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ジョージは魔法の使い方を間違っていた!? 〜ダンジョン調査から始まる波瀾万丈の人生〜【文庫本発売中】  作者: 葉暮銀
新しい時代

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エルフの文化に寄り添う

 屋敷に入り玄関ホールを通り私室がある区画に向かおうとすると、その区画の入り口にポーラとオリビアが待っていた。


「おかえりなさい、ジョージ様。今日よりこの先はジョージ様以外の男性の立ち入りを禁じました。また女性ではスミレ様と専任侍女以外立ち入り禁止です」


「えっ? なんで?」


「ジョージ様に大いに寛いでいただく為です。またジョージ侯爵親衛隊の希望でもあります。エルフの方々は異性に対して愛する男性以外に裸を晒すのは最大の屈辱みたいですね。しかし神をも凌駕するジョージ様には反対に服を来て身体を隠すのが失礼に当たるそうです」


「今まではちゃんと服を着ていたよね? なんで今更?」


「こちらの常識に合わせていたそうです。しかしこの屋敷内の一画をジョージ様以外の男性を立ち入り禁止にする事でエルフ達の希望を叶える事に致しました」


 うーん。確かにエルフの里で俺に舞を奉納してくれた時に服を着る行為は神に隠し事をする行為って説明されたな。

 長い生活の中で小さな我慢は少しずつ無理が生じるか……。


「わかったよ。こちらで合わせられる事は合わせた方が良いかもね。エルフ達は慣れない土地に移住してきて精神的に疲れているだろうからね」


「ジョージ様の慈愛の心に専任侍女の代表としてお礼申し上げます。また閉鎖区域は神が鎮座する理想郷を目指します。それは神であるジョージ様を囲む理想郷となります」


「それはなかなか大層な構想だね。エルフが全裸で闊歩してたら、それだけで男性に取っては理想郷になり得ると思うけど」


「……恥ずかしいですが、私とオリビアもこの区域では服を着ない事になりました」


「いや、それは無理をしなくて良くない?」


「エルフの文化を深く理解する一環です。それに既に朝の瞑想や大浴場ではジョージ様に裸を晒しておりますので問題はございません」


 赤く頬を染めるポーラにグッときてしまう。


 まぁなる様になるよな。

 さて区画を分ける扉の向こうに28人の魔力反応があるんだよな……。

 先日、スミレから言われた迷言を思い出す。【頭で考えないで下半身で考えてね】だったな。

 ほっといたらこれがグラコート侯爵家の家訓になりそうだ。


 しかしシンプルに考えるのも良いかもな。最近は考え過ぎだったような気がする。

 普通に考えて裸のエルフが拝めるのを拒否するのがおかしいよ。

 せっかくだから少し楽しむか。


 俺は人類の男性にとっての理想郷への扉を開いた。


「「「「「おかえりなさいませ、ジョージ様」」」」」


 俺が理想郷の中に入ると廊下の両脇に並んでいたエルフ達が一斉に声をあげた。

 手をお腹の前で合わせ頭を少し下げるエルフ達。当然ながら一糸も纏っていない姿で……。


 左側の手前には久しぶりに見かけるエヴィーも並んでいる。

 あの気品が高いエヴィーが慎ましく畏まっているよ……。


 背中にゾクゾクとした感覚が走る。


 そして右側の手前にはシーファがいる。まるであのサイファ魔導団長を裸で出迎えてくれたような気分だ。


 日常に唐突に現れた非日常。あり得ない光景が俺の心を刺激する。

 侍女が当主を出迎える普通の行為。伯爵になった時には慣れるまで時間がかかったが、それは直ぐにありきたりな日常となっていた。

 しかしその日常の風景が全裸でやられるだけで、不可思議な感覚を呼び起こす。


 これは間違いなく癖になるな……。

 確かにこれは男の理想郷だ。

 帰宅した俺を全裸のエルフ達が出迎える。

 こんな状況を経験した事がある人物は今までいないはずだ。

 歴代のエクス帝国の皇帝陛下どころか、歴史上のあらゆる統治者を超える偉業だろう。


 ダンでは無いが、俺の心の中にある英雄譚の光輝く一ページになる出来事だった。

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