こびり付いている劣等感
4月5日【白の日】
今日、俺は生まれ変わる。
俺の夢はスミレと幸せの家庭を作る事だ。
専任侍女での性的処理。スミレからも勧められていたが、どうしても踏み切れなかった。
もしかしたらスミレを悲しませるかも知れないと心の奥底で感じていたからだ。
しかしその懸念もベルク宰相のお墨付きで消え去った。
専任侍女で性的処理する事がスミレに安心を与える事を理解したからだ。
今日、エルフ27人、ハイエルフ1人、人間2人の魔力ソナーの直接的指導をおこなう。
指導という名目?が無ければスミレ以外の女性にこちらから触れないが、今日は状況次第でその名目を外すつもりだ。
自然体のまま……。
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そして俺は自然体のまま指導を続けていた。
現在は27人目の親衛隊第九分隊のプリちゃんの指導をおこなっている。
そう指導だ……。
俺が抱いて良い美女。
俺に抱いて欲しい美女。
俺が下半身だけで行動すれば喜ぶ奥さん。
それをわかっていてもいつまで経っても俺は指導の名目を外す事ができないでいる。
俺の腕の中では指導を受けているプリちゃんがまた絶頂を迎えていた。
プリちゃんは指導を開始してから間も無く、その名目を忘れてしまっている。
魔力が乱れに乱れているわ……。
「もっと俺の手の動きを意識して。臍の下から胸の真ん中に魔力を上げて、それを周囲に広げていくんだ」
「は、はい……。でもジョージ様の手の動きを意識すると、どうしても身体が反応してしまいます……」
「それならもうやめようか?」
「いえ、頑張ります! それにジョージ様の魔力に私の魔力が引っ張られているのを感じます。ジョージ様の神がかった魔力操作を我が身で感じられるのは得難い経験です。私には構わず続けてください!」
確かにそうなんだよね……。今まではポーラにしかしてなかったから気が付かなかったよ。もしかして縛鎖荊で繋がっているせいなのか?
後でスミレに試してみようかな。
そんな事を考えていたら、また俺の腕の中でプリちゃんが痙攣していた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ほぉ……、これはすごいな。ジョージ様の魔力操作の繊細さが手に取るようにわかるわ。当たり前じゃが、完全に我を凌駕しておる」
最後のエヴィーに直接的指導を開始してすぐにエヴィーが驚嘆する。
「これって俺の魔力に引っ張られているよね? 縛鎖荊の影響かな?」
「そうじゃろうな。我は下僕や下婢を直接さわった事が無いから知らんかった」
「そうなの? でも歴代のエルフ王達も触らなかったって無いよね?」
「我がエルフ王になった時は、それまでの資料は全て戦乱で無くなっておったわ。縛鎖荊が使えるハイエルフも久しくいなかったからのぉ」
そんなもんかぁ。
「それよりそろそろ周囲に魔力を広げようぞ。前にも言ったが右の胸より左の胸が性感帯じゃ。それに……」
「基本的には優しく、時には荒々しくだろ? 乙女の秘密は覚えているよ」
俺はエヴィーに言葉を被せた。
「さすがジョージ様じゃ! 早くお願いじゃ!」
一応、これ、指導なんだけどなぁ……。
まぁ良いか。深く考えたら負けだよな。
俺は特に左手の動きを気にしながら指導を再開した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
いつまでも名目が外せない指導を終えて理解したよ……。
俺はスミレが悲しむ可能性があるからと他の女性と性的関係を持たないと思っていた。
確かにそれは大きな理由だった。
しかしもう一つ根本的な理由が存在していたよ。
スミレが俺に劣等感を持っていたように、俺もスミレに対して劣等感を持っている。それは心のヒダの奥の奥までこびり付いていると理解した。
他の女性に現を抜かしていると、スミレに捨てられると思っているんだな。
スミレと結婚できたのは俺の人生の中でまさに僥倖だ……。
侯爵家令嬢でエクス帝国高等学校騎士科の優等生。そして俺は平民の落ちこぼれ。
初めてスミレを見た頃は高嶺の花どころか、天国に咲いている花だった。
それは一年前でも変わらなかった。エクス帝国騎士団第一隊のエリート隊員と魔導団第三隊のお荷物隊員。
俺は仕事場の窓からスミレの魔力を感じながら、スミレの剣の稽古を見ているだけで幸せだった。
それ以上の事が望める存在では無いと心底理解していた。
その数年の鬱屈した想いが心の奥底のヒダにこびり付いている。
自分自身が信じられないんだ。あの憧れだったスミレと結婚していることを……。
起きたら夢だったなんて事があっても驚かない。やっぱりなって受け入れてしまうだろう。
今の状況が普通じゃない。異常なんだ。だからまた普通に戻るはず。
この考えがどうしても拭えていない。
その為、スミレとの関係が変化するような事は極力避けてしまう。
スミレを悲しませない為と思っていたが、実際は今の奇跡的な状況をできるだけ長くと思っていただけだ。なんて利己的なんだろう……。
俺に劣等感を抱いていたスミレは努力によってそれを払拭した。
そしてスミレは俺の愛情を心の底が信じられるようになった。
俺はスミレの愛情を心の底から信じられていないんだ。俺のスミレに対しての劣等感の為に……。
魔力ソナーの200mの壁を破った時のスミレの涙を思い出す。あれは200mの壁を破っただけで無く、スミレ自身が作っていた俺という壁を破った瞬間なんだろう。
その後のスミレは精神的にブレなくなっていた。
そしてスミレに劣等感を抱いたままの俺はブレまくっている
俺も自分で作ったスミレという壁を破る必要があるな。
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「それでエクス帝国剣術大会で私を倒す事を目指すの?」
「そうだね。模擬戦ではなく、どうせなら真剣勝負の場でやりたい。本気のスミレを剣術で叩き潰すのさ」
「それは流石に譲れないわね。騎士団出身として本職が魔導師の剣術に遅れを取ったら恥以外の何物でもないわ。その挑戦喜んで受けて立たせてもらうわよ。それにしても英雄のジョージが私に劣等感なんて笑い話にもならないわ」
「そんな事ないよ。今でも俺に取ってはスミレは手の届かない存在と思っているんだ。そして優雅なスミレの剣術に憧れを抱いているよ」
「手の届かない存在なの? 貴方の腕の中でこんなに胸を揉まれているのに……。そしてだんだんと手の動きが変わってきたんだけど?」
現在、スミレに対して魔力ソナーの直接的な指導をおこなっていた。縛鎖荊を受けていないスミレとだと変わるのか比べていた。
「どうやら魔力を引っ張れるのは縛鎖荊を受けた人だけみたいだね。スミレには無理みたい。でもこうやっているとスミレの魔力と混ざり合うような感覚があって気持ちが良いよ」
「あら? 魔力だけで良い? どうせなら身体でも交じり合わない?」
あとは言葉はいらなかった。
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「7月の頭にエルバト共和国に向かって、8月の1ヶ月間は向こうで滞在するのよね? 10月には戻ってこれるから、子供はその時で良いわよね?」
「そうだね。どうせいつも何かあるでしょ。良いタイミングなんて無いよね。早くスミレとの子供が欲しくて堪らないよ」
「でも子供ができたら、おっぱいは子供に貸してあげてね。間違っても赤ちゃんと取り合わないでよ」
「それは悲しい事だけど、しょうがないよね……」
「貴方には誰もが羨む専任侍女達がいるでしょ」
そうなんだよな……。
だからこそこびり付いている俺の劣等感を拭わないとな。
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