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ジョージは魔法の使い方を間違っていた!? 〜ダンジョン調査から始まる波瀾万丈の人生〜【文庫本発売中】  作者: 葉暮銀
新しい時代

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移ろいでいく光景

 戴冠式が終わり、控え室に一度戻る。

 小休止の後に陞爵の儀式が始まる予定だ。


 とは言っても今回伯爵以上の陞爵は俺だけだ。

 まぁ簡単に公爵や侯爵、伯爵なんか陞爵されないからなぁ。

 完全に俺をアリス皇女派と内外にアピールするものだもんな。


 俺は少し早めに謁見室の前室に移動した。

 伯爵を陞爵した時と同じようにメイドさんがお茶を入れてくれる。

 あれから10ヶ月かぁ。いろんな事があったというかあり過ぎたよ……。


 時間が来たようで文官の人が案内に来た。

 謁見室への通路は10ヶ月前と同じで長く感じられた。そしてやはり荘厳な雰囲気で身が引き締まる。


 謁見室の門係が大きな声を上げる。


「ジョージ・グラコート伯爵の入室です」


 謁見室の扉が開く。

 10ヶ月前は正面の玉座にザラス・エクス陛下が座っていた。両脇に控えていたのがカイト皇太子とベルク宰相だった。今は玉座に先程戴冠式を終えたアリス皇帝陛下が座っている。脇にはベルク宰相が控えている。

 同じ場所、同じ空気、同じ建物。だけど人が変わっている。

 何となく時の流れを感じ感傷的になった。


 両脇には20名程の貴族が参列している。10歳公爵の顔が見えないな? 代わりにコールド・バラスの顔が見えた。


 俺は悠然と赤いカーペットの上を歩き、玉座から3m程の場所で片膝を付き(こうべ)を下げる。


「ジョージ・グラコート、(おもて)を上げよ。貴君のエクス帝国への働きにとても満足しています」


「ありがたき御言葉恐縮いたします」


 アリス陛下は参列者に向けて声を上げた。


「ここにいるジョージ・グラコートは既に歴史に名を残す英傑です。我がエクス帝国の護り神と称して間違いありません。そしてエクス帝国に多大な利益を与えてくれる存在です。そのジョージ・グラコートの功に対し侯爵を陞爵(しょうしゃく)をする事としました。異議がある方は発言を許します」


 鎮まりかえる謁見室。このまま儀式が進むかと思われた時にコールド・バラスの声が響く。


「異議があります。アリス陛下」


 虚を突かれたのか顔が強張るアリス陛下。横に控えているベルク宰相の顔を見る。アリス陛下は頷くベルク宰相を確認してから口を開く。


「申してみよ」


「それでは失礼ながら我がバラス公爵家の総意を伝えます。ジョージ伯爵は類い稀な戦闘力を有しているのは周知の事実です。またその奥方のスミレ・グラコート夫人も単独でドラゴンを(ほふ)る人材です」


 わざわざバラス公爵家の総意と言っているのが嫌らしいよな。


「そして先日エルフの里から帰還した際、軍人であったエルフ28名を傘下に組み込んでおります。またエクス帝国騎士団のエリートであったオリビアもグラコート伯爵家の家臣団に入っております。また昨年のエクス帝国剣術大会の実質的優勝者である龍闘茜もグラコート伯爵家から禄を()んでおります」


 コールド・バラスは芝居かがった話し方をする。


「知っての通りこの龍闘茜はエルバト共和国のスパイの疑いでエクス帝国剣術大会の優勝を取り消されております。そしてオリビアが騎士団の時の配属先はエルバト共和国との国境であります。またグラコート伯爵家はエルバト共和国外交使節団代表のラバル・スウィットと親密な仲であります」


 怪訝な顔をするアリス陛下。

 脇に控えていたベルク宰相が問いただす。


「それで結局何が言いたい?」


「ジョージ伯爵は必要以上の戦力を有しており、それを強化しております。エクス帝国皇室の転覆を画策しているのではないかと市井では噂されております。またエルバト共和国との関係が余りにもキナ臭い。龍闘茜、オリビア、そしてラバル。いつエクス帝国にエルバト共和国の軍を引き入れても驚きません」


 俺からしてみれば難癖以外の何物でもない。

 しかし確かにこうやって聞くとキナ臭いなぁ。


 それにしてもコールド・バラスは完全に自分に酔って気持ち良くなっているな。

 うん。やっぱり俺はコールドが嫌いだ。

 再確認できて良かったわ。

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― 新着の感想 ―
 その戦力増強のおかげで魔石が増えましたで終わる話じゃない?
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