最後のピース
5月2日〜5月5日
エクス帝国皇室から出された勅令についてはダンに全て一任した。
ダンからは焦らすだけ焦らしますから安心していてくださいと言われている。
すぐに断ればアリス陛下への忠誠心が疑われ、すぐに受け入れればグラコート侯爵家が侮られてしまう。
俺がやる事は機が来たら断りの文書を作るだけだ。
数日特にエクス帝国皇室の動きは何も無く、ドラゴン討伐が捗った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
5月6日【無の日】
朝からエヴィーが3人の同級生の女の子をグラコート侯爵邸に招いていた。
エヴィーの顔を見るととても楽しそうだ。
心の底からエヴィーを学校に通わせて良かったと感じる事ができた。
エヴィーの友達に軽く挨拶をして、ジョージ郷に引っ込んだ。
最近は全裸じゃないと安らげない自分に少し不安になっている。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
5月7日〜5月30日
毎日変わらない生活を繰り返している。
朝に鍛錬をして、日中はドラゴン討伐、夜はゆったりと過ごす。
メキメキと実力を上げていく親衛隊。そしてポーラも既にやばいほど強くなっている。既に騎士団や魔術団に入っても間違いなく第一隊に所属できる実力だろう。
毎夜エヴィーがポーラにかけている秘術の魔法で、ポーラは完全に若返っていた。肌が水滴を弾くほど瑞々しい。遂にはオリビアと並ぶと妹に見えてしまう。
そんな日々を過ごしドラゴンの魔石が8,000個集まる頃にダンからエクス帝国皇室に勅令を断る書面を書くように言われた。
それにしてもダンもここまで引っ張るとは思わなかったよ。さすがに皇室の使者が可哀想になったわ。涙目で返事だけでもお願いしますって懇願してたもんなぁ……。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
6月1日【青の日】
ダンから朝から呼ばれ、ダンの執務室に顔を出す。
ダンの用件は献上の件かと思ったが違っていた。
いやある意味当たっていたのか?
「ジョージ様に是非飼っていただきたいエルフがおります」
「えっと、既に間に合ってます」
「話ぐらいは聞いてください。それに既に27人のエルフを飼っているじゃないですか。あと12人増えてもそんなに変わりませんよ」
「そりゃ変わるでしょ……。もう良いよ……。本当に間に合っているんだよ。それに戦力が過剰過ぎると思う。既に親衛隊の隊員だけで、エクス帝国軍と良い勝負するんじゃない?」
「残念ながら足りない分野もあるんですよ。戦場での戦いでは充分でしょう。しかし戦いの場は戦場だけではありません」
「それって政治の分野? それならダンも伯爵になったし、ベルク宰相もいるじゃん」
「それもございますが、表ではない裏の戦いです。ここがグラコート侯爵家が圧倒的に弱い分野なんですよ。諜報や破壊工作などです」
「そんな事を言っても、それって特殊な能力が必要だよね。簡単に人材を得られないよ」
「眠れる森はご存じですか?」
「何か聞いた事があるような……。あ、エルフの里で森に隠れていた奴らだよね!」
「そうです。エンヴァディアの代表のマルスより、ジョージ様の忠誠の証として眠れる森の12名の隊員をジョージ様へ献上すると申しております。そして眠れる森の隊員は全てジョージ様に飼われる事を望んでおります」
まさか献上する話ではなく、献上される話だとは……。
「なんでそんなに俺に飼われたいの……」
「さぁどうなんでしょうね。エルフに取ってはジョージ様が魅力的過ぎるみたいです。親衛隊の隊員がジョージ様を語る時の顔は本当にヤバいですよ。あれはエウル教の敬虔な教徒の信仰心を凌駕しています。完全に神格化されていますね」
「もうわかったよ、いくらでも飼ってやる! でもこれで愛犬家ならぬ愛エルフ家って呼ばれそうだよ」
「既にジョージ様は【エルフ狂】って呼ばれてはいますけどね。それよりこれで最後のピースが埋まりました」
【エルフ狂】ってなんだよ……。俺はスミレ一筋だっていうのに。
それより最後のピースってなんだ?
「最後のピース?」
「えぇ、これで今後何があろうと跳ね除ける事ができます」
「それは言い過ぎじゃない?」
「そんな事はありませんよ。ジョージ様が世界を望むのならいつでも言ってください。ジョージ様の為に千年王国を創りますから」
「いや、それは間に合ってます」
俺は即座に断った。
続きを読みたい方、面白かった方は下の星評価とブックマークをお願いいたします。星をいただけると励みになります。





