ジョージの剣術
修練のダンジョンにレオと入場した。
さて、今日は魔法ではなく剣で倒さないとな。それでもお腹が空いてきたから道中は急ぐか。
「今日は俺の剣術の腕を見たいのですよね。最初に地下3階のオーガのモンスター部屋に行きます。その後、地下4階でドラゴンを倒して終了です。急ぎますので付いてきてくださいね」
「任せろ。魔術師の走るスピードに遅れるわけがないだろ」
俺はその言葉を信じ、全速で走り出した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
【静謐なる氷、悠久の身を矢にして貫け、アイシクルアロー!】
俺は時間短縮のために道中は魔法を使って魔物を殲滅していく。
身体能力向上を使い走りながらだ。
そして俺が走る速度を落としたため、なんとか付いてきているレオだった。
やっと地下3階のオーガのモンスターハウス前に着いた時にはレオは呼吸が苦しそうで膝に手を当てて呼吸を整えている。
「それでは行きますよ」
「ちょっと、待ってくれ! なんで身体能力向上を使いながら魔法が撃てる? それに正確に魔物を捕捉しているじゃないか! まさか魔力ソナーも使っているのか?」
「まぁどっちでも良いですよ。勝手に考察してください。それでは行きます」
俺は久しぶりにオーガのモンスターハウスの扉を開けた。
俺を見て吠えるオーガの集団。
しかしそれは隙以外の何物でも無い。
俺は稲妻と茜師匠に称された足捌きでオーガに肉薄する。
【りんりんりん】
【黒月】が3回鳴いた時には既に10匹のオーガの首を切り落としていた。
【りんりんりん】
もう一度3回鳴いた時にはオーガの集団はただの肉に変わっていた。
魔石になる前に面倒なのでオーガのモンスターハウスを後にする。
呆然とするレオに俺は声をかけた。
「次に行きますよ。もうお腹がぺこぺこですから。俺はお腹が空くと少しイライラしちゃうんでご容赦ください」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! なんだ今の剣技は! 先程の鍛錬の時と動きが全く違うじゃないか!」
「鍛錬は鍛錬ですよ。そして実戦は実戦なんです。これは全く別物です。ゆっくり正しく動くのはとても難しいんですよ。ゆっくり動くと自分の間違っている動きがよくわかるんです。その間違いを一つ一つ修正していくのが鍛錬です」
「そうなのか? そんな鍛錬聞いた事がないぞ」
「知りませんよ、そんな事。それよりドラゴンを倒しにいきますよ」
俺は地下4階に向けて走り出した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「おいおい、これはヤバい、逃げるぞ」
ドラゴンが視認できる距離になってレオがつぶやいた。
「ここから動かなければ問題ありません。近くにあのドラゴン以外いませんから。それでは!」
俺はドラゴンに向けて一直線に走った。後ろからレオが何か叫んでいたがどうでも良い。
俺はお腹が空いたんだ。
ドラゴンが吐いた火球をスレスレで交わす。
タイミングを計り飛び上がる。空中では回避しにくいからだ。
ドンピシャのタイミングだった。あっさりとドラゴンの首を刎ねる事ができた。
しかし剣術でドラゴン討伐を連続してやるのは精神的にキツそうだな。
スミレは本当に良くやっているよ……。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
修練のダンジョンの脇にドラゴンの魔石を積み上げていたが、現在はロックウォールで隠してある。
取り敢えずこの魔石はエクス帝国に納品するかな。
「確かに龍闘殿の言葉通り、ワシの常識でジョージ殿を語るのは間違っておったわ。後ほど龍闘殿に謝罪させていただく。それにジョージ殿の剣術は確かに最強の看板に恥じない領域だ。あれでもスミレ殿に勝てぬのか?」
「さぁどうなんだろ? 最後に模擬戦をしたのは今年の1月だからね。その時は手も足もでなかったよ。それで茜師匠に弟子入りしたのさ」
「これでジョージ殿は魔術師が本職なんだろ? 今度は魔術師としての力量を見たいものだ」
「あ、言って無かったけど、修練のダンジョンに連れていくのは一回だけだから。他国の軍人のレベルを上げるのは得が無いばかりか、エクス帝国を危なくするだけだからね」
「な、そんな……。でも確かにジョージ殿の言うとおりだな。ジョージ殿の剣術を見れただけで満足するか」
レオは落ち込んだ瞬間の次にはあっさりと笑顔になる。この切り替えの速さは軍人としては素晴らしい能力なんだろうな。
続きを読みたい方、面白かった方は下の星評価とブックマークをお願いいたします。星をいただけると励みになります。





