バラス公爵家の用件
4月8日【緑の日】
朝から元気いっぱいに登校していくエヴィー。
あれだけ俺を睨んでいたジャイル公爵から何か動きがあるのか?
ダンに相談したら「ほっときましょう」と言われてしまった。
ダンがそういうなら放置で問題ないのかな?
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4月9日【赤の日】
ドラゴン討伐を終え鍛錬のダンジョンから外に出るとグラコート侯爵邸の客室から嫌な魔力反応を感じた。
急激に帰りたくなくなってしまった……。
「ジョージ、どうしたの? 急に暗い顔をして?」
「いや、今客室にコールド・バラスがいるんだよね……。できれば会いたくない奴だからさ。どう考えても厄介事だし、俺が相手すれば高い確率で悪い方向にしかいかないよ」
「別に悪い方向なんて無いわ。ジョージの好きなようにやって良いわよ。あとはダンが何とかするでしょ。それにベルク宰相もいるし」
「確かに大船どころか、軍艦、それも不沈艦に乗ってるようなもんだな」
「あら? 私の学生時代の異名を知ってたの? ジョージは不沈艦と称された私を見事射止めて、その不沈艦に乗りに乗りまくっているもんね」
それは不沈艦と言えども沈むって事なのか?
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「単刀直入にお願いする。ジョージ侯爵の専任侍女であるエンヴァラを我がバラス公爵家には10億バルトで譲り渡してくれ」
グラコート侯爵邸の客室で踏ん反り返っているコールド・バラスが尊大な口調で言い放った。
どうやら俺の帰宅を待ちくたびれて機嫌が悪いようだ。
同席していたダンがコールド・バラスの用件について補足をしてくれる。
「ジョージ様、貴族間での専任侍女の譲り渡しは良くある事です。貴族の中には容姿の整った平民の女性を磨き上げ、それを売却して金を稼いでいる人もおられます」
なるほど、いろんな金の稼ぎ方があるもんだ。
しかしエヴィーをバラス公爵に譲り渡すって無理しかないな……。
「えっと、バラス公爵家はエンヴァラについて理解しています?」
「理解も何もただの愛玩エルフだろ。専任侍女など股を開くだけしか能が無い存在だ」
なんちゅう考えだ……。
エヴィーの危険性についてはエクス帝国政府も理解しているだろうに……。
「お話になりませんね。エンヴァラをバラス公爵家に譲り渡すつもりはありません。それに間違いなく政府にも反対されますね」
「なるほど、それならば政府に許可を得れば譲っても良いという事だな。早速許可をもらうとしよう。それでは失礼させてもらう」
コールド・バラスの勝手な脳内変換に唖然としている間に、コールドは部屋を出て行った。
「えっと……。どうなるの?」
俺の疑問にダンは肩を竦める。
「ほっとけば良いですよ」
ダンがそういうなら放置で問題ないよな?
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4月10日【黒の日】
アリス皇女と婚約をしたバラフィー・エバンビークから内密に相談があると連絡があり週明けの4月13日にエクス城に登城すると約束した。
あまり良い予感がしないな。
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4月11日【白の日】
今日は2回目だ。
朝から夕方まで入れ替わり立ち替わり揉みまくる。いやこれは魔力ソナーの直接的な指導だ。
しかしこれは凄いな。誰もが揉めば揉むほど、いや指導すればするほど魔力操作の精度が上がっていくよ。俺の直接的指導によって魔力ソナーの有効距離が格段に伸びている。
それでも壁はやはり存在はするけれど。
そして揉めば揉むほど俺の手に馴染んでくる。まるで俺に揉まれて身体が歓喜しているようだ……。
そして相変わらずプリちゃんは劣等生だった。
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最後は学校から帰宅したばかりのエヴィーだ。帰宅するなり瞑想部屋に真っ直ぐやってきた。
瞑想の準備を始めるエヴィーが制服を脱ぎ始める。
背徳感がやばい……。
何となく気恥ずかしさを感じ、それを紛らわせる為に言葉で空間を埋める。
「それで学生生活はどんな感じ?」
「そうじゃのぉ。学校は人間を観察する上では面白い場所じゃな。大人になる成長過程の人間を観察しておると、いろいろとわかる事がある」
「わかる事?」
「まぁどの社会でも同じじゃが、大人の社会は見た目を良くしようとして綺麗事の薄い膜が存在するからの。大人になりきれていない社会は、その本質が見えやすいわ」
子供の社会は残酷ってことかな?
「そんなもんかな。そうだ、友達はできたか?」
「友達のぉ……。その概念がわからんのじゃ。ここにあった辞書には友達は対等の関係とあってな。それじゃ無理と思っておる。我と対等の関係を結べる者などそうそういないわ」
対等かぁ……。でもなかなか難しいよな。
「いやあまり深く考えなくても良くない? 一緒にいて楽しい人とかが友達になるんじゃない?」
「そうなのか? それなら数人はいるぞ。いつも学校では一緒に行動しておるのじゃ」
「それは良かったよ。授業はどんな感じ?」
「なかなか面白いの。シーファの姉のサイファはエルフにしては魔法をそれなりに理解をしておるわ。あやつの魔法に関する考察は独自の視点じゃな」
「えっと、なんでサイファ魔導団長の話になるの?」
「そりゃなるだろ? 貴族科の担任はサイファじゃからな」
あ、なるほど。エクス帝国政府がエヴィーの為にサイファ魔導団長を担任にしたんだな……。そりゃ確かにエヴィーは目が離せない存在だよ。
「それよりこれは本当に気持ちが良いな。ジョージ様の魔力に我の魔力が翻弄されておる。しかしそれが堪らなく快感じゃ」
俺の直接的指導を受けているエヴィーの目が潤んでいた。
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