内戦? 滅亡?
帰宅後、俺から話を聞いたベルク宰相はすぐにエクス城に向かった。
まぁ宰相を辞めていると言ってもそうなるよね。
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「なぁ、いったいどうなるの?」
俺はダンの執務室で先程謁見の間で感じた不安をダンに聞いてみた。
「そうですね。どうにもなりませんよ」
「いやいやヤバいよね? 皇帝陛下が泣き崩れて、王配になる人が謹慎、宰相が不在なんだよ? そしてカイト侯爵が国民的人気が爆上がり。タイル前公爵の復権の可能性もあるんでしょ。お先真っ暗じゃん」
「エクス帝国皇室のエクス家は沈みゆく太陽なんですよ。これはどうにもならないですね。ザラス前皇帝陛下が最後の光だったのでしょう。ただ、いかんせん跡継ぎに恵まれませんでしたね」
「そうは言っても現実から目を背けられないだろ? このままだとエクス帝国が混乱するよ」
「あれ? ジョージ様はそのような俗世には無関心と思いましたが。心境の変化でもありましたか?」
一応、俺もエクス帝国の侯爵なんだけど……。
「俺も面談をしてアリス陛下を推したからね。その後にいろいろあって今は距離を取ってはいるけど、それなりに責任は感じるよ」
「時の趨勢は残酷なんですよ。エクス帝国皇室の没落は防げないですね。これはベルク宰相もわかっています」
ベルク宰相ですら匙を投げているのか……。
「それじゃ今後エクス帝国はどうなるの?」
「カイト・ハイドース侯爵が足掻くだけ足掻きますね。それでもやはり無理でしょう」
「無理とは?」
「エクス家の求心力が既に弱くなっています。内戦に突入しますかね」
それは飛躍しすぎだろ!
「そんな事はないんじゃない? 今は北の国を二つ平定して国民的人気が鰻登りじゃん」
「所詮、一過性の現象に過ぎませんよ。カイト侯爵は間接的とはいえ親殺しですから。そしてカイト侯爵が皇帝陛下になる場合は、正当な皇帝陛下であられるアリス陛下から帝位を簒奪する事になります。どう考えてもカイト侯爵ではエクス帝国がまとまりませんよ。皆薄々感じています。エクス家は沈みゆく太陽なんだって」
ダンに言われると確かにエクス帝国皇室が詰んでいるように感じられた。
「そんなお先真っ暗みたいに言わないでよ。内戦なんて国が疲弊するだけじゃん」
「大丈夫ですよ。おそらく内戦はそんなに長く続きません。エクス帝国は他の国に攻め込まれて滅亡しますから」
「滅亡って! それはさすがに無いでしょ!」
いくらなんでもエクス帝国が滅亡はないだろ!? 無いって言ってくれ!
「高い確率でそうなりますね。でも安心してください。グラコート家は既に万全の体制ですから」
自信満々な顔をするダンに少し恐怖を覚えた。
「ちょっと待ってよ。何とか内戦や滅亡を回避する方法は無いの?」
「簡単に内戦を回避する方法はありますよ。しかしエクス帝国の滅亡を防ぐのはお勧めしませんよ。ジョージ様が大変になりますから」
滅亡を防ぐのは俺が大変になる?
まぁまずは内戦を防がないとな。
「取り敢えず内戦を回避する方法を教えて。このままほっとくのは夢見が悪すぎるよ」
「エクス家が沈みゆく太陽なら、グラコート家は登りゆく太陽です。ジョージ様がエクス帝国内を固めれば少しの衝突は発生しますが、大規模な内戦には発展しません」
「それってどうすれば良いの?」
「まずは内戦を止めればよろしいのですね? ジョージ様は何もしなくて大丈夫です。既に布石は打ってあります。ただ……」
「ただ?」
「そちらに舵を切った場合、後戻りはできません。よろしいですか?」
俺の覚悟を確認する真剣な顔だ。
しかし内戦になれば、民の幸せを願うスミレが悲しむのが容易に想像がついた。
そして当然ながら俺も内戦は望まない。
「任せたよ、ダン」
俺の言葉にダンが力強く言葉を返した。
「今日、この日がジョージ様の英雄譚の新たな一ページとして永遠に語られる事になりますね」
えっと、そんな大事な決定だったの……。
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