からの外交団でロード王国に行く話をしようと思ってね」


「昨晩ギランさんがウチの屋敷に来て大変だったんですよ。一体何を言ったんです?」


「いや全てジョージさんがフレイヤの処罰の軽減を提案して、私はジョージさんの手前、不承不承(ふしょうぶしょう)受け入れた事にしたのさ。これで私はノースコート侯爵家に貸しを一つ作り、良い距離感が保てるからね。ジョージさんも義理のお父さんから感謝されれば、今後楽だろう? それにギラン・ノースコート侯爵からフレイヤの罪を認める文書を作成した。今後、フレイヤが何か事を起こせば、今回の罪の罰則を実施するという文書だ。これで安心だ」


 ベルク宰相って、やっぱり切れ者だ。逆らっちゃいけない人だ。しっかり心に刻もう。


 団長室の来客スペースのソファに座り、お茶を一口飲んでベルク宰相は口を開いた。


「さて、ノースコートの件はもう良いかな? それではロード王国に行く話をしよう。エクス帝国外交団のメンバーは団長の私と副団長のジョージさん、ジョージさんの護衛としてスミレさん、私の護衛として騎士団第一隊のライバーと、魔導団第一隊のカタスを連れて行く。馬車は3つ用意した。一つは新婚さん専用にしたから不満がないだろう」


 ライバーさんは修練部の活動初日に修練のダンジョンに連れていった既婚の男性だったな。

 カタスさんは魔導団第一隊でマールの次に連れていった平民出の男性だ。

 どちらも良い印象が残っている。修練のダンジョンに連れていく順番も早かったから、どちらも期待の人材なんだろうな。


 あ、カタスさんならメイド見習いのサラに紹介できるのではないか? 今回のロード王国の道中にカタスさんの為人(ひととなり)を確かめてみよう。変な人だったらサラに紹介できないからな。


 考え事をしていたらベルク宰相の説明は続いていた。ちゃんと聞かないと。


「以上5名の他に馭者(ぎょしゃ)が3名にエクス城文官の随行員が4名だな。総勢12名の小規模になる。帝都からロード王国の王都まで350kmくらいだ。馬車で急いで7日間くらいかかるが、今回はゆっくりと行く予定だ。ロード王国に入ってからロード王国の民にジョージさんの力を見せつけてやろうと思ってな。まぁ威嚇だな」


 ふ〜ん。ベルク宰相が考えることだから意味があるんだろうな。俺は言われた通りにやるか。


「出発は3日後の8月2日だ。ジョージさんとスミレさんには結婚して慌ただしい中だが、よろしく頼みます」


「了解しました。頑張らせていただきます」


 サイファ団長が俺をみて微笑む。


「ジョージ君、任せたわよ。ロード王国との全面戦争を止めたいのよ。それがロード王国にとって屈辱的な外交になろうとも」


 強制外交か。それも致し方ないかもね。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 屋敷に戻って、明日の結婚式の用意をする。とは言っても衣装と結婚指輪くらいだ。

 エクス帝国の宗教に対する政策は厳しくない。殆どの帝国民は慈愛の神のエウルの神を崇めている。


 結婚式は帝都一のエウルの神を祀っている神殿にて行う予定だ。

 神父の前で、誓いの言葉を掛け合い、指輪を嵌め合い、誓いの口づけをするくらいだ。

 だいたい10分程度の儀式だ。

 参列者はそれ程多くないだろうな。結構、好き勝手に出席できるのが帝国式の結婚式だ。


 その後、神殿に隣接されたホールにてパーティとなる。

 立食パーティだが、新郎と新婦は一段高い場所に座らされて出席者のオモチャと化す。

 夕方には解放されるので我慢だね。


 その後は新婚初夜である。

 もう一度言おう。

 新婚初夜である。

 そう、新婚初夜なのだ!

 今日は興奮して眠れなそうだ。

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